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悲しい臨時収入(千鶴)

作者: 狼花

  臨時収入。

それは給料や一定の収入とは違い思いがけない形で入ってくる収入。

定額給付金、祝い事のご祝儀、お年玉などもこれに当たる。

通常、臨時収入とはお金が増えて嬉しいもののはずなのだがお金をもらって悲しい思いをすることもあるということを皆様にお伝えしたい。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 「ただいまー」

夏休みに入り、遊びさらけている次女の桃花が家に帰ってくる。

リビングに来て冷蔵庫を開け、お茶を飲んで自分の部屋に行き。

そして、

「なんなのこれーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

絶叫する。

「あのさ、お母さん。私の部屋のことだけど」

そう、今日は桃花の部屋を片付けたのだ。

(正確には買取業者の方に依頼して、床に散らばったものを買い取ってもらった)


 「片付いたでしょ」

「確かに奇麗になってるんだけど、問題はゲームの本体とかも無くなってるんだけど」

「ええ、売却したわ」

「やっぱり、そうか・・・」

わなわなと震えると火山が噴火するかのように桃花は激怒した。


 「よくも私のセーブデータを!!」

「大事なものならきちんとしまう。管理する」

「それができていたら、私はこんな悲しい目にあっていない!!」

そんな逆ギレ、初めてされたんだけど返答に困る。

「だからこれを機に反省すればいいじゃない」

・・・ そう。だからここでこの話はおしまい ・・・


「もう4回目だよ? もうこれは治らないんだよ。私に部屋を片付けろっていうのはね、猿に掃除機の使い方を教えるくらい難しいことなんだよ。だから諦めてよ・・」

「その言葉を聞いて私は親として悲しくなるんだけど・・・」

さらに桃花の主張は続く。

「それに毎回毎回、言ってるじゃん。人の持ち物売ったらダメだって!!」

「私も毎回毎回、3回も警告してるんだけど? きちんとかたずけろって」

私はきちんと警告してるのだから、それを無視するほうが悪い。

「仕方ないじゃん。小学生なんだから」

「都合のいい時だけ小学生を理由にしないの。ほら、お金と領収書」

リサイクルショップで換金したお金と領収書を桃花に渡す。



 「い、一万円札が二枚もある・・・」

金額を見て、震えた声を出す。

臨時収入があって喜ぶと思ったのだがそうではないようだ。

現金を受け取るとすぐに明細の方を調べ始めた。

「あ、やっぱりswitchとスマブラが売られてる。それにトレカってこれ私のデッキだったんじゃ・・・」

明細を見ている娘の顔が少しずつ青ざめていった。




 我が家の娘はお金が貰って嬉しいものばかりじゃないことをその身を持って知っているのだった。

それにしても。なぜ、片付けができないのだろうか・・・

頭を使って考えているとテレビの番組が変わった。


 『みんな集まって! ちび◯◯子ちゃんが始まるよ』


それはまさに一瞬の出来事だった。

居間のテレビの音を聞くや桃花は脱兎のごとくテレビの前のソファーに座る。

まさに刹那の動き・・・



 ・・・   もしかして、この子。脊髄反射で生きてる?  ・・・


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― 新着の感想 ―
[一言] 読ませて頂きました。 親子のやり取りがリアルだなと思いました。 最後の所は吹きました。
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