第六章 保存計画その二
さて、今回、車両が増えます!
さて、前回問題になった車両輸送の件で、保存会に思わぬ幸運が・・・・・
ヒントは「鉄道ラジオのスポンサー」です。
お楽しみに!
翔悟が仲間入りしてから三日後の放課後、真美から《亀が城に来てね~》というLINEが来た。
カンカンと一緒に亀が城に向かう。
亀が城の石垣の下には、『カメリーナ』と呼ばれる体育館がある。その駐車場を横ぎっている途中、わたしはみょうなものを見つけた。
すごく大きいトレーラーが止まってる。
(なに・・・あれ・・・・?なんか機関車とか運べそう。)
その荷台に座ってるのは・・・・・・。
『真美!?翔悟!?』
わたしとカンカンの声がハモる。
「やっほ~、大和、カンカン、こっちこっちー。」
手を振ってる真美にダッシュで駆けよる。
「だいじょぶなの?勝手に他人の車に座ったりして。」
その問いに、真美は平然として答えた。
「え?これ、うちのトレーラーだけど。」
『え?マジ!?』
また、カンカンと私の声がハモる。
「あんた、なんでトレーラー持ってるのよ。」
カンカンがきくけど、真美は聞いちゃいない。
「じゃあ、このトレーラーに乗ってね~。」
そう言って、トレーラーの助手席に乗り込む。わたしたちも、トレーラーの後部座席に乗り込んだ。
わたしたちがシートベルトを締めると、真美が運転席に座ってる男の人に声をかけた。
「じゃあ、飯野さん、おねがいします。」
「わかりました。お嬢さん。」
飯野と呼ばれた人が答えた。
トレーラーは、駐車場を出て、さらに市街地を出ると、雪化粧した磐梯山に向かって走り出した。
「真美、一体どこに向かってんの?」
「北塩原村にあるわたしの家に向かってるの。」
真美が答える。
くねくねしたカーブが連続する山道を通り抜けて、北塩原村に入った。そして、『白木城運送』と書かれた看板のところを曲がる。
駐車場に止まったトレーラーから降りたわたしたちに、真美はここのことを説明してくれた。
「わたしのうちはねぇ、重量物運搬が専門の運送会社なんだ。鉄道車両も運んだことがあるよ。だから、車両の運搬はこっちに任せて。」
「うそ!じゃあ、お願いできる?」
「もっちろん!無料でやってあげるよ。」
真美からの頼もしい答え。やったぁ!運搬手段確保!!
「それだけじゃないんだ。みんな、ついてきて。」
真美がわたしたちを案内して、駐車場のすみっこにある建物に向かう。
建物の前に立ったわたしは、すごいびっくりした。だって、建物のシャッターの前の地面には二組の線路が埋め込まれていて、看板には、〔白木城運送 SL展示館〕って書かれていたんだから。
真美がポケットから鍵を取り出すと、シャッターを開けた。
「うわぁ、すごーい!」
「うわっ、すごいなこりゃ。」
「え!?なんでこんなのがあるの?」
そこに現れたものを見て、わたし、翔悟、カンカンが声を上げる。
そこには、ていねいに磨き上げられて黒光りする、三両の蒸気機関車が鎮座していた。
「みんな、入っていいよ。」
真美が声をかけると、みんなが機関車にかけよる。
わたしは、右側に展示されている、こぢんまりとした機関車にかけよった。
三つの小さな動輪の上に、大きめの水タンク、細身のボイラー、その上に優雅な形の煙突、丸形の蒸気ダメ、角型の砂箱、最後部に大人二人がぎりぎり乗れる大きさの運転室がついている。
「すごーい、これってコッペルだよね?」
「うん!オーレンシュタイン・ウント・コッペル製、井笠鉄道4号型6号蒸気機関車!やっぱりわかる?」
真美のうれしそうな声。
「これね、井笠鉄道が廃止になるときに、わたしのおじいちゃんが、買い取ったの。で、これを岡山からここまで運んだのが、この会社の鉄道車両輸送の始まり。」
真美の声がいつも以上に元気になってる。
「なー、となりに置かれてるやつはなんていうやつ?なんか見なれない車両だけど。」
翔悟が真美にきく。
「あー、これはね、前にあるテンダー機関車が中国の〔芭石鉄道〕から来た車両。後ろのタンク機関車が台湾糖業公司で使われていたベルギーのアングロ・フランシスコ・ベルジ製363号蒸気機関車。すごいでしょ。」
真美のテンションがさらに上がる。
「ねえ、真美、なんで、中国とか台湾の車両があるの?」
わたしがそういったとたんに、真美の表情が暗くなった。あれ、わたし、なんかいけないこと言っちゃった?
真美のうつむいたその顔に、キラリ、と涙が光った。
大和「大和とぉ!」
真美「真美の~!」
大和・真美『鉄道ラジオ~!』
―この番組は、白木城運送、野口自工、國分電器店、沼尻鉄道保存会、猪苗代町の提供でお送りします―
大和「さぁ、本日も始まりました鉄道ラジオ!メインパーソナリティーの國分大和で~す!」
真美「同じく、保存会のアイドル、白木城真美で~す!」
大和「ちょっ、誰が保存会のアイドルだって?」
真美「わたしに決まってんじゃん!この保存会一の美貌をしっかりと見てね。リスナーの皆さん。」
大和「言っとくけど、これ、ラジオだからね。」
真美「それでも、わたしが可愛くてきれいなことには変わりなし!」
大和「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」(ジト目)
真美「ん?どうしたの?」
大和「なんでもない。モテる女はいいねぇ。」
真美「さて、今日もリスナーの皆様からのお便りが届いております。広島県呉市の神崎永信さんからです。」
大和「『今回初登場の6号機関車がいた井笠鉄道とは、どんな路線ですか?』だそうです。」
真美「はい、井笠鉄道は、かつて岡山県の井原と笠岡などを結んでいた軽便鉄道です!」
大和「結構遅くまで残ってたから、写真とかも残ってるね。」
真美「しかし、モータリゼーションの波にはあらがえず、1971年をもって廃止となってしまいました。」
大和「その後も会社自体は残って、バスの営業を続けたけど、それもとうとう廃止・・・・・・悲しいですね。」
真美「神崎さん、これでよかったでしょうか。それでは皆さん」
大和・真美『また次回、お会いしましょう~!』
どうも、七日町です。感想欄において、二人の鉄道ラジオに対する鉄道系の質問のお便りを募集します。こちらで内容を吟味した結果、一回につき一つを掲載いたします。