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3、キノコ頭の誘い

 エーリカはお気に入りのカフェにユーリを案内した。ユーリはまたフードをかぶっている。席に着いて注文を出すとエーリカは早速口を開く。


「ユーリ君、あなた吟遊詩人だったんじゃ?」


「転職したよ。今は賢者さ」


 エーリカとイリアは顔を見合わせる。賢者、高等魔法の使い手がなる職業だ。吟遊詩人が簡単に転職できる職業ではない。


「吟遊詩人では攻撃魔法も覚えられない。さっきのように女の子を助けられないからね」


「へえー、もしかして魔物を狩る気?」


「ああ、ライオネルたちにパーティーを追放されて、俺は自分の弱さを痛感した。これからは詩と魔法でモンスターを退治していく。ただ王都の周りに魔物はいないようだが」


「危険だと思うわ。Aランク冒険者でも前線は危険だって先生は言ってたし。ライオネルたちに任せた方が」


「そんなこと言ってられないよ。魔王領と隣接する町や村はどうなる? あそこにも(うるわ)しき乙女たちがいる。俺は彼女たちと美しい詩を歌いたいんだ。彼女たちを見殺しにすることなんかできない」


「でもさっきの男たちと魔王軍はレベルが違うわよ。もっとレベルを上げていった方が」


「それは分かっている。適当な相手がどこかにいないかな」


 エーリカは口ごもる。そして、目の前のユーリをまじまじと見た。吟遊詩人の優男(やさおとこ)ではない、ぎらついた野心が目の前の男子生徒から感じられた。









「今日から魔法科Dクラスに転入になったユーリ・アーデルラント君です。みんな、仲良くしてあげてね」


 若い眼鏡の女教師はニコニコしながらウィンクする。魔法科Dクラス、それなりの強者が(そろ)ったクラスだが、軽蔑(けいべつ)の空気が漂う。

ユーリ? ああ、吟遊詩人の。Sパーティーをクビになったんだってな。うわー、あんな奴来てもアタシたちの高レベル魔法についていけないんじゃなーい、かわいそうー。


 ざわつくクラスを女教師はニコニコしながら見渡している。エーリカが思わず席を立つ。


「ユーリ君を甘く見ない方がいいわよ。すでに私でも及ばない程の高レベル魔法を習得しています」


 エーリカの言葉にクラス中がまたざわつく。エーリカはクラスの中でも名うての猛者(もさ)でそれなりの実績がある。そのエーリカが言うのだ。説得力があった。エーリカは鼻を鳴らして、大きな胸を張る。ユーリはエーリカの隣の席に座った。エーリカがにやりと笑みを浮かべると、着席した。


「それでは授業を始めましょうか」


 女教師が淡白に告げると、クラス中が静まり返った。










 キノコ頭で色が白い。ニタニタ嫌な笑みを浮かべた少年は学園の中庭でユーリに声をかけてきた。少年の後ろには取り巻き連中が嫌な笑みを浮かべている。


「君がユーリ君か。僕はカルマイラ。Eランクパーティーの主催者なんだ。良かったら、僕のパーティーに入らないかい? 丁度賢者がいなくてね」


 エーリカが左手で壁を作って、ユーリの耳に小さい声で話しかける。


「ユーリ、こいつの言うこと聞いちゃ駄目よ。こいつ、評判悪いから」


「評判が悪いって、どういう?」


「さっきからこそこそ何話しているのー? カルマイラ様が仲間に誘ってんじゃん」


 金髪の女生徒が意地悪そうに言う。


「あ、あなたは魔法使いのキマネさん。カルマイラのパーティーに入っていたの!」


「そーよぉ。良かったら、エーリカさんも入るぅ? Gランクパーティーの魔法使いなんて勿体ないわぁ。ね、こっちに入った方が高難易度の依頼がギルドから受けられるしぃー」


 エーリカは苦笑いを浮かべた。ユーリは不思議そうな顔をして、キマネを見る。キマネは愛想のいい笑みを浮かべた。


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