10月25日 ボクシングジム
ボクシングジムは、熱気で溢れかえっていた。こんなにも多くの人がいるなんて。この前いた時には、想像すらできなかった。夜になり、太陽は沈んでいく。街は、少しずつ静まり返っていた。家に帰った人々は、何をしているのだろうか?すると、1人の若者が入ってきた。大きな挨拶とともにロッカールームへ進んでいく。彼は、仁太は、ストレッチを始めた。
俺は、リングの周りを掃除しながら、みんなの熱気に圧倒されていた。こんなに凄いんだ。たしかに、山下からは、こんなもんじゃないと聞かされていたけど、こんなにとは知らなかった。掃き掃除を全て終えて、ちりとりに入ったゴミ箱に捨てに行くことにした。総勢、15人くらいだろうか。選手は、約10人くらいか。指導者やサポートの人は、5人くらい。ボクサーってどんな気持ちなんだろうか?
さっきまで、ストレッチをしていた仁太は、グローブをはめ、サウンドバックに向かっていた。この前、触ったがあれはとてつもなく重たい。あんなのにパンチ入れてた手が痛いだけだろ。俺は、そんなことを考えてしまっていた。サウンドバックを打つ前に、ゆっくりと拳を振り出す。徐々にスピードとパワーを増し、サウンドバックに拳を当て音を立てる。その音にかんかされるかのように揺れていく。あんなに揺れるのか。俺は、驚いていた。サンドバッグを打っているはずなのだが、ただ打つだけではない。まるで、あたまの中で戦いをイメージしているかのような動き。パンチをした後は、すぐに相手の攻撃をかわす。仁太の拳は、どんどん力強くなっていった。そして、最後の一撃を入れた。
揺れは、徐々におさまっていく。次は、シャドーボクシングみたいだ。掃除が終わった俺は、休憩を命じられた。俺は、建物内の中を動き回りながら、みんなが何をしているのかを見ていていた。すると、リングには、スパーリングをしているみたいだった。これは、この前俺がしたやつだ。ボクサーの動きは、とても軽やか。あんなにキレイなのか。ボクサーは。そして、リングの外では、ミット打ちをしている者もいる。トレーナーの声とともに、ミットを狙っていく。構えたミットをめがけて、パンチを打ち込んでいるみたいだ。強烈なパンチが入っているはずなのに、トレーナーは、もっとこい!と言わんばかりの強いアピール。言われた選手も必死に体を奮い立たせていた。そして、ゴングがなった瞬間、倒れ込み大きく深呼吸をしたのだった。




