1 「異世界少女クリスタとの出会い」
一章は主人公の海とヒロインの銀髪少女クリスタ、この二人の物語です。
他ヒロイン達の出番は二章以降となります。
海とクリスタが魔力王を倒すストーリーをお楽しみください。
自分が変わらなくても、世界の方が目まぐるしく変わる事だってある
世界が変わり、別の世界と混じり会う
これはそんな話――
俺、溝呂木 海はたった今30歳になった。
無職だけど引き篭もりじゃないぞ。
現に今だってこうしてコンビニで買い物だし。
ツ○ヤにだってソフ○ップだって行くからな。
0時過ぎ、コンビニで小さいケーキとお菓子を買い、帰り道に空を見上げる。
「とうとう30か…」
そう、童貞のまま30歳だ。 働こうとは常に思ってた。
実行しなかったけど。 嫌な気分を吹き飛ばすために大声を張り上げる。
「今日から俺は魔法使いだーッ!」
ネットじゃ良く30年童貞守り通した奴を魔法使いと揶揄する。
俺も今からその一人だ。
まあ明日もなるようになるさ、と伸びをすると一際眩しい街灯の明かりが目に入る。
あれ? こんな所に街灯なんてあったっけ?
世界は常に移りゆくものか。 俺だけが取り残されているような気分になるね。
さっさと帰って、寂しく己の誕生日ケーキを食べて…寝よ
二階の自室に戻り鍵をかけ、足元の就職情報誌を蹴とばす。
テーブル代わりのコタツ脇に座ろうとしてふと気付いた。
窓の外に見慣れぬ明るい光がある。
さっきまで何もなかったはずだが… 何か変なジジジジという音も聞こえる。
と、カーテンを閉めるついでに外を覗き込んだ瞬間、光がこっちへ向かって飛び込んできた!
まずい! ガラスが割れ…てない!
虫か、あるいは電柱でも倒れたてきたか!?
慌ててコンビニ袋を振り回して追い払う。
拳ほどもある光の玉は、明らかに生物的な動きで俺にまとわり付く。
ジジジというノイズ音がザザザ…と変わり、
マイク越しの人の声のように聞こえてくる。
「・・・ ・・・なの?」
…え? 女の子の声だ。 何て言った?
「あなた、魔法使いなの?」
はっきり聞こえた。
眩しさに少し目が慣れて見えてきたのは、小さな羽の生えた少女の姿だった。
こんな事って本当にあるんだなあ…
妖精だこれ
妖精と話ができるなんて俺、本当に魔法使いになったみたいです。
光る妖精に向かって指を伸ばすと、俺の手の甲にちょこんと乗った。
先ほどの言葉を繰り返してる。
「ねえ聞いてるの? 言葉通じてる?」
「妖精を呼び出せるなんて、やはり30歳童貞は魔法使いというのは本当なのか…!」
「やっぱり魔法使いなのね!」
「え…いや、その…」
なんと説明したものか。
「とにかく、私たちの世界が大変なの! 別世界の魔法使いの力が必要なのよ!」
「い、いや、俺、魔法使いと言ってもそれはさ…」
「とにかく魔法使いならいいわ。 案内するから来て!」
その小妖精が床を指差すと、床にぽっかりと黒い穴が広がった。
完全な漆黒だ! どうなってるんだこれ!?
綿毛のような淡く光る何かが、幾つも立ち昇ってきて霧散していく。
ワープゲートか!
「わたしは<星渡り> さあ飛び込んで! 着いたらわたしの名前を出せば大丈夫!」
星渡りと名乗った妖精は俺の後ろに回りこみ、俺を蹴飛ばした。
小さな体のくせに意外な怪力で、俺はあっさりとバランスを崩し…
悲鳴をあげながら尻から穴に落ちた。
物凄い速度で落下してるはずなのに風を感じない。 しかし呼吸はできる、苦しくない。
落ち着いて周りを見回すと…そこは宇宙だった!
いや、宇宙に行ったことないけど。 なんで呼吸できるんだろ?
しかし俺はどんどん加速しているようだが大丈夫だろうか?
妖精は世界を助けて、みたいな事を言ってたがこれじゃただの隕石だ。
いや、隕肉というべきか、などと無碍も無い事を考えていると
遠くに見える星々が糸を引くように俺の落ちていく先へと伸びていった。
俺は死ぬのか? あるいはもう死んでいるとか…
煌きがどんどん強くなり、視界が埋め尽くされ目を瞑る。
いつの間にか騒音を立て始め、耐え難いほど大きくなる。
終点が近い! ナムサン!
薄目を開けると落下地点に黒点が見え、それが広がり―――
俺は頭を体を丸めてそこに落ちた。
ヒュボッ!
突如空気抵抗と重力を感じた!
その瞬間、水中に沈み込み呼吸ができなくなる。
海か!? 川か!? 苦しさにもがくと水底に足が付く。
これは浅い! 助かった!
急いで底に手をつき、体を起こし息を整える。 妙に温い…温水だこれ。
目に入った水をしきりに瞬きして追い出しつつ、手探りで周囲を確かめる…
お、何か柔らかいものに触れた。
辺りは霧に包まれて…湯気か。 ひょっとして温泉かな?
すると、つまり俺の手に触れたこの柔らかくて…
白い、いや桜色のこれは…ふにふにと…
ようやく目が見えるようになった。 うむ、女性の体だな。
って、しかもこれお尻だ!
ここは女風呂だ!
振り向いた若い女の子は長い銀髪で、俺の知らない言葉をしゃべりながら俺と目を合わせた。
互いに固まったかのように、一瞬の永遠を見つめ合う…
大きな悲鳴が響き渡った!
まずい、隠れねば! 銀髪の女の子は涙目で桶を投げつけてきた。
俺の右頬をかすめ切り裂く!
「ちょっ! 待って! 誤解誤解!」
軽くパニックになって意味不明なことを口走しる。
咄嗟に隠れようと、右手にある何かに手を伸ばす。
これは程好く柔らかくてそれなりに芯があって…
中腰に屈んだ俺とちょうど目があった。
きょとんとした表情で緑色の角みたいなものが頭の天辺の脇から垂れ下がってて…
これは緑の髪をしたツインテールの小さな女の子だ。
その小さな緑髪の女の子は俺の顔をぺたぺた触りながら何か言ってる。
どうも英語に近い言葉だ。
その子は「おー」と口を縦に広げ、ちょっと尖らせながら俺の頬をつまんで引っ張る。
そんなに変な顔か、俺?
銀髪の少女が涙目でばたばたと手を振り回しながら、緑髪の幼女を手繰り寄せ、俺との間に割って入る。
「落ち着いて! マジ落ち着けって!」
銀髪少女が右手で幼女を庇い、左手で俺の事をパカスカと殴る。
痛いッ! とんでもない馬鹿力だぞ!
俺はたまらず彼女の拳から遠ざかるように顔を逸らしつつ、両手を突き出して防ごうとして…
また柔らかいものを両手が掴む。
さっきのお尻より更に柔らかく、まん丸で… 両手からこぼれるほど大きなこの感触は…
どうみてもおっぱいです。
本当にありがとうございました。
二度目の絶叫が風呂場に響き渡った。
~概要~
異世界転移
魔法世界でチートな反魔力
キスしてドラゴン
美少女に首輪付けて絶対服従
でも童貞捨てたら終了
そんな変身竜美少女モノ
気軽に読める作品を目指してます