10月7日 高校
俺は、窓の外にある空を見ながら高校のことを考えていた。ここら辺にある高校は、全部で5つくらいある。聖徳高校、淮南高校、守田工業高校、海美高校、八代総合高校。俺がいる海美高校は、約20年前にできた高校だった。陽気な太陽が輝く青空の下、とても綺麗な道のりが駅から敷かれていた。あの綺麗な道のりをみんな歩きたいということから選ぶ女の子も多いみたいだった。
そんな海美高校と反対なのが伝統校である聖徳高校だった。約50年前にでき、文武両道を掲げる学校だ。校門から教室に入るまでの道のりが全て坂でしんどいとよく言われている。俺も一度入ったことがあるけど、明るく、にぎやかな校舎やグラウンド。その中には、色とりどりの部活動やクラブがあふれていた。しかし、最近は、志願者が減っているというのが悩みだと噂だ。その志願者が減っている理由が、淮南高校だった。
淮南高校は、約8年前にできた新設校。制服がオシャレということに加えて、有名大学に進学する生徒も多く輩出していた。ここ3年は、部活動にも力を入れていた。昨年は、バトミントン部が全国大会出場。そして、今年は、バレー部が全国大会出場を決めたのだった。個人競技では、陸上1000mで全国準優勝をした生徒もいたとか。俺は、雲が二つくっつきそうな気がしていた。あの雲のように吸い込まれたら、自分も少しは楽になれるのかな。
志願者が減っている聖徳高校に対して、志願者が増えている淮南高校。そんな二つの高校に対してずっと横ばいなのが守田工業高校だ。この高校は、製図や電子工学、建築学、機械工学、電気工学など、広範な分野をカバーしており、生徒たちはそれぞれの分野で実践的な技術を身につけ、専門学校や理系の大学に進学する人が多い。昔は、就職する人がほとんどだったけど、今は進学する人が大半だった。工業高校というだけで、常に一定数進学する生徒はいる。しかし、これから増え続けるという可能性はほとんどないと思っていた。それは、設備費の減少だ。公立校だから、予算は限られており、大人数の生徒を受け入れると赤字になってしまうという構造だったのだ。
しかし、そんな4つの高校とは大きく異なるのが八代総合高校だった。もうこの高校は、廃校寸前だった。部活動もほとんどしておらず、やってるのはボクシング部くらいだった。そんなものだから、志願者の人数は年々減っていた。そんな5つの高校で俺たちの周りは成り立っているのだ。




