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路地裏の独白

作者: 紅茉莉

生まれ変わったら何になりたい?


ふといつか誰かが話題に上げたそんな言葉を思い出した。その時自分は何と答えたのか、多分美少女とかそんなことを言っていたと思う。周りの奴らにホモだの何だの言われた様な気がするが、じゃあお前らは何になりたいんだよと聞くと俺は美女だとか言ったやつがいて皆して大して変わらねえと笑いあった。その後、そいつが色々と熱く語っていたがよく覚えていない。他の奴らは鳥になって飛んでみたいとか、クジラになって大海原を旅するんだとか、人間以外の動物を上げていた。

数ある思い出の中からこんなことを思い出した理由は簡単で私が生まれ変わったからだ。


生前?今も生きているから前世かな、その時から漠然と神様や輪廻転生といった科学的根拠のないものについて何故か信じていたくちだ。理系の教科が好きで理系の大学にまで進学した自分としてはどうかと思っていたが、ゼミの仲間にも同じように超常現象や幽霊だのを信じている奴が結構いてほっとした。誰が言ったか

「不思議」が好き、気になる、不快、少なくとも興味が有る奴らの集まりが学生であるべきだとまで言っていたなぁ。確かに気になったことは気が済むまで調べたことが何度かある。それは数学の定理だったり、先生に怒られた理由だったり、ゲームの最短攻略方法だったり、最後は少し違う気もするけれど色々納得するまで調べた。そういう「何かを知りたい」というのが学生には必要だとそいつは言いたかったのだろう。今となっては確かめようもないけれど。


話が脱線してきた、要は前世私は美少女に生まれ変わりたくて神様とか信じていたということだ。そして理由は分からないけれど前世の記憶を持ったまま生まれ変わったこと。


ただし何故か猫に。


性別:メス


最初は本当に訳が分からなかったなぁ。前世の死因は分からないけれどそれまでの自分は死んだことは感覚で分かっていた。ただ自分が何に生まれ変わったのかすぐには分からなかった。猫だと分かってから母猫がそばにいてくれてる期間はまだ猫として生きていけるか心配だったけれど、独り立ちする頃には猫としての生き方に大分慣れていた。ネズミも捕れるし虫でも食べる、前世の時には考えられないような高さにジャンプしたりそこから一足で降りたり。縄張り、発情期など前世には無かった生態は苦労したが今では問題なく猫として暮らしている。


猫としての人生?猫生?は大体十年になる。これまでに子供は何十匹かわからないほど産み育てた。最初の発情期は色々、前世が男だったこともあって辛かったが一回経験すると結構吹っ切れるものだ。他の猫からは結構私は魅力的に映っているようで、相手に困ることが無かった。猫的美少女といったところか、ある意味で生まれ変わりの希望は通ったようだ。やはりどこかに神様はいるようだ。輪廻転生もあるし。あれ?輪廻転生って仏様だったっけ?まぁ生まれ変わりの話は世界どこにでもあるから神様仏様にしておこう。


猫が十年生きると化け猫になるとか聞いたことがあるけれど、今のところその兆候はない。そもそも生まれた時から前世の記憶があった私はその時点で化け猫と言っても過言ではない気もするので、この検証はできなさそうだ。とはいえ知り合いの猫たちを見ていても化け猫は見当たらない。巧妙に隠しているのならお手上げだ。



・・・、今日は久々に色々と考え込んだ。いつもより早く目が覚めたからだろう。猫でもこういうことはたまにある。さて、じゃあ毛繕いして、ご飯食べに行こうかな。

読んでいただきありがとうございました。

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