10月16日 クラス
五十嵐「ちゃんと来たんだね」
結局、俺は諦めてクラスのご飯会に参加していた。なんでと言われてもよくわからない。なんとなくで来てしまっていたのだ。
俺 「来ないとアイツらに怒られるからね」
五十嵐「エライぞ、エライぞ」
まるで、子どもを褒めるかの様だった。五十嵐のよさは、この明るさだ。いつも明るく天真爛漫なところが男女問わず人気だった。
俺 「うるせぇよ」
五十嵐「フフフ。遠藤くんと話してると楽しいね」
俺 「そうか?」
五十嵐「なんか、あんまりいないタイプよね」
たしかに。よく言われるセリフだった。自分がどんなタイプか自分自身でもわからずにいた。誰かの期待に応えるために変えるのは自分らしくない。
俺 「ふーん。あんまわかんないけど」
五十嵐「そう?私好きだよ、遠藤くんみたいな人」
俺 「どういう意味だよ?」
五十嵐のセリフに俺は、驚かされた。元カノと別れてからもう1年が経つ。今でも忘れられないというのがなんとも言えなかった。
五十嵐「さぁね。遠藤くんは、好きな人いないの?」
俺 「いないよ」
五十嵐「じゃあ、昔付き合っていた人は?」
俺 「あー。それはいるよ」
俺が1年前まで付き合ってた人は、他校の生徒だった。入江未央。聖徳高校だ。
五十嵐「えー、だれだれ。気になる」
俺 「誰だろうね」
五十嵐「えー、教えてよ」
俺 「山下にでも聞いてみたら」
俺の元カノを知っているのは、山下くらいだろう。残りの人は、いたということくらいしか知らない。
五十嵐「私、山下くん知らないのよね」
俺 「じゃあ、諦めよ」
俺は、ジュースを口の中に入れた。
五十嵐「なんでよ、気になるじゃない」
俺 「ドンマイ」
五十嵐「この中で知ってる人いないの?」
俺 「いないだろな、この中には」
辺りを見渡すが、水城や柏木たちは俺のことを深く知らない。
五十嵐「残念だな」
俺 「ハハハハ。五十嵐は、いるのか?」
五十嵐「なにが?」
俺 「元彼」
想像していたのと違った反応だった。
五十嵐「元彼は、思い出したくなーい」
俺 「なんだそれ」
五十嵐と言えば、聖徳高校の高田真波と知り合いらしい。淮南高校でも一番人気の南坂香澄と仲がいいなど、どこにいても人気者が近くにいる奴だった。




