表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/75

10月24日 ボクシング


 俺 「あそこって、俺らが卒業したらどうなんの?」


 単純な疑問だった。


 山下「どうもならないよ。ちゃんと使うよ」

 俺 「そうなの?」


 意外な答えが返ってきた。


 山下「うん。この前、いったのが夕方だったからな」

 俺 「夜、動いてるの?」

 山下「ああ」


 拳に力を入れた。


 俺 「そうなんだ、知らなかった」

 山下「いつも、あそこでトレーニングしてるボクサー多いんだよ」

 俺 「へぇー。そうなんだ」


 どうりで古いけど、キレイにされているわけだ。


 山下「ボクシングとか興味ないの?」

 俺 「興味ないとかいうより、よく知らないっていうのが本音だな」


 ボクシング自体はよくわかっていない。けど、嫌ではなかった。


 山下「なんかわからないとこあるの?」

 俺 「わからないところだらけだよ」


 練習から試合まで全てが未知の世界だった。


 山下「えっ?そうなの」

 俺 「ああ。ボクサーってホントにあるのっていう感じ」


 手を叩きながら、山下は笑っていた。


 山下「そりゃあ、いるだろ」

 俺 「俺にとっては、それくらい遠い存在だよ」

 山下「そうなんか」


 山下にとってはボクシングは普通なのかもしれないが、俺にとってボクシングは特別だった。


 俺 「意外だな」

 山下「意外なのか?」


 意外だろう。そんなもの。


 俺 「うん。だって、あんな減量したら大変だろ」

 山下「当たり前だろ、それは」


 少し、個別の話にしすぎただろうか?


 俺 「もっとブヨブヨのまま、試合したらいいのに」

 山下「それは、見栄え的によくないだろ」


 俺の中で、ボクシングは、お腹が出てもやっていいんじゃないかという考えだった。


 俺 「でも、減量しすぎもよくないよ」

 山下「まぁ、そうかもしれないけど」


 どこか納得いかない様子だったので、ボクシングが楽しかったことを伝えることにした。


 俺 「でも、この前ボクシングの楽しさが少しわかった気がしたよ」

 山下「そうなのか?」


 その通り。あんなに、気持ちよくケンカができる場所なんて、この世に存在しない。おまけに勝ち負けもつく。俺にとって、最高の時間だ。


 俺 「ああ。こんなストレス発散ねぇよ」

 山下「ストレス発散に使うなよ」

 俺 「なんでだよ」


 すぐさまツッコミを入れてしまうのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ