10月5日 見張り
谷口「暑いからジュース買いに行こ」
俺 「お前、一人で行ってこいよ」
自転車で駅まで来たのか、とても暑そうだった。カッターシャツのボタン付近をもち、パタパタと上下に動かしていた。俺がここに来てから約15分。しかし、山下は、なかなか動かない。
谷口「なんでだよ?」
俺 「だって、山下動いたら困るだろうが」
あっけらかんとして、俺の方を見てきた。そうだ。もともと、コイツと来る予定はなかった。しかし、俺は運悪く山下を見張っているのが、谷口にバレてしまったのだ。
谷口「なんで、こんなことするんだよ?」
俺 「まぁ、そのうちわかるさ」
俺たちが来ていたのは、駅前。ここは、淮南高校の生徒が使用している最寄り駅だった。
谷口「山下って、こんなところ来るんだ」
俺 「どう考えても来ないだろ」
すぐさま、谷口の意見を否定した。山下は、電車じゃなく、自転車で登校している。
谷口「じゃあ、何してんだよ。アイツは?」
俺 「こっちが知りてぇよ」
俺たちは、駅の二階のガラス越しから山下を見ていた。
谷口「なんか、立ってるだけなんじゃねえか?」
俺 「なんのために立つんだよ?」
よくわからない谷口の質問をつき返した。
谷口「暇つぶしだよ」
俺 「ハハハハ。面白すぎるだろ」
山下が頭上を見ないか心配しながら、笑い合った。
谷口「待ち合わせとかは?」
俺 「ああ、それはありそう」
俺たちが駅に来ていたのは、山下が何をしているのか確認するため。山﨑が言うには、最近、この辺りを散策してることが多いとか。
谷口「ここら辺だと、淮南高校の人ではないんだろうな」
俺 「なんで?」
すぐさま疑問が浮かび上がった。
谷口「もし、淮南だったら学校で待てばいいだろ?」
俺 「学校で見られたくないとかだったら」
より細かく聞いていく。
谷口「それだったら、駅前の方が見つかりやすいだろ」
俺 「まぁ、そうか」
谷口の説明に納得がいった。
谷口「俺は、違う高校の誰かを探してるんじゃないかと思うな」
違う高校かぁ。
俺 「違う高校ってことは、聖徳、八代総合、海美、くらいか?」
ここらへんの高校は、そのくらいだろう。
谷口「そこらへんだろうな」
俺 「あっ、きた!」
俺が見た視線の先には、、、、、、、、。




