9月26日 体育祭5
今日は、体育祭の応援合戦についての反省が行われていた。俺は、話を聞かずにずっとシャーペンを握っていた。内容を聞いていない俺は、ただただペン回しを続けていた。どうやら、今から体育祭の感想文を書くらしい。ガキじゃねえんだから、そんなことしなくてもな、、、、と思いながら、先生の話を聞いていたのだった。
ー9月22日ー
俺は、水城の最高のパスで走り出すことができた。走り出した瞬間、前にいる山下が笑っていることがわかった。俺は、右手に受け取ったバトンを必死に握りしめていた。右手には、堂林や向井たちがいることがわかった。タオルらしき物を回している。何しているんだろうな?
俺は、2位の3年5組山下、1位の3年4組野田を追う。必死に追うが、山下との距離はあまり変わらない。山下は、相変わらず速いな。1年の時から、スポーツ万能で、短距離も長距離も他のやつに負けてるのは見たことがなかった。
そんな山下は、前を行く野田と並びそうになっていた。そういえば、俺も1位の野田との距離が縮まってきていた様に感じていた。やっぱり、踏み出す一歩が軽い。体の調子もいい。俺は、強く握りしめていたバトンを、少し緩めた。
第二コーナーを曲がると、その野田と山下との距離も縮まっていた。二人が並走しているから、なかなか抜けない。後ろにつきながら、これからに備えて待った。山下のランニングシューズはオレンジで後ろから見ても派手だった。
第三コーナーを越えた時、走り終えた水城や柏木の声が聞こえてきた。何を言ってるかまてまは聞こえなかったけど、応援してくれることだけはわかった。自分の体だけど、自分じゃないみたい。なんだろうな。この感じは。俺は、前の二人が並走で抜けないと思ったため、第四コーナーで、後ろから前に出た。リレーは、インコーナーが圧倒的に有利だ。二人の必死な姿を横目に一気にインコーナーに入った。しかし、二人は諦めず追ってくる。間もなく、ゴールだ。目の前には、テープが見えた。後ろから追ってくる山下が見えた。ヤバい、このままだと、、、、、、。絶対に抜かれる気がした。気がついたら、俺の体は、前方向に大の字に飛び込んでいた。自分でも何をしているか、わからなかった。ただ、ゴールテープには触れていることがわかった。グランドからは、大きな歓声が鳴り止まなかった。アンカー勝負になったリレーは大盛り上がりで幕を閉じたのだった。




