まるちゃんへ
僭越ながら、先日お亡くなりになった、さくらももこさんへの追悼文です。
そういったものがお嫌いな方は、ご面倒をおかけしますが、移動してくださるようお願いいたします。
ちびまる子ちゃんのことを考えていて、いろんなことを思い出しました。
たぶん、コミックの章と章の間に入っていたエッセイマンガか、エッセイ集かで拝見したのだと思いますが、作者のさくらももこさんが子供のころにお住まいだった清水では、駄菓子屋で「おでん」が売られていたという話から。
カミングアウトしてしまえばさくらさんとほとんど同年代の私が、ちびまる子ちゃんの設定の時代のころに住んでいた地域(ごく限られた私の近辺だけかもしれませんが)では、そこが「お好み焼」で回っていました。
イートインOK、テイクアウトOKのシステムも同じ。
キャベツが入っただけのものは20円、卵入りは50円…………だったと思う…………のですが。
注文してからお店の『おばちゃん』に焼いてもらっていました。みんなでおばちゃんの周りに集まって、作るところを見るのがまた楽しみで。
焼きあがるまでおばちゃんと話す子、何も言わず、ただお好み焼きを作るおばちゃんの手つきを、じーっと見ている子、いろいろでした。
当時のお小遣いは日払いで20円とか30円とか。
子どもの世界にも貧富の差はあり、卵の入った50円のものをいつも食べている男の子は、やはり、年に一度は家族で海外旅行もするような家の子でした(当時では珍しかったですね)。
たまに、一日我慢しておこずかいをためて、ランクアップして卵入りを食べてみましたが、感想は『かえっておいしくなくなってる』。
他の子たちもほとんど同じ意見でしたね。
ああいうもののチープな味は最強でした。
たま~~~に小腹がすいて飛び込んだような大人のお客さんが店に居て、そんなところに鉢合わせすると、みんな黙って帰りましたね。まるで、後ずさりでもするように。なんだか店に足を踏み入れてはいけない気分になって。
なんだろう。悪いことしているのがばれたような感じ。
たとえば、自分たちの基地だと思って占領していた空き家が、だれかの持ち物だったと知ったときのような、そんな感じ。
たとえが下手すぎるけれど。(笑)
余談ですが、お小遣いについて。
私の母は、私に月刊のマンガ雑誌、まさに『ちびまる子ちゃん』に出てきた『なかよし』や『りぼん』を買わされるのが不満のようで、「お小遣いで買えばいいのに」と言っていました。
今になって思えば、それはアナタが日払いで渡したからでしょう、月々いくらで渡せばよかったのに、日払いならその日に使い切っちゃうよ、と思うのですが…………。
さりとて、何年か前に、我が家で娘のお小遣いを、当時ちょっと流行っていた年俸制(元日支給)にしたところ、1月20日には、もうほとんど残っていない…………という事件もありましたので、その親である私なので、結局同じことをしただけかもしれませんが(あるいは自分が覚えていないだけで前科あり?)。
そのうち、お小遣いは、日払い50円になり、やがて、月払い3000円に代わり…………いつのころからか、あのおばちゃんのお好み焼きも、駄菓子も買うことがなくなって。
先日、ふと思いつき、その駄菓子屋のあった辺りをグーグルで見たら、お店をやっている雰囲気ではないけれど、建物自体はそのまま!! 手入れもされているようで、きれいに残ってました!
Σ(~ロ~;)
もしや、あのおばちゃん、まだ、ご存命…………? 当時すっごくお年寄りに見えたけど、実は結構若い方だったのかしら?
子供が見る大人は実際より大人に見えるといいますし…………。
一つのことをを思い出すと、あんなこともあった、こんなこともあったと、あやかしが列をなして現れるように、次から次へと脳内に、やや美化されて靄のかかった、優しく切ない子供時代が、浮かんでは消え、浮かんでは消え…………。
思い出すきっかけは、いつも、『ちびまる子ちゃん』。
さくらももこさん、もちろんお会いしたこともございませんが、あなたがいなくなって、寂しいです。
ゆっくりお休みください。
お読みいただきありがとうございました。