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竜種少女と静かに暮らしたい  作者: るっぴ
第二章「伝説のタイタンバトル編 巨人族との大乱闘!」
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6 「大いなる精霊の名をもつ少女」

その旅人は森の近くまで馬を走らせて、周囲を見回していた。

弓に矢をつがえたので、どうやら狩人らしいと判断。


「ちっ、飛び道具とは厄介ね。」


ルビィがつぶやく。

どうもかなり若い女性に見える。


「じゃあ俺が正面から友好的に話しかけるから、ルビィは後ろから。」


「分かったわ! 死なない程度に撃たれてね。」


撃たれて当たるの前提か…

たくましいね。


俺は木の陰から、両手を頭の脇まで上げて姿を現す。


「おーい、困ってるんだ。助けてくださーい。」


「きゃっ! ち、近寄らないでください!」


弓を俺に向けた。



「怪しい者じゃないんだ。遭難して困ってる!」


ゆっくりと近づきながら、なるべく優しい口調で話しかける。



「そ、そうなんですか。 分かりました。 街まで案内しましょう。」


…なんだ? えらく素直と言うか。

罠かと思うくらいに親切だな。


その少女は黒い髪を両の肩口あたりから束ねていて、

鮮やかに染め上げられた鉢巻をしていた。

何かの鳥類の羽が挿してある。


上着はベルベットのドレスのようなもので左肩側だけにスリーブがある。

首に輪っかのようなものつけていて、それに巻きつける感じの服だ。


下は皮のホットパンツで裾に飾り紐がたくさんついてる。

足は腿まであるブーツを履いてた。


こりゃあインディアンだな。

最近じゃ言葉がややこしいからネイティブというべきかもしれない。

だがここはソーサリス。

細かい事は言いっこ無しだ。



忘れてた。ルビィが後ろからとびかかる寸前のポーズだ!


「ルビィ! 大丈夫だ! この人は敵じゃない!」


「きゃあ!」



女の子が悲鳴をあげて振り向く。

うっかり手を放し、ルビィに向けて矢を放ってしまう!


ルビィはその矢の木の部分シャフトを掴んだ!

超人か!



「危ないわね! 私じゃなかったら死んでたわよ!」


「ご、ごめんなさい! 私びっくりしちゃって…」


んー…何かちょっと謝まられるのも違う気がするけど、いいか。


しかし俺に向けて放たれなくて良かった。

俺だったら避けられないし、当たり所が悪ければ本当に死んでたよきっと。



「驚かせてごめんよ。 用心してただけなんだ。 俺は海だ。 海って呼んでくれ。」


「私はカチナ・ケズィコーニ。仲間からはドーリーと呼ばれてます。」 


「わたしはルビィよ! よろしくね!」



カチナはもう一匹の荷物を乗せてた馬を貸してくれた。

有りがたい事に街まで案内してくれると言う。


俺は馬に乗れないからルビィが手綱を握って、その後ろに乗せてもらう。

なんかいいねこれ。

ちょっと…腰を引いておこう。



「街まで5日ほどで着くと思いますが…その前に私達の集落に寄らせてください。」


「もちろん。親切にしてもらったお礼も何かしたいな。」



ルビィが腕まくりの仕草で鼻息を荒くする。


「お腹一杯になったら私が力仕事でも戦いでも、何でもやるわ!」


「ルビィさん、力持ちなんですか? 華奢でお嬢様みたいに見えるけど…」


「ふふーん! こう見えてもわたしはドラ――ふぐぅ!」


俺は慌ててルビィの口を塞ぐ。

この人も人間教だったらどうするんだ!


そう耳打ちしてついでにちょっと耳をつねってやった。

ルビィはぴぃ! と可愛い声で小さく悲鳴をあげる。

おー、睨んでる睨んでる。



「はは…まあ前の異変で妙に力持ちになっちゃったんだよ。ルビィは。」


「あら…じゃあ私達と同じですね。」


「えっ? カチナも何か変化を?」


「はい。私達は精霊の声に目覚めたのです。

 今では同じ精霊の声を聞く者たちで氏族を形成しているんです。

 これから向かう集落がその氏族の集落なんです。」


「なるほどね。それでその格好なわけだ。」



カチナがにっこりと笑った。

ルビィが俺の手を噛むのを止めて聞き返す。

良かった。もう少しで手を丸ごと食べられてしまう所だったよ。



「カチナの格好が何か変なの?」


「変じゃないよ。俺の世界にも似た部族がいるだけさ。

 万物に精霊が宿っていると考えて、その知恵を借りて生きる文化の人達がね。」


「ふーん、要は精霊魔法を使う精霊使いって事ね!」


「まあ、ソーサリスだとそうなるんだろうなあ…」



互いの事を話しながら馬を進めていく俺達。

一応竜種である事は隠しておきたい所だ。


昼は馬上でパンを分けてもらい、夜まで進むことにした。

これなら3日もかからず彼女達の集落コミューンに着く、らしい。


夕刻になるとカチナは何やら粉と野菜とを練り始める。

ルビィは獲物を探してくると言って飛び出した。

元気残ってるなあ。


俺もルビィに対しては、おてんばお嬢様のようなイメージだったが、

案外野生児の適正があるのかもしれない。

それとも竜になったことで野生の血が目覚めたのかね。


ノーパンドラゴンは荒野を駆け巡る。



俺はその辺をうろついて薪になりそうな木片を集めてた。

この辺りはすっかり荒野然としているから、あまり薪になりそうなものが無いや。

それでも枯れた低木なんかをいくつか見つけて引っこ抜いてきた。


俺が戻ると、ルビィが兎のような小動物を捕まえてたらしく、カチナが捌いていた。

どうやら肉にありつけそうで俺はルビィを褒めちぎった。


あさっての晩には集落に着くそうだ。

パンは残り少ないらしく、トウモロコシの粉を練って焼いたものを振舞ってくれた。


後は何やら野菜と果汁を練ったワカモレとか言うクリーム状の料理と、豆を煮たもの。

そしてルビィが採ってきた兎的な何かの肉だ。



毛布に包まって寝るまでいくつか話をした。

それはいいが、毛布が二組しか無くてルビィが俺のほうに来たのは何故だ。


まだカチナを警戒してるのかな。

その割には「変な所触ったら噛み付くわよ」とか言うし。

こう…甘噛みしてくれる、とかならいいんだけどね。


「実は…お二人に出会えたのも精霊の導きによるものなんですよ。」


俺は身構えた。そら来た。


こちとら逃亡犯の竜種。

しかも予言に則れば世界を破滅させるレッドドラゴン様だ。

考えてみれば伝令でも無いのに、馬が2頭居た時点で何かを怪しむべきだったんだ。


「占いで、メサの森で素晴らしい授かり物がある、と。

 お二人の事だったんですね。

 てっきり良い獲物が見つかるという意味だと思ってましたが。ふふっ」


「授かり物だなんてなあ…助けてもらったのはこっちの方だけど。」


ルビィ、そんなに警戒しなくても大丈夫だ。

という意味を込めて頭のあたりをポンポンとしてやったが、噛み付かれた。

なぜだ。


あとそろそろ腰を引かないとヤバい事になりそうだ…



俺は疲れが限界に達していたので、そのまま落ちるように眠ってしまった。




朝起きると、ルビィがこっちに目を合わせない。



「今日からあんたの事はスケベスタッフの魔法使いと呼ぶことにするわ!」


と顔を赤くしながら涙目で言ってきた。

生理現象に文句言わないでください。


「あ、あ、あんなの初めて見たわよ! バカッ!」


見たのか…



好奇心、猫を赤く染める



明日の予定が微妙なので早めに投稿


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