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竜種少女と静かに暮らしたい  作者: るっぴ
第二章「伝説のタイタンバトル編 巨人族との大乱闘!」
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24 「巨人族の大移動」

カチナの集落へお礼参りに向かった海がそこで会った者とは

その日の午後は川掃除に費やされた。

これもエミィが手伝ってくれたので捗る捗る。

まあ本当は俺自身がやらないと駄目らしいが許してもらおう。


日も傾き始めてきた頃にカチナがやってきた。

夕飯の時間を教えに来てくれたのかな?


でもカチナ、絨毯に乗って飛んでるんだよなあ…

砂漠のお城へお姫様でも助けに行くんだろうか。


「海さん捗ってますかー」


「もう腰がガクガクだよ。 丁度いいから今日はこの辺で終わりにしよう。」


「そうですねー。 私はこれから集落へ行って、

 今回の事件の報告をしてこようと思います。」


「その絨毯、何人乗り? 俺も族長に礼を言いに行かなきゃ。」


「海さんも一緒に行きますかー? 何人でも乗れますよー」


着替えてないけどまあいいか。

俺が絨毯に乗り込むと、エミィも飛び乗った。

大丈夫かな…過積載とか。


「大丈夫ですよー 風の精霊達が頑張ってくれてます。」


「俺も手伝ってやりたいけど…」


「海さんはうかつに精霊を呼んだら駄目ですよー

 精霊達が声をかけてもらうのを今や遅しと待ってますからー

 あっ 海さんとエミィさんも一緒に行ってきます、って伝言頼みましょう。」


カチナがまたワンドをくるくる回転させて術を使う。

彼女の目の前に風の精霊が白い人型の上半身となって現れ

伝言内容を聞いて頷いて街へ向かって飛んでいった。

便利だなあ。 

そう言うとカチナが微笑んで答えた。


「ふふっ ちょっとしたものでしょう。 昨日までだったら

 これ位の術を使うと、もう倒れるほどでしたが、

 精霊で満たされている今は余裕ですねー

 しかも私は精霊女王として海さんに次ぐほど敬われてますからー」


「カチナに全権委任するよ、精霊に関してはね。」


一瞬大気がざわめいた事に気付かなかった。


「やっぱり風の精霊ってシルフって言うの――」



ゴウッ!


俺達は突如巻き起こる竜巻に吹き飛ばされた。



辛うじてカチナが絨毯をコントロールし、俺を空中で受け止めてくれたが

すっごい怒られた。

エミィは貴重な経験をして喜んでいるが。


「危うく死ぬところでしたよ! だからあれほど名前を呼んじゃ駄目って!」


「命令どころか、会話の端に乗せるのも駄目だなんて…」


「数年は控えてください! 私が少しずつなだめてますから。」


「はい…」


うっかり名前も出せないのか。

寝言で呼んだ日には目覚めたら家の屋根が吹き飛んでた、

なんて事になりかねないなこれは。

便利やら不便やら。


「でも、吹き飛ばされた方向が良かったので、あっという間に集落に着きましたよ。」


「本当だ。 上空から見るとまた新鮮だな。」


ほんの4日ほど前に1度泊まっただけの場所だが、ひどく懐かしい。

思い起こせばカーラマンが魔術大会に乱入した辺りから、

目まぐるしく事が起こり過ぎて、落ち着く暇が無かったからなあ。


族長のテントの前に降り立って、名前を呼ぶと族長が慌てて飛び出してきた。


「カチナか! おお! 予言は外れたか。」


「族長、只今戻りました。 予言は当たりました。

 私は今、竜の装身具の精霊体としてこの世に在ります。

 これからは竜種の方々と共に生きていくことになりました。」


「なるほど… ――ッ! 貴方は!」


族長が薄暗がりの中、カチナの後ろにいた俺に気付いた。

貴方…!? お前とか君、じゃないのか。


族長が俺の前に来て、膝を折って頭を垂れる。

なんだこれ…


何が始まるんだ?


「海さん、海さん。 そこは面をあげよ、とか言うんですよ。」


「何がどうなってるんだ。 ともかく族長、立ってください。

 あの、テント入れてもらってもいいですか?」


「海さんは精霊と暮らす氏族にとっても救世主なんですよ。

 街を追われた私達少数民族を救ってくれて、精霊の力で世界を満たしてくれて…」


「それ全部、ルビィのやった事じゃないか。

 俺は後ろでボンヤリ見てただけなのに…」


「ルビィさんが海さんを担ぎ上げたじゃないですか。

 だから今回の事件を収束させたのは海さんの意思、功績なんですよ。」


「なんだそれ…」


族長から差し出される烏羽玉を押し戻しながらカチナと話していた。

お礼を言いに来たのになあ。

って言うか、どんだけ烏羽玉好きなんだよこの氏族。


「ええと、それで族長。 この度は色々有難うございました。

 特に族長から頂いた教えのおかげで勝てたようなものです。

 あの世界が小さくなる、の言葉が勝利の鍵でした。」 


「それは良かった。 だが、礼を言うのは我々の方だ。

 一時はどうなるかとも思ったが、終わってみれば世界は我々にとって楽園と化した。」


「それは全部ルビィ…ええと、踊る火山のやった事です。

 俺は彼女を手伝っただけで…」


「夫婦の功績は等しく分けられるものだ。 ましてや二人でやったとあれば。」


そうですかー

逃げられないなあ。



カチナは族長と積もる話があるようなので、先に失礼して

エミィと一緒にカチナのテントで休ませてもらう事にした。


「ちょっと寒いな。 エミィが暖かいから助かる。」


「お兄ちゃんも暖かいよー 大きくなったし!」


おかげで足が毛布からはみ出ちゃうんですよ。

早くもとのサイズに戻ってくれませんかね。

息子以外。


ようやく寝付けるかと思った矢先に、地震で目が覚めてしまう。

嫌な予感しかしない。


地震じゃなくて、これは地響きだ…

エミィを毛布でくるみ、手近のかがり火から松明を1本取って

集落の外へ出る。


カチナと族長が既に来ていた。


「あっ 海さん。 また巨人達ですよ。」


「まだ何かあるのか!?」


「あー いえ、そうでは無くてー」


巨人族は100人ほどだった。

残りの同族は多分、遠くで控えてるんだろう。


ドンッ!


大きな音を立てて全員が膝を着いた。

君らが揃ってそうすると、ただの地震でしかないよ。



「親分! この度は申し訳ありませんでしたァ!」


やや揃い切らない声を一斉に張り上げた。

俺は逃げ出した。 この手の話はもう勘弁してくれ!


カチナに襟を掴まれて、俺の逃亡は失敗した。


「分かった。 皆まで言うな。 もう十分、分かったから。」


代表である炎の巨人のリーダーらしき男が顔を上げる。

夜は肌寒いから、君の熱気はあり難いよ。

でもそれ以上近づかれると俺、燃えちゃうからね。


「大丈夫、君達はロンガロンガにそそのかされていた、という事で落着だ。

 タイタンだけは責任を取って一仕事してもらってるが、

 人や亜人種、知性ある生き物をみだりに傷付けない限り、

 君らは好きな所で自由に暮らしていい。

 はいはい、だから終わり! この話は終わりにしよう!」


巨人達は口々に礼を言って、去っていった。

それぞれ数人ずつ程度の仲間で、定住先を求めて世界のあちこちを旅するらしい。


後の話だが、巨人族は大きな者ほど自然の中で暮らすためか

精霊との相性が良く、巨大化ならぬ縮小化の術を会得した。

風の精霊に力を借りて、その術は世界中の巨人族で共有され、

半分以下のサイズになれるようになったとか。


人恋しい巨人族の一部は、その術で体を人間に近いサイズにして

街へ戻ったらしい。


別れ際に石巨人の新しいリーダーから巨大な石笛をもらった。

彼等からしたら最小サイズで作ったものらしいが、

俺にとっては重さ2キロ程の巨大ホイッスルだ。


風の精霊の力を借りてこの笛を鳴らせば、

巨人族が駆けつけて何でも命令に従う、との事だ。

この事件のお詫びの証らしい。


ヴァルベルデの修復も申し出てくれたが、今彼らが街に行っても

混乱と恐怖しか起こらないだろう。

旅先で出会った人に親切になさい、とだけ言い渡しておいた。


街へ戻ったら、その事を伝えて巨人族は安全だとソーサリス全土に

知らせる書状を婆様に書いてもらおう。

アフターケア、大事だね。



カチナが荷物をまとめ、テントを畳んで本格的に竜種の館に越す事になった。

族長に色々アドバイスをもらっているが、それは心得的なもので

またぞろ予言のような不穏な物は無かったとの事で安心した。


早く身長縮んでくれないかなあ…

そろそろテレビとネットが恋しいや。

巨人達も元の平和な生活を取り戻した。 わずかの時を穏やかに過ごす海達に珍客が訪れる。

次回、伝説のタイタンバトル編 第25話「大宗教」 お楽しみに。

海が宗教の開祖になる――!?

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