第四章 保存会始動!
やっと本題ともいうべき沼尻鉄道が登場します。これまではラジオで活躍していた真美ちゃんも本編初登場です!お楽しみに!
なお、作中で真美が話している中国語は、文字が本当の中国語とは異なります。
使用しているパソコンの都合によりこのようにさせていただきました。ご了承ください。
ユメカガミを緑の村の駐車場につないで、飼い葉袋をその首にかける。
「ほんとに緑の村まで来ちゃった。國分大和・・・恐ろしい子。」
なんかブツブツ言いながらついてくるカンカンは無視して、階段を上る。そして、ディーゼル機関車DC121の前に立った。ディーゼル機関車DC121は、その黒光りする車体で、静かにたたずんでいた。後ろに、客車のボサハ12とボサハ13が連結されている。
毎週土曜日、わたしは、この機関車の周りを掃除している。今日はカンカンも一緒だ。あれ、カンカン、急に慌ててどうしたの?
「わっ、わたしもやるの?」
「あったりまえでしょ!と、いうわけで、まずは客車の中の掃除!」
カンカンにほうきを渡す。
「・・・・。」
黙って客車の中に消えるカンカン。どうやら何を言っても無駄だとさとったみたいだ。フフフフフ・・・なかなか役に立つ親友だ。
わたしはポケットから鍵を出した。機関車の乗務員室扉の鍵穴に差し込んで回す。カチャリ、と軽い音がして、鍵が開いた。
バケツに水をくんできて、ぞうきんをしぼる。真冬の水はかなり冷たい。そのぞうきんを片手に持って、機関車の乗務員室に入る。運転台の計器類やハンドルを磨きながら、欠品がないかを確認
する。
こういう部品を盗む不逞の輩がいるんだよね。
あれ、そういえば、わたしたちがここに来た時、誰かが機関車の足回りを見てたけど、もしやその人も部品ドロボウ?今日は足回りもしっかりと確認しとこう。てなことを思ってた時だった。
「迩之否施鉄路迷?」
不意に後ろで声がした。
「え?」
ふりむいてみると、わたしたちと同年代っぽい人が立っていた。あれ?この人、さっき機関車を見ていた人だ。なんか中国語っぽいの話してるけど、どうすればいいんですかー、わたし中国語話せませーん! 頭の中はパニック状態。
「あっ、わたしは、白木城真美と言います。日本語だいじょうぶです。あと、中学1年です。」
あれ、日本語できるの?しかも私と同い年?だったらだいじょうぶだ。
「どっどうも、わたしは國分大和です。あの、さっきのって中国語?」
「そう!中国語で『あなたも鉄道ファンなの?』ってきいたの。」
白木城さんは、かなりの美人だった。形の整った顔の輪郭の中に、ぱっちりとした目、形のいい鼻、かわいい口とかがちょうどいいバランスで収まっている。それを漆黒の髪が縁取っていて、その髪を腰まで伸ばしていた。
普通の人なら暗く見えてしまいそうな真っ黒いPコートと長ズボン、黒いブーツがとてもにあっていた。
「まあ、立ち話も疲れるから、客車の方行こうか。」
「うん。」
客車の中では、カンカンが待っていた。
「とりあえず言われたことはやったわよ。で、となりにいるのはだれ?」
わたしは簡単に、白木城さんを紹介した。
「真美ってよんでね!」
白木城さん=真美が1000万ドルの笑顔を振りまく。
「大和ってよんでください!」
これはわたしの声。
「木地小屋栞奈です。カンカンってよんでください。」
これはカンカン。
「ねぇ、ところでさあ、大和とカンカンはなんで展示車両を磨いてたの?」
客車のシートに座った瞬間、真美がきいてきた。
「わたしは毎週磨いてるけど。」
「わたしはたまたま居合わせただけ。」
わたしとカンカンも答える。わたしは逆にきいてみた。
「じゃぁ、真美はなんで機関車を見てたの?」
「わたしも鉄道が好きなの。いつかは、この機関車を動かしたいって思ってるの。」
真美が答える。
「わたしも!だから、何人かで集まって、保存会を作ろうと思ってるの。で、メンバー探しの途中。」
わたしは、頭の中で組み立てた構想を一気に話す。走らせる場所は、沼尻駅跡に整備した記念公園から10キロメートルくらい離れた駐車場まで、何ににも使われていない軌道跡があるからそこを使う。車両は、この機関車と客車を整備する。
「いいね!わたしも参加する!」
真美がそういうと、わたしの手を握った。
「大和がやるなら、わたしもやる。」
そう言って、カンカンもわたしの手に自分の手を重ねる。
「じゃあ、沼尻鉄道保存会!始動!」
ここに、沼尻鉄道保存会が発足した。
大和「大和と!」
真美「真美のぉ!」
大和・真美『鉄道ラジオ~!』
♪汽笛一斉新橋を はや我が汽車は離れたり 愛宕の山にいい上る 月を旅路の友として(鉄道唱歌東海道版が流れる。)
大和「さて、始まりました大和と真美の鉄道ラジオ!本日は、ゲストをお呼びしております!」
真美「ゲストの木地小屋栞奈さんで~す!」
ドアを開けて栞奈が入ってくる。
栞奈「噂には聞いていたけど、このスタジオに来たのは初めてね。」
大和「ようこそ!カンカン!この鉄道好きが集うラジオへ!」
栞奈「言っとくけど、わたしは鉄道なんか好きじゃないんだからね。そこんとこよろしく。」
真美「ほんとは好きなくせに~。すなおじゃないな~」
大和「そういえば、作者は?」
真美「またいないみたい」
栞奈「そういえば、二人あてに手紙を預かってきた。なんか眼鏡をかけたヲタクっぽい人に頼まれて」
大和・真美『それ作者!』
栞奈「どうぞ」(手紙を渡す。)
大和 ガサガサ(封筒から便箋を出し、広げて真美に渡す。)
真美「『次は、第五章協力者ゲット!(仮)!保存会に新たな協力者が現れる!?こうご期待!』だって。」
栞奈「かなり大雑把ね」
大和「だから学校の課題に追われてヒーヒー行ってるんだよ。きっと。」
真美「あの愚作者だからあり得るね。」
(*)作者、諸事情によりお休み
大和「そろそろ、終わりの時間が近づいてまいりました。では、今回もこの辺で」
三人『さようなら~』