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10月30日 山下達也vs工藤明弥(第1試合)

 俺たちは、一心になって二人の戦いを見つめていた。静まり返ったジムの中、二人の拳と拳がぶつかりあっている。山下と工藤は、一進一退の攻防を続けていた。山下は、チャンスを伺っているみたいだ。工藤は、守りを捨て前へ前へと出ていく。工藤の拳が空気を切り裂くように山下の顔面を襲う。しかし、山下は、まったくひるまない。殴られてすぐに、攻撃をし返した。カウンターというやつだろうか?山下は、左右に体を大きく動かし、瞬時に跳ね返すように戻る。どこで覚えたんだろうか?

 工藤は、山下の動き方に翻弄されているように思えた。まぁ、コイツらは知らないだろうけど、俺たちはこれまでそれなりに修羅場はくぐってきたんだ。こんなところでは終われない。そう山下が証明してくれるようで俺はなんだか嬉しかった。体を戻し、俊敏な足さばきで工藤をどんどんリングの奥に追い込んでいく。山下の動きに他の奴らは声を失っていた。山下は、工藤の動きを予測しながら、次の一撃に備える。そんなことに気がつかない工藤は、混乱していた。

 工藤と山下の試合を見ながら、今回集まった俺たちのことを改めて考えていた。今日は、俺を含めた6人がいる。ナンバー1を含めたトーナメント戦で勝ち負けを決めることになった。その第1戦目が工藤と山下の対決だった。この次の第2戦目は、宝来と三上。そして、俺は、第3戦目に東藤と。さっきまで、みんな静かに見ていたが徐々に試合の行方が見えてきたこともあり、自分に集中するようになっていた。特に、次に戦う宝来と三上は、戦闘体制に入っている。近くにいるだけで、その圧が伝わってくる。

 すると、床に響く山下の一撃が決まり、大きな音が響き渡った。工藤は、苦しそうな表情をしながら、山下を見つめる。工藤は、汗が顔を伝って床に流れ落ちていた。こんなに汗をかけるなんて、すごいな。二人の戦いは、終盤にさしかかり、俺は息をのむように見つめていた。工藤は、負けまいと最後と言わんばかりに拳でぶつける。しかし、それを鮮やかに交わし、工藤の攻撃を止める。そして、トドメとなる鋭いパンチが工藤の顔に入ったのだ。工藤は斜め後ろに激しく倒れてしまったのだ。俺たちの視線は、倒れた工藤に。しかし、工藤はすぐさま立つことはできない。10秒ほど立っても起き上がれない工藤の側に、山下は迎えに行き、手を差し伸べたのだった。リングには、宝来が入り、山下と一緒にリングの外に出したのだった。

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