ジライヤ
「撃って。」
「・・・・・。」
しかし、ぼくはやつじゃなく森の足を握っているおじさんの背中に銃剣を刺した。太ったおじさんは何度くねくね動いて血を流した。しかし、おじさんの口からはずっと話が続いている。
「逃さない・・・。逃すもん・・・。妻・・・。」
おじさんは死んでも森の足を握っているつもりだった。ぼくはおじさんの手を足で踏んで森にビンタを食わした。
「てめええ!よくもぼくにこんな選択をさせたな!」
「森田あ!」
森の顔はまた涙を流れてめちゃくちゃになった。
「森!てめえはマリアとナミを守るためにはなんとしても生きろ!てめえを殺すのは!彼女たちが無事にっなっ・・・。」
ぼくも悲しみがわき起って、なんにも言う事ができなかった。
ごめんなさい!おじさん!
ごめんなさい!ぼく一人では長の攻撃から彼女たちを守れません!ごめんなさい!
ぼくは仇の森を救うためにこんな人を殺した。
この人は白か黒か?
妻の手術費を稼ぐためにこの中で人殺しになって長に加担した人は?このおじさんの目には外と建物の中の風景はどう映ったのか?建物の外とここは違うどころはあったのか?
建物の外で家族が死ぬ寸前だったら、もしぼくはどうする?ニュースとかで出る生計型犯罪では人々は、何万円を得るために人を殺したりするんだ。多分、このおじさんもそうなれたんじゃないのか?
だった何万円で人を殺す。
だった何百万円で人を救う事が出来なくて人が死ぬ。
人の価値ってその何万円、何百万円で決められる物だったのかよ?なら、このおじさんは白か黒か?
分からない。なんにも分からない。
ただ、目の前に見えるのは無彩色の水蒸気だった。水蒸気はそもそもこの建物には曖昧な灰色だけだと言っているようだ。
「森田。」
「静かにしろ。まだ終わっていない。」
また後ろでは何百万を叫んで喜んでいるやつらの声が聞こえた。やつらの目には森って歩くお金にしか見えないだろう。
「森田。ありがとう。」
「うっせよ。」
森はぼくがそんな選択をした理由がよく分からないようだ。ぼくだって自分の仇であるこいつをなぜ殺さなかったのか後悔している。
殺す機会は何度もあったのに殺さなかった。ぼくは自分にもごまかすように森に言った。
「早くマリアとナミを探せ。きっと近くにいる。っていうかここも迷路かよ。」
ここはサウナの壁を崩して無理やり作った道らしく見える。サウナの裏にある蒸気パイプや水道施設に見える機械だらけだ。上にあった機械室と同じだったが、ここは風呂よりもっと水蒸気だらけで何にも見えない。
森とぼくは水銃器の中でひそひそ「トマト」をいいながら前進した。後ろには長のやつらが目を光らせてぼくたちを追い掛けているのに女子たちを探すなんで、やつらに捕まえたら森もぼくも殺される。
しかし、ここではナミとマリアを取り残してぼくだけで逃げる事はいけない。森とぼくはどうしようもなくに合言葉を話すだけだった。
「トマト。」
そして、水蒸気の向うから小さい声が聞こえた。
「お茶・・・。」
それを聞いてぼくより森の方が喜んで先に走ろうとした。ぼくは森の前で銃を下げていたか、銃を持っている手になんか変な感触が感じられた。銃剣の先になんかが触れたんだ!
「森、待って。」
「え?なぜ?お茶だと聞いただろう?おい、ナミ?マリア?無事なのか?」
「秀さん、われらは無事よ!ここどこなのかわかんない!」
「し、静かに!すぐそっちに来るから!」
森はもっと慌ててぼくを押してそこへいこうとする!
「森、てめえを生かせた事を後悔させるな!まって!」
「え?どうしたんだ!」
「ワナだよ!」
ぼくは銃剣でかかった物を森やつに見せた。水蒸気でよく見えなかったが、通路にはちょうど膝の高さで「ピアノ線」がかけられている。
「こ、こんなの転んで殺すのかよ?」
「しっ。」
長のやつらがどんどん近づいていて、状況はどんどん最悪の状況の中に進んでいる。ぼくは森にピアノ線の向うにある「何か」を見せた。
「!!!」
森は自分の口を両手で塞いで悲鳴が出るのを必死的に止めた。
「も、森田。」
「慌てるな、まだ線に触れてないから爆発はしない。」
ぼくはピアノ線の向うにある「クレイモア」を見ながらためいきをついた。
クレイモア。
もちろん、このクレイモアはRPGゲームでよく出る大剣の名前じゃない。
米国軍の「対人地雷」で局地防御に使う物だった。動画で何度だかこれを試演を動画を見たことがある。あの動画では親切に設置する方法とその威力についてよく説明してくれた。どう電線を連結して、どう激発するのかまで。
素人のぼくが見ても設置は簡単だが、その威力はそんなに簡単じゃなかった。
森のやつがのこのこピアノ線に触れたら、ぼくと森は爆発されて出てくる無数の鉄球に肉片になって倒れたはずだ。いや、あの動画の通りならこの狭いどころじゃ発射された後の後暴風も無視できない。
それにしても。え?なんでこんな最悪な水蒸気地獄にこんな地雷が?え?地雷?
地雷。
ジライ。
ジライヤ。
まさか、ジライヤってそんな意味だったのか!
「長のやつらは風呂でアイディ稼ぎをしたんじゃない。ただ足が止まっているだけだ。」
「森田、なんの意味だ。」
「ここはもう一人の「深淵の強者」がいるどころだ。ここには地雷が多数設置されたどころだよ。」
ぼくの説明を聞いて森の顔も真っ白になった。ぼくらは偶然クレイモアのワナを発見しただけで、ここで地雷とワナがどれぐらいあるのかは想像すらしたくない。
地雷屋。
長とやつらがいたずらで地雷屋だと名付けたんじゃない。きっと、ここは19層のように地雷屋の狩場だ。
「ナミ、マリア、そこで下手に動くな。ぼくがすぐくるから、動くな。分かる?」
「わ、分かりました。」
ナミの明るい話声が聞こえてぼくは一安心した。ぼくはライトを銃から外して森に渡した。
「も、森田。」
「心配するな。いざとなったら自爆させて道を開く方法もあるから。」
森やつは図星をさされたようで、なんにも言えなかった。
「ぼくと一緒に歩いて、もしぼくが見失ったワナを探すのだ。」
「俺が間違ったらどうする?」
「簡単だ。てめえとここで無理心中するだけだ。」
森はあきれてアホみたいに苦笑いをした。
「注意しろ。ピアノ線もあるけれど、こんな腕前なら踏んだら作動するとかの別の地雷もあるはずだ。」
ぼくはまるでグリンベレーの教官でもなった振りをしている。
「森田、君はそんなのどこで分かったよ?」
「YOUTUBEで。」
「YOUTUBEだと?」
てえめえらを殺す方法を探すために・・・。そんな事は言わなかった。ぼく一人じゃ危ないから仕方ない。
ぼくと森はすぐナミの声が聞こえて方向で動いた。前に歩くと言う簡単な動作がこんなに手間がかかるとは思わなかった。
そして、ナミの声が聞こえる場所にたどり着いた時、ぼくらはがっかりした。
「え?おじさん!え!」
ナミはぼくらに手を伸ばしたか、連子ようなパイプに阻まれてにっちもさっちもならない。もっと苦しいのはパイプの向うでナミとマリアの慌てている顔が見える事だ!ナミの手程度ならパイプの狭間を過ぎるのか、その以上の物は出入り出来ない!
こんなに近づくにいるが、なんにも出来ない!こんな迷路じゃあっちにたどり着く時間がどれぐらいかかるか分からない!
ぼくと森はナミの手を握って彼女たちを安心させた。
「慌てるな!下手に動いたらもっと危ないから、あっちから一歩も動くな!森!無線機を渡せ!「あ!分かった!」
森はビニル袋に包んでいる無線機を渡した。
「何があればすぐ無線機で知らせろ!」
ぼくはわざと地雷の事は言わなかった。余計にそんなのを言って彼女らを不安させたらもっと危なくなる。しかし、ぼくの期待を裏切ってどこからどかんと轟音が後ろから聞こえた。誰かがワナにかかったんだ。
「うああああ!助けて!俺の足が!足が!」
我らは反射的に身をかがめて、ぼくはパイプ向うのナミの手をきゅっと握った。ナミとマリアはパイプの向うでビリビリ震えている。
「心配するな。大丈夫。大丈夫。何にもないんだ。なんにも。」
遠いどころから長のその部下たちの悲鳴となんか言っている話声が連続に聞こえた。え?ちょっと待って。この状況は地雷を踏んで負傷されたようだ。
クレイモアは激発されたら周辺の何メートルに鉄球が飛び散る。こんな狭いどころじゃその「後爆風」も危ない。後爆風は周辺のパイプを切り破って飛び散るほどの威力に間違いないはずだ。
しかし、クレイモアよりもっと恐ろしい地雷はいくらでもある。まさか、地雷を踏んでも生きているのは、踏み込む式の対人地雷か!やっぱり、ここはぼくが考えた通りに色んな地雷があるんだ!
対人地雷がどんなに悪辣かは、ぼくも偶然に見たドキュメンタリ映像で分かった。
わざと「爆死」じゃなく負傷をさせて他の「仲間」に負担をかかるような地雷。
しかし、ろくな医者なんかないここでは即死と結果的には同じだ。
地雷にやられたやつは仲間に助けてって叫んでいたか、仲間たちはそれを完全に無視した。どうせ、
お金と力で動く集団にちっぽけな情けなんかあるもんか?
あいつらは仲間が地雷にやられたのに、むしろもっと恐ろしい事を何気なくした。
「前に歩け!てめえ、どうせ死ぬだろう!死ぬなら道を開け!」
「そうだ!さきのおっさんように犠牲しろ!てめえの家族にはアイディをじゃんと伝えるから!」
「そうそう!てめえどこ住んでいただけ?心配しなくてもいい!いけえ!」
「てめえ傷を見ろよ!どうせ、死ぬんだろう!ならカイロス様のために命をかけるのだ!」
ロシア軍が死刑囚を地雷地代へ詰め込んで道を開く方法と同じだった。問題はやつらは足首をやられた自分の仲間をむりやり歩かせるって事だ。
「死ぬのはやだよ!いやだあ!」
さっきまではぼくらを殺そうとしていたやつが、今度は子供見たいにわっと泣き出した。人ってこんなに残酷になれる動物だったのか?
建物の外では、全く見知らぬ人が酷く足首に傷ついたらどうなるか?
無視する人も一杯いるかも知らないけど、ほとんどの人は救急車を呼んだり、警察に知らせたりするはずだ。
そんなちっぽけな好意と善意を人間は持っているから。
しかし、アイディと言う「呪縛」にかけられて、人々が平気に仲間をクモの巣ような「地雷陣」におっ付けた。
「死にたくない!死にたくな・・・。」
そして、無情に地雷の爆発音が聞こえた。死にたくないって呟いた人の声はもう聞いていない。
「こっちだ!」
「こっちは安全だ!」
やつらはだんだん狂っている。今度は負傷されたやつだったが、あとは誰になるか?簡単に人を犠牲させたやつらは次は場合によって自分がやられる運命だとは分かっていない。
ハスタは最後の最後で酒呑童子に選択を無理強いされて、結局リーダだった消防官が自殺した。こいつらがそのまま最後の花畑でたどり着いたらどうなるか思いたくない。地雷に負傷した仲間をおっ付けるやつらがそこでは仏のようになって自ら自殺を選ぶと?
強い物が弱い物を食う。




