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ロマンシング☆Manaインフェルノ

登場人物


マナ・ノヴリース

テンション高まる女の子


アリエミア

付け耳偽エルフのパーティーリーダー


コーチカ

事なかれ主義の魔女ッ娘コスプレ


オフィーリア

おっとりだけど意外とエグい女司祭


ベアー

おー…しか言わない謎の大柄少年

 

オンラインゲーム【ロードオブレジェンド】


その最難関難易度コンテンツのひとつ。


【インフェルノクエスト】


 アリエミア達は、やる気満々のマナにインフェルノクエストの概要をツラツラと説明する。


 「このクエストは最大5人でパーティーを組み巨大なボスモンスターを討伐する事が目標よ。」

「ただし普通の討伐とは違って、プレイヤーに対する【縛り】が存在するの」

「このクエストがインフェルノ(地獄)の難易度と云われる理由はソコなのよ」


 「まず育てたキャラレベルは一切関係なくなるのね~。どんなに鍛えたキャラでも初心者でも、同じ能力の条件となっちゃうのよね~」


「強力な課金アイテムや強化装備も一切使用できないし~」

「回復アイテムも一切持ち込む事は出来ませんよ~」


「だからHP(生命力)を回復するには魔法かスキルを使用するしか方法は無いのよ」

「でもぉ魔法を使用するためのMP(魔法力)は回復する事が出来ない為、0になったらもうオシマイなのです~」


「そしてボスモンスターの能力は超強力。生半可な覚悟で挑んでもあっという間に全滅するでしょうね……」

「つまりはプレイヤーの腕とパーティーの戦術が純粋に試されるクエストなのよ!」


「だからこそ、初心者のマナでも活躍のチャンスが有るって言う訳なのよ!」

アリエミア、コーチカ、オフィーリアが代わる代わる説明し、マナはクエストの事を何となく理解した。


「さあ、インフェルノクエスト始めるわよ!」

アリエミアが叫ぶと、マナのモニター画面に、


【アリエミアさんよりインフェルノクエストへの参加依頼が届いています。受諾しますか?】


と表示された。マナはYESの文字にカーソルを置き、一呼吸する。そして……


「よっしゃ……行くよ!」

YESの文字をカチィン!とクリックした。


 画面が暗転して、少しの間を置き、画面が明るくなる。先ほど居た草原エリアからワープして、周りの景色がガラッと変わる。


 見渡す限りの 岩、岩、岩。草木一本も存在しない岩だらけの荒涼な大地。空は灰色に淀み、所々から噴煙が吹き起こる。


マナの周りに、次々と仲間達がワープしてきた。


「ここはインフェルノクエストの火山エリア」

「討伐目標は炎竜(ファイヤードラゴン)よ!」

アリエミアが辺りを警戒しながらマナに話しかけた。


「緊張するのね~」

「不穏な雰囲気がするのです~」

「おお……」

仲間達も草原での余裕な感じとは違い、身構えて臨戦態勢を取っている。


「わわっ!私のレベルが100になってる!それになんかアイコンがいっぱい増えてる!」

マナが自分の能力値を確認して驚く


「それはこのクエスト中だけよ。大剣の技も沢山使えるから色々試してみるといいわ」

アリエミアが教えてくれた。


風の音が消え、変わりにヘッドホンからは壮大なBGMが流れ始める。


「お出ましね!」


空を見上げると、淀んだ雲の中から、巨大な赤い竜が翼を羽ばたかせ舞い降りてきた!

口からは炎の息を吐き出し、巨大な腕には鋭い爪を備えている!


 マナ達を確認した竜は凄まじい咆哮をあげた!衝撃波が起こり、それを受けたマナ達は一瞬動けなくなった。


 そしてドスドスと凄まじい勢いで襲い来る竜。一カ所に固まって動けなくなったマナ達は巨躯の竜による体当たりをもろに食らってしまう。


「ああー!コーチカ、オフィーリア!」

アリエミアが叫んだ時にはもう遅し。コーチカとオフィーリアは遥か彼方までぶっ飛ばされて、戦闘不能となった……


「ごめんなのよね~もうやられちゃったのよね~」

「つ、強過ぎですぅ~」


 生き残ったマナ、アリエミア、ベアーも竜の体当たりにより、半分以上HPを持っていかれた。


竜は上体を反らし、息を吸い込むような動作をしている。


「ま、マズいわ!炎が来る!」

アリエミアが叫び、3人は慌てて竜に背を向けて逃げ出すが……


竜の口から吐かれた轟炎は大地を這い、マナ達はその炎の波にあっという間に飲み込まれた……


【クエスト失敗】


 悲壮感漂うBGMが流れ、ものの一分もしないうちにクエストは失敗で幕を閉じた。


「こんなの無理なのよね~」

「なにも出来ませんでしたぁ……」

「おお……」

仲間達からは諦めの声が聞こえるが、


「ま、まだまだ初戦だもの!次はいけるわよ!」

「ね?マナ・ノヴリース」

アリエミアはまだ諦めめてはいないようだ。


「うん。私たちの戦いはまだまだこれからだよ!」

マナもまだまだ諦めてはいない。打ち切り漫画の最終回みたいな返答だけども。


「さあ!もう一回、挑戦よ!」



……数分後。


「【氷の投針(アイスニードル)】なのよね~!」

「ああ~動きが速くて全然当たらないノヨネ~」


「【治癒(ヒーリング)】!あっちにも【治癒(ヒーリング)】!」

「ダメですぅ回復が追いつきませぇぇん」


「おっ……おっ……おお……」


「ああっまた炎が来るっ!」


…………


【クエスト失敗】


またしても、クエストは失敗に終わった。


「……でも今のは3分ぐらいは持ったわよ!」

「次こそは……」


 諦めずにクエストに挑むマナ達であったが、叩かれ、焼かれ、引き裂かれ、何度もクエスト失敗となってしまう。


…………


「マナちゃん頑張ってなのよね~」


 炎竜の爪撃がマナを襲う。マナはそれをギリギリで回避して大剣による斬撃を見舞う。


 仲間達は皆、戦闘不能になりマナがひとりで炎竜と対峙していた。


「爪撃だけなら何とか避けれるけど……!」


炎竜の火炎放射が容赦なくマナを襲う!


【クエスト失敗】


(やっぱりこのモンスターにはひとりでは絶対に勝てない……!)


「ああ……やっぱり私たちにはインフェルノクエストは無理だったのかしら……」


 何度もクエストを失敗して流石のアリエミアも諦めのため息をついた。


 マナは瞳を瞑り、異世界での戦いを思い返していた。ゲームとは違い、失敗=死、を意味していた熾烈な戦いの日々を。


 アリエミアがもう諦めましょう、と皆に声をかけようと思ったその時、


「まだよ!」


 と画面の外のマナが立ち上がり叫んだ。いそいそとチェアーの上に立つマナ。そして闘志秘めた緋いの瞳で仲間達を見渡した。


「私達がバラバラに動いていたのではあの魔物を倒すことは出来ないわ!」


「役割をきっちりこなせば必ず勝機は生まれるはずよ!」


「コーチカちゃん!あなたは竜の後方で待機して隙が出来た時だけ魔法で脚狙って攻撃して!」


「オフィーリアさん!安全な所から防護魔法で私とアリエミアを援護して!」


「ベアーはHPが減った仲間を優先的に守って!」


「アリエミアは竜の後、私は前で竜の攻撃を引きつけるわ!」


マナは拳を振り上げて叫んだ!


「私達が団結すれば必ず勝つことが出来るはずよ!」

「頑張りましょう!」


 マナの演説を聞いたアリエミアも、諦めかけていた心にまた炎が灯った!


「マナ・ノヴリースの言うとおりよ!」

「この作戦でもう一度頑張ってみましょう!」


仲間達もまた、アリエミアの言葉に応える。


「もう少し頑張ってみようかなのね~」

「防護魔法は任せてください~」

「おお……!」


「よぉし!じゃあインフェルノクエスト再度開始!」

アリエミアが高らかと声を上げた。


(大剣の技の特性も色々解ってきた。これなら……)

マナも画面に集中する。



 そして炎竜へのリベンジバトルが始まった!


…………


…………


…………


「今よッマナ・ノヴリース!【ライトニングブレイド】!」


「はぁぁッ!」

マナは稲妻纏った大剣を頭上高く掲げ跳躍した。


「コレで止めよッ【飛翔烈震斬】!」


 マナの放った超必殺技は倒れ込んだ炎竜の頭部にクリーンヒット!稲妻を伴った衝撃波が炎竜と共に大地を揺らす!


 必殺の一撃を受けた炎竜は激しく悶え、そしてそのまま二度と起き上がることは無かった。



 【クエスト達成】



達成感に溢れたBGMと共にマナ達の画面に表示された文字。


「やった……」


「いやったぁー!!すっごーい!」


 とうとう掴んだ勝利に、我を忘れて抱き合い喜ぶ女の子4人。

無表情なベアーも心なしか嬉しそうだ。


「マナ・ノヴリース。私が見込んだだけの事はあるわね!」

「スッゴいのよね~!ガッコで皆に自慢出来るのよね~」

「私、お役に立てたてたかしら~?」

「おお……!」


 インフェルノ炎竜討伐の称号【地獄炎竜討伐者】を得てマナ達の今日の冒険は幕を閉じた。


「そうだ!記念に皆で写真を取りましょう!」

「ベア!ヨロシクね!」

アリエミアがベアに指示するとベアはコクリと頷きスマホを構えた。


「おお……」


パシャリ


おお……という合図でパシャリと写真が撮影される。


 スマホの画面には満面の笑みを浮かべ、マナを抱きしめる3人の自称異世界冒険者の女の子達が写し出されている。


「マナ・ノヴリース、アナタにも画像データ送ってあげるわよ」


「私、スマホ持ってない……」

マナが残念そうに言うと、


「あらそうなの。じゃあ……」

アリエミアがスマホの画面をサササッと操作すると、部屋に備え付けてあったプリンターから先程撮った写真が印刷されてきた。


「はい!これでOkね!」


「わぁありがとう!」

アリエミアから写真を受け取ったマナ。じっと見つめて嬉しさがこみ上げる。この世界に戻ってきて初めての友達、そして初めての思い出の品。


写真を胸に当てマナは思った。


(一生大切にしよう)



 ゲーム談義をしながら和気あいあいと店から出たマナと仲間達。相変わらず、アーケード街は人の波で溢れていたが、明るいアーケード街を出ると既に日は落ちており夜になっていた。


(いつの間に……もうこんな時間!)

楽しいことをしていると時間はあっという間に過ぎるものである。


(ま、マズい……ママに怒られるよ。コレは……)

「わ、私もう帰らないと!」

マナが焦り表情で言うと


「そうね。今日は楽しかったわ!また冒険しましょう!」

とアリエミアが笑顔で返答した。


「うん。私も楽しかったよ!またね!」

マナも満面の笑みで返答した。


「またねー!……って連絡先!連絡先教えて!」


「……って行っちゃった……てか脚、超速っ!」

アリエミアはマナを呼び止めようとしたがマナは光のような速さで、街の喧騒の中へ消え去ってしまった。


(不思議な娘だったわね……)


(また会えるよねマナ・ノヴリース……)



 マナが疾風の如く走り抜ける帰路の途中、一台の黒塗りの高級車とすれ違った。マナは超急いでいたため気づいてはいないが……


 後部座席に座るのは、両鼻の穴にティッシュを詰めた切れ目のイケメン、白峰 尚輝である。尚輝は脚と腕を組ながらスマホの画面を注視している。


 画面に写るのは、スクール水着姿の恥ずかしそうな表情でお姫様ベッドに寝かされている碧色の髪の可愛い女の子の姿が。


白峰 尚輝はその写真を見ながら不敵な笑みを浮かべて一言呟いた。



 「フッ……今日はとても良き日であったな……!」



本当は2話で終わる予定でしたが5話かかっちゃいました。この異世界コスプレ少女達はまた登場しますのでヨロシクお願いします☆

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