表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜種少女と静かに暮らしたい  作者: るっぴ
第三章 「時計仕掛けの大司教編」
66/86

1 「王の帰還」

今回のヒロインはアクエリアス

どうぞ海とアクエリアスの冒険を読んであげてください。

やあ、俺は溝呂木みそろぎ かい

どこにでも居る30歳無職童貞だ。


ここ10ヶ月余りで色々あってね。

今は3人の嫁達とファミレスで食事中だ。


この満面の笑顔で熱々ドリアを頬張る、流れるような銀髪の少女がクリスタ。

一口頬張る毎に頬を押さえて「んー!」と歓声を上げている。

でもこの子、自分の身長より大きな剣を軽々と振り回して戦うんだ。

しかもいざと言うときには白い竜に変身できるんですよ。

百年越しの怨念の塊みたいな魔王を倒した勇者でもあるんだぜ。


「ささ、このフォカッチャというパンと一緒に食べると更に美味しいぞ。」


「ありがとう! 海くん。 素敵なお店ですね!」


ファミレスだけどね。

使い慣れてると実感しづらいが、やはりその実力は侮れないな。


こちらのトマトクリームソースパスタにかぶりついてる赤髪の子がルビィ

ちょっとハネてるクセっ毛と食べる度に口元から覗く八重歯がキュートだね。

燃えるような赤毛がトマトソースと相まって、まるで共食いです。


小学生みたいに小柄だけど、パワーとスピードは3人の中で断トツ。

自分の身長より大きい剣を2本同時に振り回して戦うファイター型だ。

しかも赤い竜に変身して、全ての敵を焼き尽くす破壊神のような子でもある。


「ルビィ、口元がソースだらけだぞ。 逃げないから落ち着いて食べろ。」


「とってとって…んー ありがと! このパスタって凄いわ! いくらでも食べられちゃう!」


そりゃあ良かった。 しかし財布の中身がちょと不安だから

いくらでもは食べさせてあげられないのが悲しい。

いや、金貨ならいっぱいあるんだけどね。 

流石にファミレスで異世界の金貨は使えないから。


え? なぜ金貨って?


そうだな、知らない人もいるか。

ちょっと俺、異世界に行っててね。

世界の危機を救うお手伝いをしてきたんですよ。

2回ほど。


なぜか俺が救ったことになってるけど、断じて違う。 

手伝っただけだ。 目立つのは好きじゃないんだよ…


その時のお礼という事で、もらってきた金貨がざくざくあるんだ。

けど、換金し辛そうなんだよなあ…金の純度の問題もあるし。


そして最後のこの艶やかな青い髪の子がアクエリアス。

マルゲリータのピザを食べて目を丸くして驚いてる。

やや大人しめでおっとり型だけど、二人に負けず劣らずのつわものだ。


一番クレバーな戦いが出来る子で、3人で勝負すれば勝つのはいつもアクエリアスだ。

彼女も何かの竜に変身できるはずなんだけど、まだ実際にはやった事が無い。


どうやら今回は彼女と北の地へ向かわねばならないようだぞ。



「海さん、このピザという料理素晴らしく美味しいですね! 濃厚なチーズの味と…」


「お気に召したようで何より。 ピザ自体はソーサリスにもあるんじゃないかな。

 もっと南方の土地に行けばだけど。」


そう、その異世界の名はソーサリス。

いくつかの事件によって、魔法と精霊が溢れかえってる世界だ。


今回もまた事件が起こって、俺の力が必要になったらしい。

帰ってきたばかりだってのにせわしないね。

だけど嫁達が困ってるとあらば一にも二にも無い。 

行くまでだ。


「あれ? カチナはどうしたんだ? 来てないのか?」


ルビィに訊ねる。

カチナという子は精霊使いなんだけど、ちょっと肉体を失ってしまって

今はこのルビィの着けてる首輪に精霊として宿っているんだ。

まあ俺のせいでもあるんで責任を取る形で、

カチナも俺の嫁という事になっている…



「あら? そう言えば居ないわね! こっちの世界じゃ出てこられないんじゃない?」


「なるほど…精霊の力が少なそうだからなあ。」


これが竜種一族の主な面々だ。

あと、俺に長の地位を押し付けて引退する気満々の婆様と、緑髪のツインテールの小さなエミィが向こうで待っててくれているはずだ。


じゃあそろそろ再び冒険の旅に出るとしますか。

ファミレスでご飯したら、すぐ出発とは忙し過ぎるにも程があるけど。

ゆっくり地球の日本を堪能して貰うのはまた今度だ。


せっかく戻ってきたってのにテレビもネットもチェックする暇すらありゃしない。



なあ、君もちょっと手伝ってくれないか?




おっと


どうやらファミレスに長居し過ぎたようだ。

特殊な髪の色をしたクリスタ達が珍しいのか、スマホで写真を取る人まで出てきた。


俺が今、身長2m越える仏頂面の巨漢だからか、怖がって誰も直接は話しかけてこないが…潮時だな。


「ここら辺じゃ外国人は結構珍しいんだ。 注目されてきたし出ようか。」


残念そうな声をあげる3人の背中を押すようにして店を出る。


「ごめんな。 次は更にもっと旨いもの食べさせるからさ。」


渋々ながらも納得してくれたようで、歩き出した。

さて、早々にソーサリスに出発してしまおう。



…本当に俺は間抜けだ。

ソーサリスの事で頭が一杯になってて、母親の事を忘れていた。


まさか玄関で待ち受けているとは。


「た、ただいま…」


「海、本当に海なのね? 何でそんなに大きくなってるの!?」


それはね、母さんを食べてしまうためだよ。

とは言う訳が無い。


「いや実は結構前から再び身長が伸びてて…それで外に出づらかったんだ。」


我ながら意味不明な言い訳をしてしまう。


「ま、まあ、それは良いわ…そちらのお嬢さん達は何なの?」


「この3人はネットで交流を深めてた子達で、北欧の小国から来たんだ。

 突然、親の都合で日本に旅行に来る事になって

 俺にも内緒で会いに来たんだ。 俺も驚いたー!」


クリスタとルビィは日本語を理解しないが、

視線と俺の手振りで察したようだ。

ソーサリスでのクセで、俺もジェスチュアがオーバーになってきている。


「初めまして! お母様! 私が婚約者のクリスタです!」


「お母様! これからよろしくね! 私が海と結婚したルビィよ!」


もちろん母親はソーサリスの言葉なんて知らない。

が、ソーサリスの単語はほとんど英語そのものだ。

しかも英語より発音がシンプルでむしろ日本人には聞き取りやすい。


「ふぃ…フィアンセ…!? マリッジって…」



母親は再び気を失った…

辛うじて俺は母親を支えると、二人に向かって怒った。


「いきなりそんな事言ったら驚くに決まってるだろ!」


「ごめんなさい海くん…お付き合いさせて頂いてるって言うべきでした。」


「何よ! 私はもう海の奥さんでしょ!」


俺も気絶したくなってきた。

下手に父親まで起きてきたらパニックは必死だ。


3人に静かに二階に上がるように言って、俺は母親を居間のソファ横たわらせた。


ごめんな、母さん。

後できっちり説明するからさ。

何か金貨も稼いできたし、許してくれ。

無職童貞に変わりはないけれども。


異世界の事を話すのは骨が折れそうだなあ…

と、考えつつ自室に戻った。



「海! これは何! 裸の女の絵だなんて!」


反射的に、本気で気絶しようと試みた。

なぜ俺の秘蔵の本がいとも簡単に…!


1秒たりとも、じっとしてないなルビィは!


「海くんはそういう女の子が好きなんですね…」


クリスタは恥ずかしそうにして俺をチラチラと見ている。

何で服をはだけさせようとしているのかな?


アクエリアスはもう一冊の俺のとっておき秘蔵書を顔を赤らめながらも無言で、食い入るように見つめている。


「とにかくソーサリスに戻ろう! そういうのはまた今度な!」


まさしく女三人寄れば姦しい。

やいのやいの言う彼女達を片っ端からベッド上の黒い穴に押し込む。

とにかく誤魔化せ誤魔化せ。


何も解決していないが、逃げ出すように俺は星門をくぐった。


「星渡し! 超特急でソーサリスまで頼む!」


これはどっちだろう。

俺を連れて帰ってきた方の星渡りか、それともクリスタ達を連れてきた方の星渡りか。

時間との関連性が薄い星の世界に於いては、それは意味が無いのかな?


「分かったわ、それなりに王様! じゃあホイホイっと!」


星渡しが実にぞんざいに次々と俺達を放り投げた。



俺は三度目のソーサリスへ降り立つ。

魔法世界ソーサリスへとんぼ返りを果たす海、積もる話を交えつつ事件の本題に迫る。

次回、時計仕掛けの大司教編 第2話「竜種会議」 お楽しみに

手を出したい、でも出せない。生殺しのモテ期は天国か、はたまた地獄か…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ