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竜種少女と静かに暮らしたい  作者: るっぴ
第二章「伝説のタイタンバトル編 巨人族との大乱闘!」
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5 「大遭難」

――俺が目を覚ました時には森の中だった。


どうやらルビィが竜になれた事に安心して、気を失ってしまったらしい。

一体ここはどこなんだ…?


と見回すと、そこには裸のルビィがうつ伏せで寝ていた。

いや、これは気絶だ。


竜の力を限界まで使って離脱してくれたのだろう。

しかしクリスタ達の姿が見えないのは、はぐれてしまったせいか…


ルビィの華奢な、それでいて張りと艶のある肌が眩しい。

いやいや、命がけで限界まで力を出して俺を助けてくれたんだ。

今はよこしまな目で見るのはナシだぜ!


俺は着ていたトレーナーを脱いでルビィの上に覆い被せた。

森と言っても季節は秋だ。

木の種類は良く分からないが、葉は枯れ落ちたり紅葉したりで

結構遠くまで見渡せる。


とりあえず乾いた、なるべく綺麗な枯葉を寄せ集めて布団代わりにして

その上へルビィを寝かせた。

なるべく裸は見ないようにね。

トレーナーも着せておこう。

ジーパンを履かせるかどうか迷ったけど、何か誤解されそうだからやめといた。


竜に変身すると丸裸になるのは辞めて欲しいなあ。


ルビィの近くには騎竜具が落ちてる。

あの状況で拾い上げたのか。


「んんっ…」


ルビィが身じろぎをして目を覚ましたようだぞ。


「ルビィ、大丈夫か?」


「あ…海。あんたこそ怪我は…?」


目をこすりながら起き上がる。

気が付いたばかりのせいか、動きが鈍いが大丈夫そうだ。


「ルビィのおかげで俺はこの通り元気だ。」


「そう。良かったわ。でもクリスタとはぐれちゃって…ごめん。」


「生きてるだけで丸儲けさ。クリスタ達も、まあ無事だろうし問題無しだ。」


ルビィは「そうね」と言いながら微笑んで立ち上がった。


「その…俺の服を着せたけど、変な事はしてないぞ。 下も履くか?」


「あ…ありがと。 下はいいわ。 この服でっかいから」


元から俺自身にも大きすぎるダボダボのトレーナーだったからなあ。

いや、太った時のためじゃないよ? マジで。


一時期そういうのが流行った時に、バーゲンで投売りだったんだよ。

確かにルビィの膝近くまでトレーナーの裾がかかっている。

むしろ肩口がずり落ちそうなくらいだ。

これはこれで…いやいや、当面は紳士で行け、俺。

まだ予断を許さない状況なんだから。



「ここがどこだか分かるか?」


「たぶんユグリス・メサの森よ。私達は東に向かって飛んだから。」


ルビィが説明してくれた。

どうやらクリスタが婆様達を降ろそうとしたら翼竜ワイバーン部隊が追ってきたらしい。

それでクリスタ達はそのまま西のホークンモリア地方へ、

合流前だったルビィは東のマラメーヤ地方へと、

別々に離脱するはめになってしまったとか。


「翼竜! そんなものまでいるのか!」


「海が産みの親みたいなもんでしょ。

 あの日以来、そんなモンスターは珍しくも無いわ。

 今のソーサリスは不思議が日常よ。

 ワイバーン程度、あっという間に飼いならすわよ。」


そう言えばそうでした。

この騎竜具もサラマンダーから採った皮だって言ってたしな。


ルビィは消耗してるせいか、まだぼんやりした口調だったが

それでも熱に浮かされたように空を見上げて続ける。


「凄かったわ…あの竜になった時の開放感。

 ほんと、どこまでも飛べそうで、体の内側から海にもらった力が溢れてきて

 外側からは無限にマナを力に変換できて…

 ワイバーンに兵士が乗っていなかったらブレスで丸焼きにしてやったのに。」


残念そうに締めくくった。


「やっぱり炎のブレスだったか?」


「もちろん!」


「そりゃ凄い。しっかり見れなかったのが残念だ。

 でもきちんと人の姿に戻れたようで良かったな。」


「ええ、でもクタクタよ。やっぱり騎竜具を付けてないと、

 元に戻る時にかなり消耗しちゃうみたい。

 竜気を解いた時よりも疲れるわ。」


そんなもんか。なるほどね。


「何とか休めるような場所を探さないとな。お腹も空いちゃってるだろ?」


「うん。直前にあんなに食べたのに、すっかりぺこぺこよ。」


「まあ一晩経ってるし、竜になったしで無理も無い。

 しかし食べ物が無いどころか、金も家も無くなったなあ。」


「別にいいわ。あんな奴らにこれ以上へつらって住まわせもらうなんて御免よ!」


「確かに。邪魔だというなら出て行くまでだな。素直にそう言って欲しかったが。」


「民衆には最初英雄扱いされてたし、竜種と直接戦うのは怖かったんでしょうね。

 残った人間としては竜種は邪魔で仕方なかったのよ。

 でも異世界人とは言え、人間である海だけは捕らえるか殺すかしたかったんでしょ。」


声に出しては答えずに、俺は大きく頷いた。

結局、俺なんだな。

竜種は強大な戦闘力を持っているが俺が居ないと竜にはなれない。


その事を人間教の中枢である貴族達は調べて知ってたんだろう。

だから俺が来た途端、一気に破局を迎えた。


でも奴らの思惑なんて知った事か。

俺は彼女達を、家族を守る。

それだけだ。


「とりあえず食べられる物と近くの街を探そう。

 でないと、ルビィがやせ細って紐みたいになってしまう。」


からかったら尻を蹴られた。

痛いけど、普通の人間の女の子程度のパワーしか無いな。


「ここユグリス・メサの森に一番近い街はヴァルベルデの城塞都市よ。

 普通の旅人なら、歩いて一週間かしらね。馬なら4日だけど。」


「一週間か…ルビィは裸足だし、食べ物を探しながらだと、相当かかりそうだな。

 いざとなったら、もう一度ルビィが竜になるしかないか。」


「ちゃんと休息して食事しないと無理ね。

 森はすぐそこで途切れるし、この辺で狩りするしか無いわ。」


「獲物捌けるの?」

「無理」


こりゃあダメだ。

そもそもナイフ1本無いしな。

食べられる獲物を捕らえて丸焼きに…

火を起こす道具も無いか。


目の前にレッドドラゴンになれる子はいるんだけどね。

まあ竜種のパワーが少しでも戻れば、木片と枯葉で火を起こす事くらいは出来るかも。


木がまばらになる。

森の端まで歩いて出て行くと、

突然ルビィが俺の頭を押さえ付ける。


「何か来るわ! 伏せて!」


何だ何だ。

ルビィが指差す方向を見ると、土煙が上がってるのが見えた。


「あれは…馬かな?」


「2頭…片方に人が乗ってるわね…」


「旅人か狩人かな。 話しかけてみるか。」


「そうね。 交渉しましょう。 基本的に力ずくで。」


それただの強盗です。

まあこのままじゃあ生きるか死ぬかだから仕方ない。

良い人ぶって野垂れ死にってのは確かにゴメンだ。



追いはぎ強盗、ルビィ&海の誕生だぜ。


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