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鉄のジャングル


「ニメンブズダオマ(你们不知道吗)?荷物を持っているあの野郎は昨日入っただろう?」

「そ、それをどうして?」

「まさに灯台もと暗しってこういう事かよ。あんたらあいつのアイディさえ特に確認していなかったのか?」

「おい!変な事言うなよ。やつは貧乏くさいなやつだよ。アイディも確認したし。」

「バカ!ネットで見たことがある!あいつは大金持ちだ!太田って会社の「御曹司」だから!」

「ほ、ほんとかい!」


太田家の会社は地元の酒と醤油などの食品で全国的な指名度を持っている。

中隊のやつらもその名だけは聞いたらすぐ分かるほどだ。やつは自分の家業が全国的だと常に自慢したが、今度はそれがやつを刺す鋭いナイフになった。


「おい、本当なのか?」

「ぼくよりあいつ本人に聞いたらどう?」


中隊の全ての人たちが太田やつを見つめた。ぼくは太田を指さしてみんなに言った。


「ぼくはあいつの地元の人が見せた写真をばっきりおぼえている!どうだ太田家のぼっちゃん?見せたアイディはどうぜ他人の物だろう!ぼくの話が違うならアイディを出せ!」


アイディこそこのタテモノの中で自分を証明できる唯一な物だ。

そして、太田はすぐそれに反応した。やつは背負っていた荷物を投げて、一人にいる中隊員を攻撃した。石斧で頭を攻撃された中隊員はそのまま倒れて、太田は自分が拾ったアイディを投げて叫んだ。


「てめええ!誰だか分からないが、絶対に殺してやる!」


ぼくはやつがどう叫ぶのか全然聞いていない。矢を自転車チューブにかけてやつの背中を狙った。ぼくが矢を放す前に、やつらの背中にいろんな物が見えた。


やつが選んだ奴隷達の叫ぶ姿、それを見て悪魔的に笑うやつの顔。


今更、ぼくが正義の見方だと言いたくない。正義なんかどうでもいいじゃん。


ぼくが必要だった時、その正義の女神はぼくを裏切った。虐待されたぼくにも、太田の数多い奴隷達にもその正義ってどこにあった?


ぼくは高校二年の時、やっと気づいた。正義ってテレビの子供向の番組でしかある物だと。どうでも良いことだと。そうだ。ぼくが太田やつを殺すのは正義なんかじゃなくて「ただの腹をいやす事」だ。


「死ねえええ!」


矢はぎりぎりやつを横切って壁にぶつかれた。惜しい!太田はビックリした顔でぼくを一瞬振り向いた。ぼくはやつにやつだけの「死のサイン」を見せた。やつが奴隷をいじめる時、やつがわざと見せたポーズだった。


首を自分の手で閉めるような手振り。


その手振りを見る瞬間から苦痛が始まる。そして、奴隷たちにはあのポーズを見る瞬間、パブロフの犬ように反射的に恐怖や無力感を感じた。

やつは当たり前に一気でそのポーズを見てすぐ気づいた。


「てめええ!何者だ!外で俺を知っていた者か!」

「そんなの問う時間がある?走れ!逃げろ!はははは!」


もう矢が届かない距離だから、ぼくはまるで酒呑童子がなったようにやつをあざ笑った。太田やつはぼくにまた返事をする時間さえなかった。


「3百万だ!」

「太田企業の御曹司だ!」

「捕まえろ!いや、殺してもいい!アイディを奪え!」


すぐ中隊のやつらは太田を追い掛けている。ぼく、自分の手で殺したいけど、中隊のやつらが追い掛けたら、ただでは置かないだろう。


軍律が厳しい中隊も所詮そんな物だ。お金の威力の前ではなにもないのだ。こうなったら中隊がやつをどう「狩り」するのか待つのも楽しい事になるさ。

ここを守っていた小隊は一人残らずに「3百万」を追い掛けたので、ハスタたちが出てくるのを全然気づかなかった。


「どーちゃん。あんたって何を考えているの?」

「いいだろう。うまく騙したから。詐欺も度胸だと聞いた。」


ハスタはあきれた顔でぼくを見たあと、太田と中隊やつらが去って方向を見つめた。


「彼でしょう?あんたが殺したい人物。」


女の「感」っていう物か?彼女は鋭くぼくの胸中を見たように正確に言った。


「そう。ぼくの仇。いや、ぼくだけじゃなくやつのいじめに追い込まれて自殺を選んだ「奴隷」の仇だ。」

「・・・・。」


ハスタは何も言わなかった。代わりにぼくの頭を撫でて明るく微笑んだ。出会ったのは短い時間だけど、彼女の笑顔には勝ってる気がしない。ぼくはいたずらに咳払いをした。


「いこう。そろそろ向うの戦争も終わるかも知らない。」

「どーちゃん、あんたってけっこう可愛いどころがあるわ。デレてる顔もいいよ。」

「う、うっせ。」


ももりんとぺルもニヤリを笑った。


「ふむ、ぺル後ろをよく見て。これから前より後ろがもっと重要だ。」

「分かりました隊長。」

「隊長じゃないだといったのに。」


そして、ぼくが言えると同時に悲鳴が聞こえた。


「どーちゃん。あれ、やっぱり・・・。」

「わからない。」


彼女の顔にもぺルとももりんの顔にも笑いが消えた。もしかして、あの悲鳴が太田の物だったら、いつ中隊のやつらがここに戻るか分からない。


やつらもそろそろ「選抜隊」が疑問だらけだと気づいたはずだ。まず、本物の選抜隊を出会う可能性もあるし、本隊との連絡でここで派遣された選抜隊なんかないだと分かるのは時間問題だ。

もう話は必要いない。ぼくとハスタたちはさっさと動いて職員用の通路を走った。


玉将と中隊の戦いはどうなったのか?

そして、太田は本当に中隊に捕まって殺されたのか?


分からない。けれど、太田がそんなに容易く殺されるとは考えられない。

太田、あのやつだけはぼくが殺す。


なんか分からないけど、そんな気がする。このタテモノでぼくが入った理由があったらそんな理由しかないし、太田をいちばん殺したい人はぼくだから。あ、考えて見たら太田の無事を願っていると同じじゃね?


まさか、ぼくが太田の無事を祈るとは全然思わなかった。高校二年の時はやつが交通事故、火災で死んだらいいなってずっと考えた。太田のいじめがどんどん酷くなった時は空で隕石とかがやつの頭上に落ちるのを想像までした。


そんなぼくがここではやつが生き残ってぼくの手に殺されるのを願っている。さっきの太田の様子を見て分かった。


太田はこのタテモノの中では暴君なんかじゃなくて、びびっている「羊」に過ぎないだと。ここはやつの偉い祖父も、地役の領主だと呼ばれるやつの父もない。実力次第の世界だ。


あ、羊ってそんな意味もあるのか?


この建物の中で強いだと言われても、酒呑童子とは比べない。例え、何人を殺した「黒い羊」でもこのタテモノの本当の支配者である酒呑童子の前では可愛い「羊」に過ぎない。


所詮、羊同士の戦いなら何にも怖くない。彼がどんな手があってもぼくには「切り札」があるから。腰に突っ込んだ拳銃の感触が余計に寒い。


ぼくは薄々この「切り札」が太田のために予備された物だともう気づいた。また、出会ったら絶対に逃さない。


よくは分からないけど太田とまた出会う時はこのハスタ組と分かれた後だろう。




19層。



ぼくとハスタ達はその目標にどんどん近づいている。え、今は何階だったけ?そして回りの景色はどんどん変などころになった。


書店の上にはアクアリウムや、カジノとかが無秩序に配置されている。しかし、それはそれなりの理由で「理解」は出来るどころだった。


バブル時期、金に目が眩んだ人達があれば、そんなグロテスクな光景なんか、いくらでもつくる事ができる。実際にバブル時期のリゾート廃虚とかをネットで見ても、まあ規模の差はあるけど大体上と同じ感じだった。


しかし、ここはパイプや大きな鉄の構造物が「スチームパンク」風に見えた。


「おい、ハスタ、ここってなに?」

「ここは機会室だよ。」

「機会室?」

「巨大な建物には冷暖房のためにこんな施設が必要なのよ。」

「普通、冷暖房やエレベータ施設は屋上にあるよ。」

「まあ、私は女子だからそんな部分はよくは分からないけど。」

「それ性別によって分かる問題だったけ?」


ハスタは舌を出して肩をすくめた。彼女の説明を聞いてもここは非常に不自然過ぎるどころだ。まるで、上であった「迷路」と同じに、わざと作った「鉄のジャングル」だと言えばピッタリだ。


その鉄のジャングルの中でぼくらは懐中電灯もないままここを歩いている。時には巨大なパイプが並んでウサギの巣穴ように低いどころで道があって、這って進むしかいかないどころもあった。地形はそうだとしても、ハスタとぼくを緊張させたのは「音」だった。


ここは洞窟と同じに音が余計によく聞こえる場所だった。パイプに手や足が少しだけ触れてもカン-と音が大きく響いた。


そして、あの職員用のドアにも兵力を配置した中隊ならここも兵がないとは限らない。

出来るだけ静かに移動?


言葉だけは簡単だけどほくらはそれぞれ荷物や武器を持っている状況だ。どう動いても4人のそれぞれの音が発生するしかない。またペルの槍がパイプに触れて鋭い音が出た。


「しっ。」


ペルは「ごめんなさい」って顔でぼくを見つめたがぼくは微かに別の音を聞こえた。


「おい?なんか聞こえない?」


ももりんはビックリして目が大きくなった。こんなどころで自由に話出来るなら、中隊か玉将か分からないか相当勢力があるやつらだ!こんな狭いどころなら勝負かける価値があるが余りにも危険すぎる。


ハスタも目が大きくなってぼくを見つめている。ぼくは手振りで「様子を見よう」なマネをした。人指し指と中指を両目を指したあと、音が聞こえた方向を示して、ハスタとぺル、ももりんは共に首を振った。


そうした後、また向うから声が聞こえた。


「気のせいか?」

「まあ、とびらには小隊を配置したのでやつらだろう。」

「ああ、やつらには新人が多いから、まあ、そんなもんだろう?」

「ここは「リエンチョウ」しか分からない道だから、玉将のやつらは「本隊」がどこにあるのか分からないはずだ。」

「まさに其の通り。」


やつは誰が聞いているだと全然気づいてなかって、1級機密をペラペラ喋った。


「喂!你们静一静!不要说闲话!」

「アイヤ、ウォズダオラ!」

「我们的领导者,连长同志在这儿!不要打扰他!知道了没有?」

「ス!ウォズダオラ!」


雑談をしたやつらは多分、中国語が出来ないので「ス(是)」だけを連発している。ぼくはその下っ端のやつより中国人が言った「リエンチャン」って言う単語が耳に突っ込んだ。


リエンチョウは「中隊長」だ。まさか、やつらのリーダ中隊長がここにいるのか?


確かに日本語で喋ったやつは「中隊長しか知らない道」だと言った。ここでふとハスタに疑問があったか、そんなことはちょっと後にしよう。

ぼくは思わずに這って声が聞こえる方に近づいた。ハスタはぼくの袖を握って不安な目で囁いた。


「なにをしてる?」

「しっ。ここで待ってろ。すぐ戻るから。」

「だって。」


今度はぼくがハスタの頭を撫でた。それタテモノの外なら考えすら及ばない事だろう。大体、童貞でそんなもんだから。


「中隊長がここにいる。情報があればもっと楽に降りるかも知らない。」


ハスタはけっこう情っ張りでぼくの袖を放さなかった。


「私も。あんた中国語しらないんでしょう。」

「それは・・・。」


特に拒絶する口実がない。仕方なくぼくとハスタは一緒に中隊の方で這って近づいた。近いところで見るとここには中隊の幹部らしい5、6人がなんか激論をしていた。

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