表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜種少女と静かに暮らしたい  作者: るっぴ
第二章「伝説のタイタンバトル編 巨人族との大乱闘!」
41/86

2 「大いなる予言とルビィ」

婆様は椅子に座りなおして言う。


「まあ悪い事ばかりでもない。海よ、お前をこれだけ早く再び呼び出せたのもそのひとつじゃ。」


「そう言えば…確か、戻るのにも3年分の魔力と言ってましたね。」


「うむ。以前とは比べ物にならぬマナが満ち溢れているおかげで、魔法を使うものの力は増大し

 使い手そのものも増えた。そして失われた伝説や魔法の品も次々と世に現れておる。」


婆様はリビングの隅に置いてあった木箱から何やら道具を取り出す。

あれは…騎竜具か。


炎蜥蜴サラマンダーの革の良いのが手に入ったのじゃ。

 畑を荒してたのをクリスタ達が退治したのじゃが、ルビィに丁度良いと思っての。


 その力はクリスタの騎竜具から写し取る事が出来たのじゃが、

 どうにも肝心な材料が足りないようでなあ…」


「どんな素材が必要なんです?」


「魂じゃ。」


俺は絶句した。

生贄が必要なのか!


冷静に考えれば魂が必要な理由は何となく分かる。

クリスタに使った騎竜具もひとりでに動いてたし、

何より俺以外には触れられないようにオート回避機能とか付いてる。


しかし魂とはね。


「まあ人間や亜人種の魂である必要は無いんじゃ。

 そこそこの知能がある命ならばの。

 とりあえず家畜や野犬の類ではダメじゃった、という段階じゃ。」


家畜、ね…

普段から食べてるとはいえ、生贄とか魂とか言うと

やっぱちょっと引っかかるものがあるもんだなあ。

エゴだね、人間の。


「まあこれはルビィに預けておこう。もう魂さえ入ればいつでも使えるからの。

 時間が経てばひとりでに魂が憑く事もあるじゃろう。」



ルビィが奪うようにして騎竜具を受け取る。



「これでいつでも変身できるって訳ね!」


「そのままでは単なる騎乗道具じゃ。騎竜具の本質は別の所にあるんじゃよ。」



俺もルビィも、クリスタも怪訝そうな顔になる。


「騎竜具は竜の第二段階の状態に反応して発動するのじゃ。

 そしてその非生命の体を安定させる効果を持っておる。


 逆に言えば、第二段階への変身は騎竜具無しでは危険すぎる、という事じゃ。」


「それであの時に騎竜具を…婆様、貴方は一体何をどこまで知ってるんですか?」


「それについては後日話そう。急ぎではないからな。

 わしもお前を召還するのに魔力を使いすぎて疲れておるのじゃ。」


露骨にはぐらかしてきたなあ。

まあ隠し事はあっても人柄が悪いわけではないし、

騙してるわけじゃなくてタイミングを見てるだけだろうから…

問い詰めるのはやめておこう。


「そうじゃ予言の事を話しておらなんだな。」


「予言!? また胡散臭いものを…」


「そう言うな。お前がここにいるのも予言や伝説の類のおかげなのじゃからの。」


婆様が苦笑しながら言った。

それもそうでした。


これでも俺、伝説の英雄だったんだ。

すっかり落ちぶれてるみたいだけど。


しかも俺の体感では僅か数時間だけど!

短い春だったなあ…とほほ



「巷の占い師や預言者達が一斉に同じ予言を述べたのじゃ。」


婆様は予言の内容を俺に教えてくれた。

曰く、赤い竜が出てきて巨人と戦うらしい。

そして世界が滅んで再生するのだとか。


「一人の占い師が言うだけなら噂にも上らなかったじゃろうが、どこの占い師や預言者も同じ事を言う。

 しかもその主役が赤い竜ときて世界を滅ぼすとはのう…」


「赤い竜…やはりルビィですかね。」


婆様は頷く。

ルビィは胸を張って勝ち誇ったような胸を張るポーズをとってみせる。


状況呑み込めて無いだろキミ。

というかパンツって何なの…単語浮きすぎなんだけど。



「そのせいで先の人間教の教徒達が一層色めきたっておっての…

 毎日わしらに抗議してくるわけじゃ。」


「予言を元に、未遂の事に文句言われても何にもできないですね。」



婆様が憤りながら「全くじゃ!」とテーブルを叩く。

ここで人間社会のある種のやりきれなさを説いても仕方ないだろうな…



「取り急ぎ話しておかねばならぬ事はそんな所かの。

 ひとまずは体を休めるが良い。まだ疲れが残っておるのだろう。」


「あの…肝心な事がまだなんですが。」


「なんじゃ?」


「俺、どうして呼ばれたんですか?」



全員が目を丸くする。

短い沈黙がエミィの涙声で破られた。


「お兄ちゃん、エミィと一緒に居たくないの…?」


これはミスった!

せめて聞き方をもっと工夫するべきだった。

口々にみんなから非難され、俺は素直に頭を下げまくって謝った。


婆様が手を上げて皆を静止するまで30分はたっぷり怒られただろう。


「まあ理由が無いわけではない。10日も経たぬ内に査問会が開かれる。

 わしらはそこで当日の事を含めて証言せねばならぬ。


 お前がいたほうが圧倒的に有利じゃ。

 場合によってはそこでクリスタを竜にしてもらうやも知れぬ。」



なるほど、とエミィの頭を撫でてあやしてやりながら頷いた。


「それともうひとつ。レオンハルト、あいつはどうなりましたか?」


まだ口々に文句を言っていた3人が完全に押し黙る。

顔を背けて誰も答えようとしなかった。


「レオンハルトはな…あれ以来、人前に一切出ておらぬ。

 ハイデマンの館に閉じこもってるとの事じゃが、街から出たという噂もあるでの。」


自失状態だったとは言えレオンハルトは味方を、人間を殺している。

貴族特権で逮捕はされてないようだが、人前には出れない状態か…


俺はばつが悪くなった空気を破るように


「じゃあ休ませてもらいますね。」


と言い残して二階へ上がった。



エミィがむくれて離れてくれないので、寝かしつけてあげよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ