9月4日 階段
俺は、山下と再び、戸田の話をしていた。でも、山下は、何をするでもなかった。
ー9月2日ー
山﨑と会ってから、戻ってくるとアイツらはサッカーをやめ、階段に座っていた。
山下「なんて言ってた?」
俺 「なんかな、、、、、」
俺は、答えたいと思わなかった。
山下「早く言えよ」
俺 「言えない」
こんなところで、コイツらには話せない。
谷口「は?」
俺 「だから、言えないって」
谷口「てめぇ、なめてんのか?」
俺の服が、引っ張られた。それも、別に、仕方がない。
山下「やめとけって、颯斗」
俺の服は、元どおりにもどった。これ以上、ここにいても仕方がない。そう思うと、俺は、みんなが座っていた階段を登っていくことにした。
谷口「おい!」
谷口のかん高い声が響き渡った。すると、後ろから山下が追いかけてきた。
山下「大丈夫か?」
俺 「ああ」
俺たちは、階段を登りながら話し始めた。
山下「らしくないな」
俺 「何が?」
山下は、俺の後を追いかけてくる。
山下「お前が、そんなに気にするなんて」
俺 「気にしてねぇよ。ただ、あそこで話してもしょうがないってな」
あそこで話したら谷口や村田が怒るのが目に見えていた。
山下「そんな内容なの?」
俺 「ああ」
俺は、ポケットに手を入れていた手を取り出し、袖をまくった。
俺 「お前、狙われてるらしい」
山下「え?どういうこと?」
山下は、驚きを隠せなかったみたいだ。
俺 「えーっとな、、、」
山下「うん」
俺 「戸田奈翁って知ってるか?」
さっき、山﨑に言われた名前だ。
山下「あぁ、知ってる」
俺 「そいつがお前を狙ってるんだとさ」
山下「それは、困るな」
背後から、俺の方を見ていることがわかった。
俺 「どんなやつなの?」
山下「戸田は、中学時代から問題児だったんだよ」
中学時代?
俺 「お前と仲悪いの?」
山下「いや、むしろ逆だよ」
山下と仲良いやつかぁ。戸田ってのは。
俺 「どういうこと?」
山下「ずっと、仲がよかったんだよ」
俺 「なのに、なんで?」
山下「さぁな。最近、連絡とれなかった俺が嫌になったんじゃない?」
俺たちは、階段を登り切った。しかし、その先の扉を開けることはできなかった。