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竜種少女と静かに暮らしたい  作者: るっぴ
第二章「伝説のタイタンバトル編 巨人族との大乱闘!」
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11 「巨人の大増量」

VS 石巨人 決着

「ルビィ! それじゃあ手数で不利だぞ! 戻って壁を利用するんだ!」


何だか当たり前のアドバイスをしたようで逆に恥ずかしくなる。

というか声が届かないような距離のはずなのに、

ルビィは大きく手を振ってからこちらへ戻ってくる。


俺が首をかしげていると、カチナがフフッと笑った。

なるほど、風の精霊を使ってくれたわけだ。


「氏族の守護精霊は火の精霊なんですけどね。」


と微笑みかけながら教えてくれた。

火か…めぐり合わせなのかね。


ルビィが壁際まで後退し、三角飛びをフル活用して

トリッキーな攻撃で石巨人達を切り伏せる。


竜気を発動したルビィのパワーは石巨人の硬い肌をも易々と切り裂いた。

だが、剣はルビィと竜気の出力に耐え切れず、折れてしまった。


俺は急いで城壁内の補給部隊から剣を借りてきて、ルビィの足元に投げつける。

俺に何かルビィを手伝える事は無いのだろうか…

忸怩じくじたる思いで焦燥感が募る。


「バカね! そんな顔しないで! 

 あんたの出番はこれからなんだから。 切り札でしょ!」


ルビィが汗だくで戦い続けながら笑いかけて言った。


命がけで戦ってるルビィに気を使わせるなんて…

ってネガティブな事は無し、って自分で言ったんだ!

気持ちを切り替えよう。


竜気を纏い始めたルビィは次々と石巨人を打ち倒している。

だが石巨人の士気も大したもので怯まずに城壁を崩し、登って来ている。


「矢で顔を狙ってくれ! 目を瞑った所で足元を攻撃して転ばせるんだ!」


俺は部隊長に向かって、そう頼んだ。

人間の兵士達も果敢に立ち向かっている。

だが、直接攻撃は効果が薄い。


顔面や急所を狙って矢を射掛け、たまらず顔を手で覆った所で足元を打撃攻撃する。

そうやってバランスを崩し城壁の下へ落下させる事に専念している。


落下させてしまえば自重でダメージを受ける。

石の肌で動きが硬い相手だから、落下のダメージもひとしおだ。


カチナは俺を守ってくれながらも、隙を見て攻撃魔法も使っている。

片足を上げてつま先で地面を数度踏み、両手を大きく縦に回転させると

つま先を起点に手の動き沿って大きな炎の輪が生み出される。


体をくるりとつま先立ちで一回転すると、指差した方向に炎の輪が飛び出し、

石の巨人を輪で覆い燃やし続ける。

ルビィに次ぐ戦闘力だ。


ドラゴン&シャーマン&無職の最強トリオ!

…だといいなあ。


「丘巨人より遥かに統率が取れてるな。 兵士と城壁の被害が甚大だ。」


城壁に昇ろうとしてくる奴を片っ端から倒せている。

もう城壁の外は丘巨人と石巨人の死体でいっぱいだ。

400ほども居た石巨人を半数は倒したはずだ。


それでも石巨人達の戦意は衰える様子を見せない。

これは結構有能なリーダーがいるに違いない。


探せ、探せ…あれか!

後方から石を吐き出しては投げつけている援護部隊がいる。

その手前に指揮をしてるようなジェスチュアと叫び声を交互に出してる

一際大きな石巨人がいる。


あれを狙い打てば一気に壊走に追い込めるかもしれない。

ルビィならばそれができる。


「…とは言え、後方にいるリーダーをルビィ一人に任せるんじゃあ

 囲まれるだけだろうな…」


俺が出て行って、少しでも攻撃を引き付けられるだろうか。


答えはノー。


反魔力の能力しか持ってない俺じゃあ巨人相手には無力だ。

挑発した所で構いもされないだろう。


「ルビィさんを援護したいんですね?」


俺の小声の独り言を聞いたカチナが訊ね返す。

ルビィへの指示を風の精霊で仲介するために、精霊の魔法を使っていたから

どんな小さい俺の声も聞き逃さなかったんだろうか。


「私に任せてください! 火の精霊を広範囲で降ろします!」


「凄い。そんなことができるのか!」


「ふふっ、意外と役に立つでしょう? ただ遠くに使える術ではないので、

 私もそこへ赴かねばなりません。」


それは危険過ぎる。

が、命懸けの戦いでそれを言ったら始まりはしないか。

よし、準備しよう。


俺は兵士の部隊長にその作戦を伝え、了承を得る。

新しい剣を3本もらいルビィを呼び寄せた。


「ルビィ、あと一押しだ。ここで巨人の隊長を倒せば形勢は一気に傾く。」


「わかったわ! じゃあいってくるね!」


ちょ、待っ!


辛うじてルビィの首根っこを捕まえる事に成功した。

鉄砲玉みたいだな!


アサルトドラゴンめ。


「流石にルビィでも一人では囲まれて苦戦するぞ。

 周囲にまだ何人も巨人がいるし、石投げ部隊もいるからな。」


「じゃあ変身ね! 奴らを一気に焼き尽くしてやるわ!」


「敵はまだまだいるって、さっき報告あっただろ。

 制限時間付きの竜の変身はギリギリまで抑えないと。

 だからこのカチナに援護を頼む。」


水筒の水を飲み干したルビィは真顔になる。


「カチナ。 いいのね?」


先ほどの俺にした質問と同じ事をカチナにも問う。


「もちろんです。 それにルビィさんを手助けするのは氏族の務めですから。」


目に力を込め、頷くカチナ。

無事生き残ったら竜種の恩人として何か報いねば。

そうだ、クリスタ達と合流したら氏族にお礼参りしよう。


「じゃあ今、カチナに馬を用意してるから南の門から…」


「いくわよ!」


俺の話に耳を貸さず、ルビィはカチナを小脇に抱えて城壁を飛び降りた!

カチナは目が点になったまま固まっている。


着地した衝撃で我に返ったカチナの悲鳴が遠ざかっていく…

ごめんなカチナ。 その子、竜種でもずば抜けて短絡型なんです。


馬は俺が使うかも知れないから、兵士に言って門下に待機しててもらおう。

俺自身は乗馬できないけど。


ルビィはカチナを抱えたまま石巨人のリーダーの足元まで到達した。

悲鳴をあげるカチナの口を押さえてるため、

ラグビーボールを脇に抱えてるようなポーズだ。


小さいから巨人の目に止まらなかったんだな…

言うと怒るかもしれないから黙っておこう。


カチナが体全体で大きく周ったり手を振ったりすると

カチナを中心に少し離れたに炎が噴き出し、時計回り広がって

石巨人のリーダーと護衛のうち2人を残して、巨人達は炎の円の外側へ逃げた。


巨人が5mくらいだから…直系12mか13m位の内円の外は火の海だ。

あれではカチナとルビィも相当熱いだろうし、呼吸もままなるまい。

短期決戦で仕留めないと共倒れだ。


護衛の巨人とルビィが戦っているが、

カチナを守りながら戦わねばならないルビィはやりにくそうだ。


「ルビィ、頑張れよ…!」


俺が呟くと、


「任せなさいな!」


ルビィの声が耳元に響いて、俺は心臓が飛び出しそうなほど驚いた!

さっきのカチナの通話魔法が生きてたのか…


ルビィの動きが突如格段に良くなり、護衛を倒した。

俺の応援の成果だと思いたいけど、尻上がりに増してく竜気の特徴なんだよね。


しかし反魔力に満たされてる俺に効果がある通話魔法という事は、

俺自身ではなく、俺の周囲の空気に掛かってる魔法なんだろうか。

それとも精霊の術は俺にも有効なのか…

そもそも魔法が効かない俺は、占星術とか予言の対象足りえるのか。


見てる事しかできないせいか、余計な考えばかりが浮かんでしまう。



そんな俺を気にすることもなく、ルビィが巨人リーダーを倒すべく飛び回っている。

身長差があるため、効果的なダメージを与えるには飛び上がるしかない。


石巨人のリーダーは身長が5mを優に超える。

かたやルビィは140cmも無い。 実に身長だけでも3倍差だ。


スピードで勝るルビィが巨人の背後へ、背後へと回りこみながら、

右脇腹を重点的に攻めていく。


痛みの余り右手で脇腹を庇うと、ルビィは右足首と膝を狙う攻撃に切り替えた。

上手いな…以前の魔族カーラマンと交戦経験か、大きい相手との戦いに慣れている。


石巨人が右膝を地に着き倒れ、完全に動きが止まる。

勝負あった。


ルビィが剣を突き付けて何かを巨人に話している。

降伏勧告に違いない。


言葉が通じたのかどうかは分からないが、

石巨人が一際大きく吼えると次々と交戦中の巨人達がリーダーの方を向き

同じような叫びを繰り返し上げる。


石巨人達は攻撃を中断し、壊走していった。


「ご苦労様、ルビィ。 流石の戦いっぷりだな!」


俺はルビィに向かって手を大きく振りながら賞賛した。

ルビィは機嫌も元気も良さそうに手を振り返す。


「追撃はどうする?」


「降伏勧告したんでしょ。

 なら追撃はいいよ、それより少しでも次に備えよう。」


「わかったわ!」


「カチナもありがとう。かなり熱かったでしょ、その魔法。」


笑顔で大丈夫ですと答えるカチナ。

ルビィの小脇に抱えられたままでなければ可愛かったのに。

いや、むしろそれはそれで可愛いか。


ルビィを休ませてやりたいが、一度竜気を発動した以上そうはいかない。

竜気を解除すれば丸一日は戦えなくなる。

外傷や打撲は無いが、少し息が上がっているように見える。


「ルビィ、疲れと怪我はどうだ?」


「まだまだ大丈夫よ! でも竜気を押さえ付けるのが…そろそろ角を出さないと。」


竜気の二段階目は角が生えてくる。

こうなると解除ができなくなり、パワーやスピードは更に増すが

理性が徐々に失われ戦法が単純なものになる

こうなったら早めに竜にしてやらないと、

敵陣でバーサークした挙句に空回りで死ぬ事になる。


次の攻撃で最後ならば即座に竜にしてしまうのだが…


人間の兵士達も大分やられた。

負傷と死亡で人数は半数以下に減っている。


もう交代要員もほぼいない。

退役間近の老兵や訓練も十分でない未熟兵、

専業の職ではない衛兵や守備兵も補給や補修要員として総動員している。


進軍してくる次なる巨人を迎撃する準備に追われていると、

再び空に奇怪なシャーマンの上半身が浮かび上がる。


「ムッキー! そこのヴァルベルデの赤いチビっ子!

 むっかつきますネェ! 呪われて死ね! 小さくなり過ぎて死にまくりなさい!

 トドメ用のフロストジャイアント、全部ヴァルベルデに投入しました!

 霜に包まれて終末を迎えてくださ~い! ウガ・ティカ!」



ルビィが空に向かってぴょんぴょんと飛び上がって悪態をつく。

気持ちは分かるが無駄な体力は使わないでくれよ。


フロストジャイアントと呼ばれた大理石のような肌の巨人達が

見事な隊列を成して進軍してくるのが見えた。



いよいよここが正念場だ。

戦いはまだ終わらない。

激しさを増す巨人達の猛攻に

海とルビィは、そして人類は生き延びることができるのだろうか。


次回、伝説のタイタンバトル編 12話、轟く大戦歌。お楽しみに。

君は世界の変容を見る

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