覚醒の時
この作品は賞に応募するつもりです。
よろしければ感想やレビューください!
ご協力お願いします。
ーーーー勝った!!ーーーー
これまで何人もの人を殺めてきた仁ですらそう確信した。
だが豪の化け物っぷりは、
仁の想像をも超えていたのだったーー。
仁の攻撃が届くよりも先に、豪の鎖が仁の右腕をとらえた。
仁の右腕は激痛と共に、明らかにありえない方向へとねじ曲がった。
「がああああ!!」
悲鳴をあげて仁は倒れる。
「仁ー!!」
桜が叫ぶ。
倒れた仁を見つめて豪は笑う。
「残念、確かに精度は上がっていた。だが、俺を仕留めるにはまだまだだ!」
仁は歯を食いしばりながら豪を睨みつける。
「しかし、久々にスリルを味わうことができたよ。俺の鎖で腕がもげてないのも、お前が強敵である証拠さ。」
ふざけるな……!ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな!!
「まだ、負けてねぇ!テメェは……テメェはぁ!!」
豪は薄く笑って銃を構える。
「さよなら、死神ちゃん。」
瞬間、仁は体の中でプツンと何かが切れた感覚を覚えた。
「やだ。やだよ。やめてぇぇ!!」
桜の言葉を豪が気に留めるわけもなく、容赦なく引き金を引く。
#######################################
この感覚、久しぶりだ。
最後になったのはいつだったか。
自分の体が自分のものでないような感覚。
何かに取り憑かれたかのような感覚。
考えていることに逆らった動きをする感覚。
痛みが、温もりが、離れていくこの感覚。
頭の中が1つの考えで支配されていく。
ーーーーコロシタイーーーー
#######################################
「あの体勢、あの状況で避けただと!?」
仁は豪の至近距離での射撃を避け、左手に小刀を持ち斬りかかる。
豪はギリギリ鎖でガードする。
しかしその瞬間仁の足払いを受けて体勢を崩す。
ーーーー速いッ!!
仁は小刀を振り上げて、倒れかかりながら豪を狙う。
豪はまたもや鎖でガードする。
「ひゃははっ。」
仁はそう笑って小刀を右手に持ち変える。
「バカな! 右は動かせねえはずだ。」
「ひゃっはあああ!!!」
仁は右手を無理やり動かして、小刀を豪の腹に刺した。
「こ…いつ…! 腕の骨イかれてるはずだろ。痛みを感じてねえのか?」
「ふひひひ。きゃはははぁー!!」
左手で小刀を引き抜いてもう1度刺そうとする仁の心臓辺りを狙って、豪は鎖を放つ。
仁はそれをボロボロの右手で防ぐ。
あまりの傷の具合に桜は思わず見ていられなくなって手で顔を覆う。
「なるほど。理性がぶっ飛んでやがるな?」
仁は終始笑っていた。