銃を持っているのは誰だ
チリン、ガチャ-、タアンー。
またそのリズムが頭の中で勝手に響いた。どうなったのか分からないが、早くこの場を離れなきゃ大変な事になる!ぼくは小銃を再装填する事すら出来なくて、無理やり身を動いた。
二秒!
時間は十分!なにより入り口で命をかけて経験したタイミングだ。ぼくは勇気を出して即時に走った。
しかし。
「なんだと?」
今度はチリンと薬莢が出る音が聞こえなかった。聞いたのはまた「ガチャー」ですぐ「タアンー」って響く銃声だった。
え?
木に当たった銃弾は辺りへ木の破片を飛び散らした。そして、またガチャ-と音が聞こえた。それは絶対「二秒」の間隙ではない!銃弾は一秒、いや!それより早い!
三発の銃弾が発射された時、ぼくは足を踏み外してそのまま前に転んでしまった。
今度も幸運だったのか?ぼくが立っていた位置に正確に銃弾が命中した!また木の破片が飛ばされてぼくの頬にも木の破片が些細な傷を残した。
三発目を避けたのは完全に偶然だった。スプリングクーラのせいで地面にはバナナの皮見たいに、熱帯の草の葉や植物が滑りやすい状況だった。ぼくは転んだ姿勢でそのまま大きい草の葉に身を隠した。
「な、何だ。あの射撃は?」
二秒だった考えた射撃の間隔は完全に間違っている。どういう事だ?あの感覚は自動小銃?いや、そんな物なら自動で撃ったら、ぼくなんか形態も残らずに殺されただろう。
きっと、ボルトアクション式小銃だ。微かだか、遊底を引く声を聞いた。村田銃?ぼくが握っている村田銃は物理的でそんなに連続射撃が不可能だ。
死んだ猟師を見たら、こいつらは「外」で使った銃を選択したらしい。村田銃ような古い遺物なんか誰が選らぶんだ?ならば、答えは簡単だ。
「弾倉が付けている小銃の種類。多分、村田銃と同じ「年より」のボルトアクション式。」
モ-ぜル、モシン・ナガント、スプリングフィールド。
そして、三八年式。
そうだ。それだ!三八年式だ!弾倉が付けて連発射撃が可能で「熊狩り」用で使ったもの!
村田銃と三八年式。
ぼくはそんな可能性を考えた後、死んだ猟師の役目が何なのか分かった。
「前方か。」
熊狩りは常に遠くから狙撃するのが原則だった。どんな兵器を持っていても、起った熊の前では誰でもやられる可能性があるから。
その理由で熊狩りは遠くで観察をする「観察チーム」と実際に熊を撃つ実際に「射撃チーム」で区分出来る。その中から観測を担当する側を「前方」と呼ぶんだ。前方は射撃チームよりさっきに偵察をしてその情報を射撃チームに教える。
ならば、死んだ猟師が前方なら?あら?そう言えば、残ったやつは?
「暗視ゴーグルは一つしかないかも。」
ぼくは微笑を浮かべた。
暗視ゴーグルは一つしかいない。根拠は今度も希薄だが、断片的な証拠を集めたらそう考えるしかない。
1.連発銃を持っているのに、やつはぼくがどこに隠れているか分かっていない!
2.死んだ猟師をマークしたのもただの銃が目的じゃなくて、死んだ方が持っている「観測装備」のせいだ!
3.ぼくが銃を発砲するのを待っていたのもそう言う訳だ!
そんな根拠が全部間違ったとしても、何より今猟師がぼくを攻撃しない事こそ確実な証拠だ
一人になった猟師にはぼくが見えない!
猟師も仲間を失ってこのジャングルではぼくの同じ条件になった!
残った猟師が撤退しなかったのも、やつ一人じゃ勝ち目がないせいだ!やつは銃を持っていたが、同じ銃を持っているぼくは一番排除すべき敵だ。
やつの目的はぼく!
狩れる方からお互い狩る状況になった。しかし、ぼくはしきりに出る笑いをこらえた。ぼくはこの状況を楽しんでいる自分にビックリした。
笑ってはならん!
19層で無数の人が負傷されて死んだ。そんなの楽しいか?
人を殺すのか?
森田ゆう!しっかりしろ!
人を殺すのを楽しんだら、ぼくはこのタテモノを絶対出ることはできない。
殺人に熟れるな!
喜ぶな!
人が人を殺すのが何が喜ぶ事か!もちろん、ここで猟師二人を全部殺さなきゃ、後で殺されるのはぼくだ。しかし、その殺人行為を楽しんでりゃ、猟師とどこか違う?
同じだ!
同じ物になるんだ!
汝が深淵を覗き込むとき、深淵もたま汝を覗き込んでいる。
怪物と戦う者は自らも怪物にならないように気を付けねばならない。
バイト先の鈴木さんがよく言っていたセリフだった。彼はただ中二病だったかも知らないが、本当に「深淵」に落ちたぼくにとっては役に立つ言葉だ。
そして、ハスタが言ってくれた消防官の話がまた思い出した。
きっと、ハスタとあの消防官もこの深淵の底まで行った後そんな言葉を残しただろう。なおさら、あの消防官が偉そうに見えた。ぼくはこの19層の戦争が終わった時、ああ風に言える事が出来るのか?
「化け物にはならない。なるもんか。ぼくはやるべき事がある。」
むしろ、ぼくには確実な目標がある。今度は太田とあのくそったれの仲間たちに感謝すべき事だ。ぼくは気を付けて周辺を睨んだ。
ぼくは人間としてこの19層を出るつもりだ。
人間で。
多少汚い事をしても人間で。
ぼくはぎりぎりと歯ぎしりしてまたこの「深淵」を見つめた。
状況は銃撃を取り交わした以後、そのまま時間が止まったようだ。前にいる中隊さんたちも何の動きもないし、入り口で入る新たな勢力もなかった。
ぽつりぽつりと水玉が地面に落ちる声が大きく聞こえるほどだ。猟師もぼくも相手の「音」に耳を傾けているんだ。猟師も、ぼくも下手に動いたらやられるだと分かっている。
ぼくは今持っている物を考えた。さっき、這ってここまで来る時、二本の矢は回収した。
ぼくに残っているのは弾倉が壊れた拳銃、七発しか残っていない小銃だ。
あ。ぼくは拳銃と小銃を考えた時、また意外な事に気がついた。クスノキで猟師が使ったトリック。
二カ所で見た銃口火炎。それは隠しているぼくを引き出そうとする策。
それを逆にやつに返したらどうだ?
ぼくは中国人のアイディを握ってちょっと考えた。猟師は自分が考えたトリックだから、すぐ分かるハズだ。
機会は今度も一度しかない。ぼくが持っているすべてをかけてやつを殺す。
ぼくが深呼吸をして準備をした。ぼくも狂っているかもしらない。どんどんこの建物の悪意に沈んで行くようだ。
この戦いで勝つしかない。
敗けたらあの中国人にもし分けないことになる。
ぼくは村田銃を握ってため息をついた。またこんな泥水だらけの地面を這う時間だった。
濡れた木の葉と草が身につける感触は愉快だとは言えない。ずっと、泥水を這ったせいなのか?寒い。だった、何時間までは乾きと熱さで苦労をしたが、今度は低体温症を心配しなきゃならないどころだった。
くっそ、死ぬもんか?
ぼくは這ってまた這って、さっきいたどころから十分離れてまたため息をついた。
「て、てめえは?」
こんなバカな。
まさか中隊の残党がここにいるとは!中隊長はサタンロケットが分離すると同じに負傷された部下をどころどころに捨てて先進したようだ。
負傷された二人は即時に反応した。一人は石斧を高く上げて、もう一人はナイフを木の枝に縛った槍をぼくを攻撃するどころだった。
やつらの音が思ったより大きい。
バカなやつら!
タアンー!
こっちに銃弾が飛んできた。目の前で人が銃に撃たれたのは始めて見る事だった。肉片と血がぼくの顔にも飛び散って石斧を持っていたやつはバッサリと倒れた。
「しっ。」
ぼくは銃剣をもう一人のやつを狙って唇に指をあてた。
やつとの距離は1メートル。短いナイフではぼくに勝てない。やつは目玉をキョロキョロしながらぼくを見ている。そして、やつは急に歯を見せて笑うながら信じられない事をぼくに言った。
「てめえ、まさか森田なのか?」
え?こいつどうやってぼくの本名を知っている?やつの表情は卑劣に変えてちょっと生意気な顔になった。やつは得意満々な顔でぼくにささやいた。
「やっぱ、あの森田か?あのバカの。」
やつは顔で付いた泥水を洗って自分の顔をぼくに見せた。
!
ぼくが一生忘れない顔。
ぼくが殺したい四人の一人。
まさか、太田に続いてこいつまで中隊兵になったとは。
こいつ、日野も中隊だった!
日野は昔のようにぼくを見つめた。
日野の顔は高校二年の時よりすごく変えている。耳にはピアシングが派手にあって、あごひげやタトゥーで高校の時と印象が完全に違う。あの時の日野は見た目は模範生で、先生たちも信頼している生徒だった。
もちろん、「奴隷」をいじめる時には悪魔、その者だった。櫻井が主に身体的に虐待するほうなら、こいつ日野は知能的に奴隷を苦しめる方だった。
女の子に無理やり告白させるとか、生徒服を奪って半裸で歩かせるとか。やつは表では善良な生徒ぶりをしながら奴隷の一人を自殺に追い込めた。日野は言葉でぼくの人格をめった切りした。
下手に申告すれば家族を殺したりとか。
妹がいる奴隷には妹をレイプするって酷い話もいった。
日野にお姉さんと妹が目の前でレイプされるのを見た奴隷もいるらしい。自殺したぼくの知り合いもそんな事を見ただと聞いた。
身体的の痛みはどんどん熟れるが、精神的な屈辱感は熟れても熟れない。やつに虐められて人としてこのまま生きてもいいかなって考えた事もある。
あのやつがあの時の卑劣な顔をして、ぼくの前にいる。やつは卑劣に笑って本性を現わしている。
「森田ア。あんたとここで合うとは・・・。食糧あったら出せ。そして銃もこっちに渡せ。中隊長に捨てられて死ぬかと思ったよ。」
やつはあの頃と同じに優しくささやいた。
「おい、森田。なにをしている?早く渡せ。」
ぼくはまた唇に指を当たってやつに銃を照準した。
「お、おい?なにをしている?」
「日野、何をしているだと思う?」
「え?も、森田、てめえ?」




