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竜種少女と静かに暮らしたい  作者: るっぴ
第一章 「竜の魔法使い伝説編」
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38 「限界と突破」

「海くん、苦しくなってきた…」


「魔力王も息が上がってる。最後はスタミナ勝負だ。何とか頑張ってくれ!」


「ううん、そうじゃなくて竜気が…」


「何だと!?」


竜に成ってもまだ竜気は高まり続けていたのか!

変身は無制限じゃなかった。時間制限付きの有限だったのだ。


氷のブレスを吐く限度は後1回か2回か?

魔力王が呪詛砲を放つのにスタミナを消耗している様子はない。

攻撃そのものは無限に等しい魔力を用いてるだけあってわずかしか、あるいは全く疲れないのだろう。

攻撃の手を緩めれば逆転されてしまう。


再度突撃と氷のブレスによる攻撃を当てる。

だがやはり同じ結果で、消耗させるも決定打にはなり得なかった。

魔力王は氷を割り、苦しいながらも天に向かって勝ちを確信した叫びを上げた。


「無駄ァ! 天の使い、竜さえも私を殺すことあたわず!

 答えろ、竜ッ! 天はなぜファルナークを見捨てた! なぜ悪逆どもが地をのさばるッ!

 ただ一人の女とささやかに暮らしたいという願いがなぜ叶えられぬのだッ!

 私に神罰の代行者として、人を滅ぼせとでも言うのかッ!」


「起こってしまった事は元に戻せないわ! 死んだ人を蘇らせるなんて間違っているの!」


クリスタは相当苦しそうになってきてる。

先の氷のブレスも1発目より威力が弱っていた。


クリスタは大きく旋回して、次のブレスを準備しつつ攻撃のタイミングを伺う。

そこへ魔力王の呪詛砲が乱射され、2本の黒い光が羽を貫き破り去った。

浮力を失い、クリスタは地面に向かってまっしぐらだ!

叩き付けられたら俺も無事では済むまいな。南無三!


追撃の一際大きい呪詛砲がクリスタの胴体に突き刺さる。

爆発と共にクリスタが苦痛の咆哮をあげ、地面を転がる。

俺も地面に投げ出され派手に転がりまわった。


危なかった! 上空高く飛んでたら転落死してる所だった。

ドラゴンの慣性制御が上手く守ってくれたらしい。

クリスタ自身に押しつぶされる可能性もあったかと思うとぞっとする。


急いでクリスタに駆け寄って、大丈夫か! と声をかける。

魔力王の攻撃は貫通こそしなかったが脇腹の鱗は無くなり皮膚が破れ、

赤とピンクの筋肉が露出してグズグズに崩れている。

出血も酷い。これは結構なピンチだ。


「だ、大丈夫…再生能力があるから…でも、苦し…」


ダメージより竜気のプレッシャーか!

どこまでも不便な力だ。

確かにまたクリスタを覆うように乳白色のマナが輝いてる。


だが、待てよ?

竜気がキツいなら、もう一度俺の反魔力を注いでやればいいだけじゃないか。


竜になるためにクリスタとキスをした事を思い返して…

よし、大きなリスクは無いように思える。

やらない手は無い!


巨大竜とのキスか。やってやるぜ! 

反魔力が尽きて気絶するまで、何度でも!

急がないと、魔力王がトドメを刺そうとこっちへ歩いてくる!


「クリスタ! もう一度キスしよう! 口を開けて舌を出すんだ!」


「うん…ちょっと待ってね…」


口を開けるのも辛いのか? 

何なら歯茎でも大丈夫そうだからやってみるか。

生きた細胞同士がそれなりの面積接触してれば問題ないだろ。


「海くんどこ…? こっちだよぅ…」


あれ、耳に直接響いていたクリスタの声が向こうから聞こえるぞ?

俺は声の聞こえる白竜の背中側に移動した。


そこにはクリスタが「生えていた」。

白竜の背中から元の人間の姿の上半身がニョッキリ出ているのだ。


「な…便利な体してるな。着脱可能なのか。」


「うん。って言うか、竜を纏うって教えてくれたの海くんだよ。」


そうでした。

でも比喩的に言ったんだが、本当に纏ってたとはね。

着ぐるみドラゴンだったのか。

ともかくあれだ。ちょっと目のやり場に困ることになってる。


「クリスタ。その、前隠そう。」


裸だった。白い肌が眩しすぎる。

童貞の俺にこの刺激は嬉し…いや、キツい。


クリスタは慌てふためいて、両の手で胸の辺りを隠した。

俺はキスをするためにクリスタの両肩を抱く。

クリスタが目を瞑って唇を半開きにして…


なぜ舌を出す!?


あ、そっか。さっき俺がそう言ったからから。

あれはドラゴンの口をって…ええい!

忙しいからそんな御託は後回しだ。


むしろ好都合! 接触面積が広いほど伝わりやすいだろ!

濃厚なのを交わそう!

俺のありったけの反魔力、お前に全部注いでやる!


俺たちは人生二度目のキスを交わした。


クリスタが胸を隠していた手を俺の胸に当て、そのまま背中に手を回す。

俺は甘く柔らかい天国の感触に流されないように…流されたい。

だが全力で反魔力を練り上げ舌に集中し、絡めたクリスタの舌に伝える。


全力を出したせいで体に力が入ったのか、クリスタの肩を強く抱きしめ過ぎたようだ。


クリスタが「んんッ!」と切ない声を漏らす。

俺は意識が遠くなりかけ、唇を離した。

足がふらついてきたぜ。


だが、やっただけの成果はあった!

クリスタと白竜の体が再び白いマナの結晶に覆われ、

再度のマナ竜巻を起こした。


俺はまた風に飛ばされかけたが、クリスタが尻尾で捕まえて支えてくれた。

また変身プロセスを踏襲するのかな。



魔力王が眼前に迫り呪詛砲を放つが、荒れ狂うマナと竜気の竜巻はそれを半ば弾き、

半ば散らして無効化した。

そして再びの白い光の帯が天に昇った。

しかし尻尾に巻かれていたため、今度は俺も一緒に空へ投げ出されたのだ。



知ってる?

生身の人間はそんなに高く飛び上がると色々不味い事が起こるんだぜ。

ここがファンタジーな世界じゃなければ、空へ投げ出された時点で死んでただろうな。

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