表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
至上の戦線  作者: 食い倒れ達磨
1/2

眠れる獅子

 熊本県熊本市、治安の悪い郊外に5階建ての古びた廃ビルが建っていた。壁はひび割れ、ガラスは砕け、落書きだらけの廃墟は一般人なら立ち入ることはないだろう。現にそこは不良のたまり場として有名だった。しかし、その建物は今では不良といった半グレすら近づかない。なぜなら、その廃ビルには恐ろしい獣が住んでいるから…。











「んぅっ?ふぁぁああ~、今何時だよ…」


 俺は気配を感じて、目を覚ました。スマホが表示する時刻は12時半、俺みたいな夜行性はまだ眠っている時間だ。こんな時間に俺の住処にやってくるのは恐れ知らずのバカか、あるいは仕事か…。俺は目を覚ますためにアカマルを取り出すと、火をつける。


〈火種を灯せ…点火(Ignition)


 俺は肺を煙で満たすと、大きく吐き出した。気配はもう扉の向こうまで来ているが問題ないだろう。よく知っている女狐の気配だからな。


「詩枝君、開けるわよ。…はぁ、起きてるなら服ぐらい着てくれないかしら」

「うるせえな。家でどんな格好するか、俺の自由だろ」

「こんな廃墟が家って…引っ越すか掃除ぐらいしたらどうなの?」

「はいはい、小言はもう聞き飽きたよ。んで、何のようだ。どうせ仕事だろ」

「まったく…まあいいわ。あなたの言う通り仕事よ。最近『魔女狩り』が準備をしているようなの。あなたには彼らを調査してもらうわ」


 俺は女狐…綾辻絵美から資料を受け取り、流し読みする。まあ、内容は興味ないから読まなくても別にいいだろ。こいつのことだから間違った情報ってこともないだろうしな。


「あいつらは何をやってるんだ?」

「武器商人と接触しているみたい。爆薬や重火器を買いあさっているわ」

「はぁっ?『魔女狩り』の奴ら本気(マジ)かよ。魔術が発達した時代にそんな骨董品を持ちだしてどうすんだ」

「まあ、彼らは反魔術主義だから…。それに一般人にとっては立派な凶器よ」


 俺はあいつらのバカさ加減にあきれると、資料を床に放り投げた。こんなバカのために時間を使うぐらいなら、さっさと寝てしまおう。


「何で寝ようとしているのかしら」

「もう、読む必要がないからだよ。そんぐらいお前もわかるだろ」

「はぁ…。作戦の決行は深夜1時、アジトまでは私が運転するわ」

「はいはい、りょーかい。…ああ、そうだ。一応聞いとくけど生殺は?」

「……いつも通り、あなたの判断に任せるわ」


 俺はその言葉を聞くと笑いながら答えた。


「了解」











…レベル3カードキー読み取り完了…


…パスワード合致…


…音声・網膜認証合致…


…指紋合致…


…セキュリティクリアランス オールクリア…


…情報を開示します…


|詩枝 獅子《Utaeda Shishi》

性別:男 年齢:19歳

生年月日:7月28日

公安特別保護対象


…これ以上の情報はレベル5未満の閲覧を禁止されています…


|綾辻 絵美《Ayatsuzi Emi》

性別:女 年齢:27歳

生年月日:11月24日

公安特殊事例捜査班に所属


…これ以上の情報はレベル4未満の閲覧を禁止されています…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ