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キジ狩り


ぼくは餓鬼のような中隊員を足で蹴った。さっき感じた人間としての感想はもういない!生き残るためになんでもするんだ!


ぼくはついに19層へ繋がる通路へ走り込んだ。ここもいろいろワナにやられた中隊員が、ぼくに「安全などころまで運んでくれ!」と叫んでいる。


地獄だ。

ぼくが思った以上の地獄だ。


ぼくはその地獄の通路を走りながらそろそろ濃い花香りの感じた。


ここが植物園?


空港の連結通路を似ている通路の終りには魔王城とそっくりの大門が見えた。

勝手に付いたつたや雑草が魔界にある建物のような光景になっている。大門は半分開われて、あっちにもけが人が走っているぼくになんか叫んだ。


「くるな!こっちはダメだ!」


大門にいるやつはぼくを中隊の一員と錯覚したようだ。ぼくはその警告なんか気に使う暇もない。後ろには抹殺部隊ように玉将のやつらが負傷者を全部殺している。ぼくも捕まえたら、ただではおかない。


昨日、中隊幹部も酷く拷問されてそのあとは殺されたはずだ。ぼくも玉将のやつらに捕まえたら絶対拷問されて殺されるだろう。首の後ろに氷を付いたようだ。 


「入るな!こっちは!」

「どけ!時間がない!」


中隊のやつは腹を手で抑えて一つ言葉を振り絞る。


「狙撃だ!やつらがこの門を狙っている!」


ほぼ同時だった。


パアンー!


銃声を聞く同時に何かか頭の周辺を掠る音が聞こえた。え?一瞬、ぼくは何かで均衡を失われて後ろに倒れた。その同時にカン-と金属音が響いた。


耳鳴りのせいでなんにも考えずにぼくは倒れたまま身をかがめるしかなかった。


ぼくはすぐ何故ぼくが倒れたのか分かった。19層の大門にはまさに地獄の入り口だと言えるビジュアルだ。10人ほどの屍体が銃に打たれて無分別に倒れている。


あいにくにあの屍体から流れている血の川のせいで、ぼくのスリッパがスケートのように滑ってしまったのだ。むしろ、こう滑った方がぼくにとっては運がいいどころだった。あのタイミングで門に入ったら、倒れた屍体ように頭に銃弾を撃たれてやられただろう。倒れた屍体は全部一撃で頭をやられたようだ。


これは狙撃だ!


猟師たちは19層に入るどころをスコープで狙ったんだ!19層を戦力したやつらが「熊狩り」だと聞いた時、気づくべき事だった。散弾銃で近距離を狙う猪かりとは熊狩りはやり方が全然違う。熊狩りは徹底的に遠距離で狙撃するのが原則だ。当然「村田銃」にも望遠照準器ースコープが取り付いているはずだ!


狙撃か!


反射的で首を回して見たら門の金属取っ手に銃弾に撃たれて変な形で曲がっている。曲った部分には綺麗に「穴」が出来た。


ぼくは当たり前に銃で撃たれた経験なんかないんだ。ぼくをすれ違った銃弾の威力を見たら、これは思ったよりやばく見える。


映画や漫画では銃弾を撃たれてもぺらぺら喋るながら動くかもしらないが、ぼくは倒れた屍体を見て「現実」を痛感した。


だった「一発」だけ撃たれても戦闘不能、或いは即死だ。何より19層にいる無数の負傷兵たちがそれを証明している。あそこまで逃げたやつは運がよかった方だ。


ここに積っている屍体は大部、頭を狙われて即死した人だらけだ。ここに医者はないのでその上に血止めをする薬品や手術機材も当然ない。


一発で殺される。


漠然と考えた銃の恐怖はその以上だ。どんな武器も危ないだろうが、銃だけは格が違う。


「あんちゃん!運がよかった!」


ぼくに叫んだあのやつがニヤリと笑うながらぼくの示した。やつはぼくにアイディと「うまい棒」を見せてまたニヤリと笑った。


「俺を移動させてくれ。」


ぼくはやつと同じくニヤリと笑うながら後ろを示した。


「前に進むしかない。」

「え?」

「玉将の部隊が追い掛けている。」

「え?なんなと?」

「セラピストが言った通りだな。人、前向きにしたら何とかなるさって。」

「え?あんちゃん、なにをしとる?」


銃。


ぼくはYOUTUBEで見たボルトアクション式小銃の装填時間を考えた。もうすぐ後ろには玉将のやつらが登場するはずだ。しかし、ぼくは落ち着いて銃のボルトー遊底を引っ張るモノマネをした。


遊底を引っ張って装填するには凡そ0.5秒ほど掛る。単発式の村田銃は薬室に銃弾を一発ずつ直接装填する時間も必要で、その時間が凡そ1秒。銃弾を握って準備をしても遊底を引き出す時間と銃弾を入れる時間が一秒ではできない。


約、二秒。


二秒は短いと言えば短くて、長いと言えば長い時間だ。

ぼくはまた遊底を引っ張るモノマネをして時間感覚を考えた。


出来る。

出来るんだ。


ぼくが考えている通りなら出来る!


そして、19層の中では銃声が響いた。19層の中でもあの猟師たちが中隊の誰かと戦っている証拠だった。ならば、ぼくにもっと勝ち目はある。


銃二丁が同時に入り口を狙う可能性はとてつもなく低い。多分、中では中隊本隊が猟師たちと激しく戦っているんだ。入り口の狙い打ちは増援を警戒してなるべく少数の敵を「招待」する策略だ。

例え銃だとしても単発式ボルトアクション銃では一斉突撃には耐えられない。


そして、ピッタリと時間を合わせて、後ろに玉将のやつらが登場した。


「こっちだ!こっちに隠れている!」

「あの野郎だ!半ズボンのやつ!」

「あいつ何をしている?え?ここはなんだ!」


玉将のやつらも19層の入り口を見て、なんか恐怖を感じたようだ。ぼくは玉将のやつらをふと振り向いた後、大門にまた入り込んだ!


パアン!


この世の中には経験して熟れてる事なんか一杯あるが、銃に狙われるのは全然熟れる気がしない。銃声と共に血と肉片と骨が撒き散らした。ぼくはかなり重い銃弾の運動エネルギを感じた。こんなのが死ぬのか?


ぼくは一瞬均衡を失ったが、もうすぐ身を建て直して前へ走った。


「んだと!」


どこか遠くで誰かがそう言っている声が聞こえた。へん!そっちからみたら「首ない屍体」が走るように見えるだろう!


ぼくはキャンピング斧で切った人の生首を捨てた。あの生首はもう形態すら分からなくなっている。あの屍体には気の毒だが仕方ない。ぼく一人入ったらぼくの生首があんな風に粉粉になったはずだ。

人の生首をぼくの頭の上に乗せて走るなんで、これは以前なら考えられない策だった。生き残るならなんでも利用する気だ。何でも!


19層、植物園の中にはぼくが思った以上に植物だらけだった。無秩序に育ったつたや雑草のせいで植物園じゃなくジャングルに近いどころだ。


門を通ってその近くには大きいな噴水隊があった。そこでは先に入った中隊員一人が負傷したまま座っている。ならば、そこは狙撃で安全などころだ!ぼくも身をかがめて、中隊やつがいる噴水隊の欄干の段差に座って背を寄せた。


「你是什么小队的!」

「日本語で言え、日本語で!」

「你不是连员吗?」


やつは日本語を全然出来ないようだ。ハスタが言った通り中隊の頭脳部は中国語しか知らないようだ。もちろん、あの中隊長は日本語もよく喋ったがそれはやつが特別なケースだろう。こいつも負傷があってここにすてられたようだ。


「あんたも捨てられたのか?」


この中隊やつも左腕に傷をついて残されたようだ。両足は問題はないに見えるけど、そんな彼の状態は中隊には「荷物」にしか見えないんだろう。


ぼくはやつの肩に飾っている階級章を示した。やつの階級をみたら、恵比寿よりもかなり高い階級らしい。しかし、階級はこのジャングルの中ではなにも役に立たない「おもちゃ」に過ぎない。


中隊の中では特権階級として豊かな生活をしたかも知らないけど、所詮組織から裏切られたやつの末路ってこういうもんだろう。


「不要放弃我。」


なんか、分からないがやつが何を言いたいのが分かる。助けてくれって言っているだろう。やつは急に胸底から変な布切れを出した。


「なんだこりゃ?」

「密码!连的密码!」


布切れに描いているのは点と線の何かだった。


「これはまさか、中隊の信号?」


そこにはぼくも知っている彼我識別の信号もあった。しかし、ぼくはここの状況を思い出してやつを向かってニヤリと笑った。


こんな暗号なんかもう意味ない。


18層の連結通路にいる負傷兵はえ20人。大門にいる屍体と負傷兵は20人。


これで昨日からの戦闘で損失を加えたら中隊の本隊と親衛隊まで、中隊の全体兵力はもう崩壊された。中隊に残っている兵力は十数人しかないんだ。いや、中隊長を含めて全中隊がここで全滅されたと考えてもおかしくない。


戦略が底からずれっている。中隊がこんなに急速で崩れるとは思わなかった。銃ってこんなに恐ろしい物だったのか?いや、問題はあの猟師が占領したこの植物園と言う地形が問題だろう。


鏡の破片で周辺を見てもどこがどこなのか分からない。その上に草と雑草が茂っていてどこが「道」なのかも分からない。下手に出たら草やつたに足がとられてワナにやられるかも知らない。大声を出して倒れた人って、猟師にはいい獲物にしか見えないだろう。


一体、猟師たちはどこで隠れているんだ。


ぼくは狙撃どころが通常の射撃方法も知らない。しかし、スナイパー映画とかを見て狙撃に有利な位置などは分かっている。


「高いどころ。全てが見えるどころ。」


ぼくの目は自然に高い何かを探したが、ここには高いどころが多いのでどっちがどっちなのか分からない。植物園の天井までは凡そ15メートル?天井までは高い木の枝が届いていて照明さえよく見えないほどだ。


こんな状況で隠れている狙撃兵を探すのはまさに自殺行為だ。この噴水台も今は安全かも知らないけど、猟師の一人が移動したらどうなるかは分からない。まなに進退両難ってこんな事だろう。

外には玉将のやつらがいて、ここには猟師たちがいる。


銃。


銃ならぼくもある。もちろん、拳銃だけどよく策を考えたら、いい結果になるかも。

いや、なるんだ。


ぼくは残っているアイテムと武器を確認した。一旦、キャンピング斧と他の細々しい物はここでは役に立たない。


田舎ですんでいた時、猟師がどんなに獲物を追うのかは薄々分かっている。聞いたことだけど、熊狩りは徹底的に遠距離で狙撃するのが原則だった。熊に接近を許容したら銃を持っていても危ないから。


つまり、あの猟師たちが、ぼくみたいな素人に斧とかを使う「距離」を許す訳がない。中隊やつらも猟師たちと距離を縮める事を失敗してやられただろう。

要は距離をどう縮めるのかだ。


村田銃の射程距離はよく分からないけど、あの頃の小銃は凡そ100メートルは楽に越える射程距離を持っている。


100メートルかよ。厳しいな。


このジャングルと銃の組合はとてつもない凶悪すぎる。ぼくは唯一の遠距離武器として自転車チューブを握った。そう、熊が遠距離攻撃をするわけはないから、これならどうかなるかも。


ぼくは熊狩りは一度もやった経験がないが、「キジ狩り」なら祖父とやったことが結構ある。弓道と柔道の達人だった祖父は冬の時はぼくを連れて弓でキジ狩りをした。ぼくはただ祖父が打ち落したキジを拾う役目だったが、どうキジ狩りをするのか分かっている。


「猟犬を放すんだぞ、このキジやろう。」


ぼくは噴水台の死角であっさりと横たわって、両足に自転車チューブをかけた。中隊やつはぼくが何をしているのかよく分からないようだった。


「あんたも生きたいならぼくを手伝え!」


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