砂の記録
中隊の偉大なる目的、玉将やつらの「復讐」っていう名分。
こっちから見たらそんなのどうでもええじゃないか?チャップリンが言った通りに、人生って近いどころで見たら悲劇でも、遠くどころで見たら「喜劇」になるかもしらない。
遠くで見たら激しい戦闘はただ芸能番組に見える。
遠くでも長の姿が薄々見えてぼくは彼をちょっと見つめた。長にはこの中でも恩があるが、今の状況じゃ彼とは合流は出来ない。
「ぼくは卑怯だよな。」
「え?なにかよ?」
「いや、なんでもない。」
もしかしてぼくがもっと積極的にハスタの安全保障を含めて、長と同盟をしたらどうなる?この悲劇を越える方法を発見する事も出来るんじゃないのか?しかし、その想像もただの想像でどうしようもない現実がぼくを待っている。ぼくは躊躇っていい機会を失っている
ぼくはゼロ層から今まで迷っているばっかりだ。ゼロ層で太田に殺された「あけみ」と老人もそうだし、ぼくが必死に粘っても建物はぼくを卑怯だと言えるようだ。
「どーちゃん。何を考えているのか分からないけど、余計な考えは禁物だよ。」
しかし、彼女は両手の掌でぼくの頬を抱えて静かに言った。
「逃げても、逃げてもいいよ。卑怯だって誰が言っても最後で生きてる人こそ勝利者だから。」
「しかし。このままじゃダメだ。」
「いいえ、約束だったんでしょう。19層まで。」
「しかし・・・。」
「どーちゃんは自分の目標に集中しなさい。私はどうでもいいから。」
彼女は頬を抱えて話を続いた。
「私もよくは分からないけど、あなたの目標こそ重要な物だと思うよ。」
「しかし、それはぼく自分の個人的な恨みなんだよ。」
「主催側の「彼」はそんなに優しい人ではないよ。きっと、あんたこそ今回のゲームの大事なヒントよ。」
ハスタはため息をついた後話を続けた。
「あんたは目標を殺す、私は出来るだけ多い白羊を。それでいいよ。無理しないで。」
無理はハスタ、あんたがしているんじゃないか?彼女も上であったいろんな事でもう崩れる寸前だろう。仲間を全部失って残っているのは曖昧な道連れのぼくだけだ。
ハスタは優しい心でぼくを必死に慰めているのでぼくはその姿がもっと悲しく見えた。
「ハスタ、心配するな。ぼくの目標も19層へいるから。」
ぼくは太田との悪縁を感じている。あのやつが中隊の名もない兵士に殺されるとは思えない。
「聞いただろう。300万のやつ?あれがあいつだ。あいつがすでに19層に降りたそうだ。」
ハスタも一手遅く300万の持ち主が誰なのか気づいた。
「太田やつのキャラクタなら一人で19層に挑戦なんかはあり得ない。」
「どーちゃん。ならばどうするつもり?」
「やつを引き出すには19層の陥落、或いは19層の不安定が必要だよ。やつは追跡を避けるためにどこかで潜っているから。」
「あ、私をわかるよ。身分がばれた時点であの人はここにいる誰より19層の下へ降りたいだから。」
そうだ。太田はもう19階以上では「歩いている100万」になった。19層以上にはウワサが広がって中隊、玉将の連中じゃなくてもほかの連中も分かっている可能性が高い。この中で高いアイディの持ち主はどんな情報よりいい物だから。
そんな理由で太田やつは一刻でも早く19層を突破した方が生存に有利になる。
「ハスタ、どの道、19層間では一緒にいこう。」
19層。
また、19層はハスタとぼくの共通の目標になった。そして、ぼくはスカイラウンジの向うを見回った。
「あれもある。ぺルの名前を外に伝えなきゃならないから。ぼくも聞いたよ。」
「あ・・・。」
「やつの名前を知っている人が二人ならもっと確率は高くなるんだろう。」
人の名前がぼくの首にかけている。
犠牲になったぺルのためにも絶対19層を突破するしかない。ぼくは玉将のやつらがいる場所を見て話を続いた。
「一旦、この場から離れる方がいい。戦闘ももう終わりになるらしい。」
彼女はスカイラウンジーの向うを見ながら首を振った。ここは下で降りる関門だ。いつやつらが来るか分からない。
ハスタは階段を降りてまた光が届かない暗いどころにぼくを案内した。そして、この層には親切に
「15層」って誰がペイントで書いた文字が見えた。
15層?
ゼロ層からぼくが知る限り階の数を数えたが、なんか階の数字が合わせないようだ。まあ、どうでもいいだろう。問題は階じゃなくて19層まで何階残ったなのかだ。
4層。
ハスタとぼくは暗闇の中で約束した通りにため息をついた。今日ずっと追い掛けた精神的な疲労がもう最高潮だった。
「この下に休憩室がある?」
「一所だけあると思う。しかし機械室で聞いたでしょう。中隊はそこを本部で利用するらしい。」
「あ、そうだったな。」
ぼくは15階の周辺を見ながら軽く首を振った。一体ここは何んなんだろう?
スカイラウンジーの下に「和の庭」ってなんだよ?周辺の地面全てはサラサラな砂だらけだった。柱を中心して同心円の砂文が熊手なんかで綺麗に作っている。ちらっと見てもあの砂文は丁寧に作った物のようだ。
一体どんな意図だよ?和の庭って。
その疑問もすぐ解けた。
よく見たら立派なものは砂文だけで、周辺は和の庭らしい物は全然ない。つまり、この空間は最初から和の庭のために作られた空間ではない。
柱の数を見たら、多分ここも上見たいに無秩序に入った「商店街」だったらしい。それを無理やり、砂を敷いて和式風に変えただけだ。
こんなに大金をかけてここを変えたのも理由はあるんだろう?その理由は。
「ここは記録室だよね。」
ハスタは暗闇の中で「そう」だと答えた。彼女がここに降りて暗いどころを選んだのはこんな理由だった。
砂の上には動いた人達の足跡がそのまま残っている。ほうきで掃いてもその痕跡を全部消えるのは無理だ。同心円はあまりにも完璧すぎで、ほうきなんかで掃いても「誰かが移動した痕跡」は残る。
ぼくはその足跡の群れの中でなんか意味あるのを発見した。
中隊とかの大部隊が一糸不乱に移動した痕跡は消えているが、少数に急いで動いたやつらはその痕跡を消す時間さえなった。
ほうきで掃いた痕跡の上に、誰が走った痕跡がそのまま残っている。もちろん、ぼくには猟師見たいに足跡だけで追跡する能力はない。しかし、あの痕跡はあまりにも確かな物だった。
箒で掃いた痕跡は退却した中隊の物だろう。19層の敗北で大分の兵力が上に移動したから。
つまり、ここを慌てて走るやつは一人しかいない。中隊なら急いで走る理由はない。玉将の勢力はまたここに入ってないし、敢えてここで走る理由はない。
よほど、急いに走ったもの。
太田見たいに。
あの足跡は太田の物に間違いないだろう。なんど転んだ痕跡もあって、どんな状況だったのは足跡が言っているようだ。ぼくはその足跡からもっと変な事を発見した。
「やつは傷付いたのか?」
倒れた痕跡の周辺で血が砂の粒子とベッタリと付いている。そして、その痕跡から飛び飛びと落ちている血はその血が倒れた人の血だと教えてくれた。身に付いた他の人の血なら飛び飛び落ちるハズがない。
太田やつは傷付いた。そして、ハスタも照明真下で落ちた血を見て言った。
「血の量を見たら、致命傷はないよ。倒れたあとすぐ立ち直して走るなら、傷付いたのは下半身では
ない。もちろん、治療を受けなかったらどうなるかは分からないけどよ。」
彼女はナースらしく簡潔に言った。
「ハスタ、やつはすぐは死なないだろう?」
「端整は出来ないよ。」
「どこの誰が殺してもいい。けれど、せめてぼくはやつの殺された顔だけは確認したい。」
飛び飛び落ちている血の痕跡。きっとあれを追跡したら、あの血が太田のやつに案内するんだろう。
やつを追うか?
この機会を失ったら、二度とやつの「死」を確認出来ないかも知らない。
「どーちゃん。なら、お決まりね?すぐ追い掛けて確認しなさい。」
「いや、危険すぎるんだ。同じ方法で追跡される可能性もある。」
あの砂の記録室で痕跡を残るのは危険すぎる。ぼくみたいな素人が情報を得るほど致命的だ。ここでハスタを措いてにぼくには「味方」が一人もいない。
みんな敵だ。
そして、ぼくが殺すべき敵は太田だけじゃない。きっと、ここには森、日野もいる。
全員を殺す、或いは死を確認できる前には無駄な冒険はしたくない。
「別のやつもいる。ここで無理はしない。ハスタ、あんたなら寄り道を知っているだろう。」
「そうよ。ここにはまた換気用のダクトがあるよ。」
ぼくは血走った目で太田の痕跡を睨み続いた。
「また機会はきっとあるさ。ここは安全がなによりだ。」
「分かったわ。率直に私はどーちゃんが追い掛けると決めたらどうしようと考えたよ。」
「え?どうして?」
「もう、体力が限界よ。」
「あ、それもあった。」
一体、時間がどれだけ流れたのが全然分からない。けれど、ぼくらはカジノの休憩室から今まで相当長い距離をずっと走った。ぼくもハスタも精神的にも肉体的にもそろそろ限界だった。
「ハスタ、ちょっと休む空間があればいいのに。」
「空間はある。しかし。」
「しかし、なに?」
「そのセリフはちょっとエッチなセリフじゃない?」
あ。ぼくは思わずに言ったか、それドラマとかで「そういう状況」で使う言訳だったな!ここが暗いどころからよかった。ぼくは顔が真っ赤になって何も言わなかった。
「どり合えず。こっちよ。」
彼女は暗いどころから微かな「夜光じるし」を発見してぼくの手を引っ張った。ぼくは彼女が案内するまま、またタクトのなかを這って進んだ。
タクトの中はほこりだらけで、どころどころタクトを作って余った釘や金属の破片が残っている。
「あぶねえな。」
「工事がここは途中で終わったそうよ。え?そんな物を拾ってどうするつもり?」
「考えた事があるよ。っていうか、早くいこう。ここ空気がよくないから。」
「分かったわ。」
ぼくはサブバックに金属の破片を入れた。このタテモノのには何もないゴミでも命を救う切り札になるかもしらないから。
どんどんタクトの金属音が余計に大きく聞こえたがぼくはなんの危険もなしにちょっと安全などころでたどり着いた。
「ここは・・・。」
「主催側も最初では分からなかったどころだよ。」
ここはタクトと連結されてタテモノの空気を循環す施設だった。元々なら四角の部屋には巨大なファンがあって激しい風が吹くどころだったか、今はファンはなくなったし、いい隠れ家になっている。
「一体、ここはどうやってたどりついたのかよ?」
「あの消防官がタクトの構造を見て発見したよ。」
「あ、そうか。消防官なら、こんな通路とかに詳しいから。」
消防官なら主催側も分かっていない些細な道も容易く発見しただろう。消防官は高いビルとかの救助に備えて色々勉強するだとドキュメンタリ番組で見た。古い映画「タワリング」とかのもあるし。
彼女はまた悲しい目で壁に書いている人の名前を撫でさした。壁には10人の名前が並んでいる。
「全部、あんたの仲間?」
ハスタは答えずに鋭い釘でそこに「斎藤二平」と「谷村一朗」って書いた。彼女が記憶為ている「道連れ」の名前だった。背を向けていて彼女の顔は見ないけど、きっと悲しい顔になったんだろう。
「前回で殺された人だったよね。」




