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9月2日 縦横無尽(5人組)

 俺は、両手を横に広げてサッカーゴールの周りを縦横無尽に走り回っていた。夏休み明けというとこともあり、遊んでいるのは俺たちくらいだった。ゴールを許した山下、谷口は大声を出していた。走り回っていた俺は、遠くに俺たちの方を見ていた生徒を発見した。


 山下「今日、どうする?」


 ボールをとりながら、俺に話しかけてきた。


 谷口「そりゃあ、遊びにいくっしょ」

 佐藤「えー。今日塾だから、無理やわ」


 俺が黙って答えなかったら、横から谷口と佐藤が話に入ってきた。


 谷口「こいよ、彌生」

 佐藤「無理だって」

 山下「江、どう思う?」

 俺 「うーん、どうしよ?」

 

 遠藤江。これが俺のフルネームだった。みんなからは、江と呼ばれており、いつもみんなと群れていた。遠くから足音が聞こえる。あの走り方は、、、、。俺が少し目を逸らした頃には、もう近くまで迫ってきていた。走ってきたのは、村田だった。

 

 村田「わりぃ、遅れた」

 谷口「遅せーぞ、バカ」


 谷口は、ボールを村田の方に蹴った。


 村田「だって、6時間目の数学のテストしてたんよ」

 谷口「あれ、今日提出なくなるで」


 ボールを足に乗せながら、答えた。


 村田「えっ、、。どういうこと?」


 驚きを隠せない様だった。俺は、村田の先にいた生徒を見つめていた。


 谷口「なんか、出張で出口先生おらんくなるなしいよ」

 村田「もっと、早よ言えや」

 谷口「ハハハ」

 村田「最悪やわ」

 谷口「あきらめろ」


 俺たちは、高校3年になってもずっと連んでいた。ここ、淮南高校で、いつも昼休憩になったらサッカーを習慣する癖があった。でも、みんなサッカー部ではない。ただ、群れて話しているのが妙に心地よかった。

 いつも連んでいるメンバーは、俺以外に4人いた。いつもヤンチャで勉強しない谷口颯斗、冷静な佐藤彌生、おもしろい村田慎二。まとめ役の山下達也。中でも、山下とは、2年生までずっと同じクラスで、俺のことをとてもよく慕ってくれていた。

 でも、いつまででも絡んでいられないのも事実だ。現に、もう9月。あと4ヶ月ほどで受験になるのだ。この中で、受験をするのは佐藤、山下の二人だった。受験をしない谷口と村田は就職試験を受けるらしい。谷口は警察官、村田は消防士。どちらも公務員で安定している。進路すら決まっていない俺は、みんなとは大きなさをつけられていた。

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