綺麗な石ころ 1
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町の小さな雑貨屋を正式に店じまいし、今日はアイル家が経営する仕事の初勤務日だった。
カルザスとレニーは比較的動きやすい服装でアイル邸へと向かい、手すきのメイドの案内で事務所に当たる建物へと通された。彼女は一礼して、母屋へと戻ってゆく。
「大まかに仕事の流れは聞きましたが、実際やってみないと細かい部分が分かりませんね」
「帳面仕事は苦手なんだよね。でも言ってらんないか」
事務所のドアをノックし、カルザスは緊張した面持ちで中へと入る。
「おはようございます。本日より、見習いとしてお世話になります、カルザス・トーレムといいます」
「おれはレニー・ティリです。よろしくお願いします」
事務所では、よく日焼けした大男が、分厚い帳簿を持って立っていた。
「待ってたよ。マクソンさんから話は聞いてる。お嬢さんの婚約者なんだって?」
「え、ええ。まあ……」
「そっちのは?」
「一緒に働かせていただきます弟です」
「弟? 見た目からして随分違うが……義兄弟みたいなもんかねぇ? まぁいいや。さっそく仕事を教えるから、カルザスは俺、レニーはデイスンとコンビを組んでくれ。仕事を覚えたら、あんたら二人で組んでやってもらうからな。デイスン、レニーを頼む」
「あいよー」
煤けた赤毛の男は、愛嬌のある顔を上げ、レニーを手招きした。




