宇宙はすてき
りらは、星空を見るのが大好きでした。
初めのうちは、見るだけで、幸せいっぱいになっていたのですが。
空に行ってみたい、あんな美しい空は、どのようになっているのだろう。
そのように思うと、いてもたっても、いられません。
りらは、そのことを、仲良しのぞうさんに話しました。
「私も空をみるたびに、、そのように思っていました。私といっしょに宇宙の世界へと行きましょう」
「嬉しいわ、行きましょう」
りらは、ぞうの背中に乗って、宇宙の世界へと、旅立ちました。
地球の世界から、宇宙の世界へ入ろうとすると、美しいメロディーが流れて来ます。
その美しいメロディーは、宇宙のかなたから聞こえてくるのです。
輝く星が歌っているのでしょうか。
その音色は、神秘の音色をかなでだしています。
あたかも、宇宙は素晴らしいところです、ようこそいらっしゃいました。と言っているようです。
ぞうは、鼻をまっすぐ伸ばし、ロケットのように、宇宙を飛びます。
美しいメロディーに乗って飛び回っていると、大きな美しい虹が、歓迎でもするように
「この上をどうぞ」
と、手招きをします。
りらは、生まれて初めて、宇宙の虹を見ました。
地球の虹と違って、宇宙の虹はとてつもなく大きくて、十五色もあるのです。
どの色も燃えています。
宇宙の虹は、ガスでできていますので、宇宙に充満しているガスを、ギュウギュウと吸いながら燃えていますが、側によっても熱くないのです。
ぞうは、虹の上をすべりおりて、宇宙の世界を走りまわりました。
ぞうの毛は、燃えることもなく、宇宙の国をかけまわります。
すると、たくさんの星が迎えてくれました。
星の形は、人間の顔が一人一人違うように、みんな違っていました。
大きいのや、小さいのや、三角形、四角形、八角形、いろいろです。
でっぱったり、ひっこんだり、星の数だけ形もありました。
特別大きな星さんが
「私はこんなに体は、大きいけどお金はまったく、持っていないのです。むしろ、体が大きいのでお金がないのです」
と、言います。
「宇宙でも、お金が必要なのですか」
「お金ではなく、光り輝く金です」
「あなたは、どうして金を持っていないのですか」
「それは、体が大きくて、働きにくく眠ってばかりで、働かないからです」
「宇宙の仕事は、何をするのですか」
「私たちの仕事は、地球人が少しでも、幸せな気持ちになれるように、光り輝いて見せることです。輝くたびに、体が金色に変わっていき、最後は金となるのです。しかし、私はいつも眠ってばかりでいて、地球に光を放たないので金がないのです。向こうに見える星は、小さな星ですが、いつもよく働くので、金はたくさん持っていますが、あのみにくい顔なので、可哀想です。名前はマコさんといいます。話す言葉は、星の輝きのような美しい声で話します」
「そのように、優しい星さんなら、誰からも愛されているでしょうね」
「それがそうじゃないのです。みにくいから、せめて働け働け、と言って、仲間はずれにあっています」
りらは、そのマコさんに会いたくなりました。
優しいマコさんは、りらを見てひかえめに笑い、迎え入れてくれました。
「あなたは素晴らしいお星様だと、あの大きな星さんが言っていましたよ」
と、りらは言いました。
「とんでもありません。もし、私が素晴らしい星だったら、もっと、みんな仲良くしてくれると思うのですが。私は、ごらんのとおり醜い星なので、仲間はずれにされています。せめて、地球の人々のために、と思って一生懸命輝いているのです。金が欲しいからではないのです。輝いている時が、私は一番幸せだからです」
と、星のマコは、悲しそうに言いました。
その話を聞いた、ぞうは本当にきのどくな星さんんだと思いました。
ぞうが鼻をぐるぐる回し、顔の凸凹をけずりおとしました。
すると、とっても美しい星に変身しました。
マコの輝きは、今まで以上に光り輝きました。
その光は、美しいメロディーを呼び、メロディーは星の世界をかけめぐりました。
美しいメロディーを、聞いた星たちは、ダンスがしたくなりました。
星の世界の星たちは、みんなでダンスをしました。
星たちは楽しそうにダンスをしています。
星のマコは、美しくなったのでダンスをしてくれる相手ができました。
マコは
「ぞうさん。ありがとう。私も他の星さんのように、ダンスができるようになりました。地球は、いつも回転していますが、あれはダンスをしているのでしょう。地球人は幸せですね。いっつもダンスをしていられるから。地球がダンスをしているかぎり、地球人は幸せに暮らしているのですね。ここから見る地球は美しく、私たち星も、地球に住めたらどんなにいいだろう、といつも話します」
「いいえ、私たちから見る星空は美しく、幸せそのものに見えます。私たち地球人はみんな、星空にあこがれ、星の世界で生きたいと願っています」
「よその家の庭は美しく見える、と言いますが、本当にそのようですね。宇宙の星たちは、地球は幸せだけで、不幸を知らない星だと思っています。宇宙人の天国は地球、地球人の天国は宇宙のようです。地球が回転しているあいだは安心ですが、回転しなくなった時、地球は死んだことになるのですね。地球はいついつまでも、ダンスをして欲しいものです。地球は、私たちの天国ですもの。地球よ、永久に!と、祈っております」
と、マコはりらに言いました。
りらも、地球がいついつまでも、回転してダンスをしていてくれるように祈りました。