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竜種少女と静かに暮らしたい  作者: るっぴ
第二章「伝説のタイタンバトル編 巨人族との大乱闘!」
55/86

16 「大タイタンバトル!」

いよいよロンガロンガとの直接対決が始まる

カチナも一緒なら、もう恐れるものは無い。

あの、ふざけた精霊魔王とやらをブッ倒してやる!


「さあ! 口だけは良く回る詐欺師ダンサー!

そろそろお前自身が来いよ!

もう巨人は全部倒したぞ!」


俺は空のロンガロンガに向かって怒鳴った。

聞こえているかどうかは知らないが、

こっちを見てる事は確実だからな。


「ウキーッ! 糞チビ! 竜の背中に張り付くノミの分際でッ!

俺様を馬鹿にしやがりますかッ!


でも俺様、見ての通り頭脳派なんでッ!

そ・れ・にぃ~ですよッ!

軍団は最後と言ったけど、巨人が最後とは言っていないッ!


とっておきの最終巨人!

クラウド・ジャイアントッ! てめえに決めたッ!


ドラゴンとノミをひり潰してやれいッ!

トゥンガ・トゥンガ・エールロッ・タム!」


まだ巨人兵が居るのか!

どこだ!

俺は地平を見回して警官する。


まるでルビィを竜にした時のように、

雲が急激に厚く立ち込め、夜のように暗くなる。

と言う事は…!


「ルビィ! 上から来るぞ! 気を付けろぉ!」



ぶわんっ!


雲を突き破り、巨大な足が生える。

桁違いに巨大なジャイアントが飛び降りてきた。


もう唖然とするしかなかった。

そのクラウドジャイアントと呼ばれた巨人の大きさは

目測では測れない、大きすぎる!

あまりの大きさのために比較する対象が無かった。


500mはあるだろうか、それとも700mか!


ロンガロンガの耳障りな笑い声がこだまする。


「どーぅだぁーッ! 絶望した? しまくりましたぁ~?

 ひゃーっひゃっひゃ! これまでの巨人族は所詮、群れないと戦えない雑魚ッ!

 これこそ本物の巨人の真祖! タイターン族だッ!」


空に映し出される奴の姿は全身像だった。

あれは…巨人の肩と首か!


「ルビィ! 奴がいるぞ! 巨人の肩に乗っている!」


「わかったわ! 丸焼きにしてやる!」


ルビィことレッドドラゴンは急上昇し、雲に紛れる直前になって急降下を始める。


「カチナ、しっかり掴まってろよ!」


「あ、私は大丈夫です。 本体はこの…騎竜具? なので。」


そりゃ良かった。

ルビィが速度を増してタイタン族の肩口に突撃する。


なっ!


俺は反射的に手綱を引っ張りルビィを左旋回させる!

巨大過ぎるタイタン族の拳が、鈍い風切り音を立てて俺達の脇をかすめる。

ルビィはバランスを失って高度を失った。


「バーカ! ブァ~カ! 来る所分かってりゃカウンターもやり放題なんでスよッ!」


ロンガロンガが飛び上がって挑発している。

タイタン族め、巨人のくせにこれまでのどの巨人よりも動きが早い!


第一、サイズ比が既に人間対スズメみたいなもんだ。

ここは出し惜しみしてもしょうがない。

やるべきだ。


「ルビィ、更に変身だ。 真のドラゴンを見せ付けてやろう。」


「わかったわ!」


ルビィは急いで加速し距離を取る。

これだけ距離があれば問題な…


「ほーッ! 逃げますかッ! 尻尾を巻いて逃亡ですかッ!

 いい~ですヨォ~? じゃあその間に街は踏み潰しておきますねェ~

 タイタン! やれィ! ぷちっと人間共をやっちまうんだよォ!」


なっ!


「卑怯な!」


「卑怯じゃあッりまッせ~ん! これはそういう戦いだったはずデ~スッ!

 街を見捨てて逃げ回るのも、あど~ぞご自由に、好きにしてくださ~イ!」


急いでルビィが急旋回し、巨人の前に立ちはだかる。

こちらに選択肢は無いのか!


「クズね! あんたって!」


ルビィがロンガロンガを蔑んでいるが、それは竜の咆哮でしかない。

だが言いたい事は伝わるものだ。


「頭脳派、そう言ったはずですヨ!

 自分達のおバカを人のせいにしないで欲しいもんですネッ!」


言いたい放題言ってくれるもんだ。

イニシアチブは完全に向こうにある。

大きいって事は素晴らしい、って事か!

だが逆に距離を取らなければ街は潰さないって戦争協定とも取れる。

決して信用できないが…


「せめて背後から攻撃しよう。 ロンガロンガが指示を出すだろうが反応が一挙動分遅いはずだ。」


ルビィにそう指示して回り込んでもらう。

旋回しつつも巧みに距離を詰めるルビィは流石だ。


しかし近づくまで分からなかった。

距離感やサイズに対する感覚がずれてきてるのだろうが。

ロンガロンガも身長30mくらいはありそうな巨人だったのだ。


奴は巨人を回転させながら自分は奇妙な振り付けの踊りを始めた。


「あれはスピリットダンスです! 気をつけてください。 私が防御します!」


カチナが俺の前に出る。

騎竜具に宿る精霊となっても精霊魔法が使えるのか!

これは非常に有難い。


…というか、俺よりずっと立派な戦力になりそうだ。

だがカチナは俺の反魔力を知らない。

さっきこっそり試しておいたが、反魔力は精霊魔術にも有効だ。


「大丈夫、魔法防御は俺の十八番なんだ! 任せてくれ。」


「分かりました! 私は援護に回ります!」


ルビィに首を引いてもらい、少しでも俺が前面に出るようにして

俺は反魔力を練り上げる。


タイタン族が振り向いて手を出してくる前の数瞬で勝負だ!


先制したのはルビィ。

より集中させた細長いコーン状になる炎のブレスをロンガロンガに叩きつける。

ロンガロンガの体が炎に包まれ…ない!


奴もカチナのような風の盾の術でブレスを脇へ逸らし、ダメージを極小に抑えた。

その瞬間ロンガロンガのスピリットダンスが完了する。


奴が「ヤアッ!」と叫ぶと、タイタン族の肩の上だというのに

足元から無数の先の尖った岩の剣が飛び出した。


俺が全力で反魔力を展開して、それをかき消す!

だがいかんせんサイズ差がありすぎて、無力化できるのはルビィの首もとの周囲だけだ!

ルビィがいくつかの岩の打撃を食らい、咆哮をあげた。

すまねえ!


すれ違いざまにカチナが精霊の術を完了し、水の蛇のようなものがロンガロンガに飛び掛る。

ロンガロンガはそれに胴と両腕を巻き取られ身動きが取れない。


ここでルビィがもう一度ブレスを…間に合わない!


それどころか、岩の打撃を受けて失速したのが仇となった。

タイタンが直径50m近くになるであろう、大きな左拳をルビィに、俺達に叩き付けた!


「キャアッ!」


ルビィとカチナの悲鳴が俺の耳を切り裂く。

直接俺に当たってたら完全にミンチだ。


「ルビィ! しっかりするんだ!」


ダメだ! ルビィが気を失っている!


錐揉み状になりながら地面へ…ッ!

寸での所で意識を取り戻したルビィが上昇しようとバランスを取り直し体を持ち上げようとする。


俺とカチナは凄まじい重力でルビィの背中に押し付けられる。

慣性制御が効いててこれだ!


ガリガリと腹面を地に擦りながらルビィは辛うじて再び浮き上がった。

しかし高度がなかなか上がらない。

恐らく意識が朦朧もうろうとしているのだろう。


ロンガロンガもカチナの水蛇の術で身動きが取れていない。

両手が自由にならず術を使えないいらだちから、

タイタンの首筋をしきりに蹴っている。


「ぐぐ~ッ! 何でさっき処刑したはずのシャーマンが生きていやがりますかッ!

 クラウドジャイアントォ! 槍を使うんですよ、このウスノロッ!」


クラウドジャイアントこと、タイタン族は野太い声を上げ天に顔を向ける。


「雲よ! 我の元へ!!」


まずい! 何をやってくるか分からないがマズい!


「ルビィ! 速度を上げられるか? 回避に専念しよう!」


「わ、わかったわ…」


ダメだ。 回復しきっていない。

俺は反魔力を練り上げて防御の準備をする。


「カチナ、ルビィが立ち直るまで防御サポートお願いできるか?」


「もちろんです! しかし何を仕掛けてくるかが分かりませんね。

 私の水蛇の術も集中を切ってしまったので、すぐに破られます。」


カチナが風の盾の術を作り上げながら言った。

ぐぐぐ…確かに、あれが魔法じゃなくてタイタン族の固有生得の技だったら

俺の反魔力で防ぎきれる保証は無い。


タイタンが左手を掲げると、その手を中心に雲が一層厚くなり雷鳴が轟く。

稲光で雲がパッと明るくなり、次の瞬間天に亀裂を走らせるような巨大な雷が発生した。



クラウドジャイアントは雷が発生したかと思うと飛び上がる!


何という事か!


その左手に「雷を掴んだ」!


遠近法も常識も物理法則も、全て無視していやがる!

くたばれファンタジー!


巨人が姿勢を低くすると左手を大きく背中に持って行き…

先割れしている雷が1本の太い槍になった。


あれは投擲の構えだ!

怒号と共に1ステップ、2ステップ、投げた!


ピシャッ!


投げた瞬間に手綱を強く引く!

反魔力を押し出す!



目の前が真っ白になった。



ぐうっ…!

全身の激痛に目を覚ますと、俺は地面に転がっていた。

ルビィは!? カチナは!?


ルビィこと赤い竜がぐったりと俺のほんの5mほどの所に倒れていた。

意識を完全に失ってしまったか!?


「ルビィ大丈夫か! 今助けにいくぞ!」


行った所で俺に何ができるか…だが、そういう事じゃない。

カチナが竜の首元あたりを叩いてルビィを起こそうとしている。

彼女は無事か…良かった。


「カチナは大丈夫か?」


「はい。 私の身体は実体化した精霊体ですから。 でもルビィさんが…」


ルビィの名を呼びながら二人で首筋あたりを叩いて起こす。

気が付いたようで、竜の体からルビィが上半身を出した。


あちこちが擦り傷だらけだ。

雷に打たれたせいで火傷したのか、焦げる匂いもする。


「ルビィ、生きててくれたか。 良かった…」


俺は安堵の大きな溜息を漏らす。

ルビィは上半身を出したものの、体に力が入ってない。

息も絶え絶えで、声を出すのすら苦しそうだ。


「…ここまでだ。 降伏しよう。 ルビィ、変身を解除しよう。」


ルビィは必死に息を整えながら首を右に向けようとする。

首を振って降伏は嫌だと言いたいのは分かる。

俺はルビィの背中を優しく触って擦ってあげる。


かすれた声を伴いながら、ルビィが大きく息を吸った。


「ダメよ…まだ、戦える。」


喘ぐ様な声でようやく言葉を搾り出した。


「まだ、後1回変身が残ってる…だから早く…」


「満身創痍だぞ。 その体じゃもう無理だ!」


「変身すれば回復するから…クリスタの時も…」


「そ、それは確かに…でも…」


いや、違う。

俺がここでゴネてる場合じゃない。

ダメだなあ…負けても良い戦いだって、どこかで思い込んでるな、俺。

自分で決断しておいてこれはちょっと情けないな。


「分かった。 お前を困らせるような事はもう言わないぞ。

 …ルビィ、もうちょっと身体だしてくれ。 やりづらい。」


「…えっち。」


あれぇー。

なんでこう、ここの人達はいつも命懸けの場面でそうなりますかね。


きっと、負けるなんてこれっぽっちも思ってないんだろう。

頼もしい。 俺も気概くらいはそう行かないとな!


「大丈夫だ。 さっき用意してもらった背負い袋の中に

 お前が着れる服を用意してある。」


それは服とは言えない位、粗末な仕立てのものだったが

急場で準備させたものだから仕方ない。

首を通すだけの簡素な服を上からルビィに被せてやる。

下着もなるべくさり気なく手渡す。



精霊魔王ロンガロンガは勝ち誇った笑い声を上げていたが、


「で・はぁ~ッ! でわでわでわ! トドメの前にぃ! 

 圧ッ倒ッ的ッ! な絶望を与えましょうッ!

 糞人間の皆さんは目を丸~ぅくして見ててくださいネェ~ッ!

 あ、そのまま死んじゃってもいいですよォ~!」


タイタン族のクラウドジャイアントが威勢の良い掛け声と共に足を踏み鳴らし始めた。

あれは…またハカだ!



この巨人が…更に巨大化するってのか!


俺達は、本当にこいつを倒せるのか?


桁違いな身長のタイタン族に苦戦する海とルビィ。

やはり大きい事は正義なのか。そんな事は無いと言う、小柄なルビィの心は気高い。

次回、伝説のタイタンバトル編 第17話「最大級バトル」

空を舞う紅玉のドラゴンの美しさよ。

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