豪VS仁
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「3年ぶりだな、仁。少し大きくなったか。」
「興味ねえくせに聞くなよ。」
仁は豪を睨みつける。
「確かにそうだな。俺が興味あるのは、殺し屋としての成長だ。」
豪がそう言うと仁は身構える。
「そんな怖い顔すんなって。むしろひどいのはお前だろ? 俺のお仲間ちゃん殺してよ。」
仁の額から汗が流れる。
「よく言うぜ。己の欲のままに人を殺しまくるあんたに、仲間なんていねえだろ。」
豪は狂気にまみれた笑顔を浮かべる。
「そう。俺は殺しが大好き。仲間とか一切関係なく欲の対象だ。だから第3隊にはメンバーが2人しかいない。」
「その欲のために、お前は俺の大切な人を殺した……!」
仁はガルゴから奪った小刀をポケットから取り出す。
「まだそんな昔のこと根に持ってたの? くどいねぇ。それとも……」
豪は舌で自身の唇を舐めまわす。
「大事な人目の前で殺される感覚が癖になったって言うなら、今その女を殺してやろうか。それとも、お前が死ぬ?」
その言葉を聞いて仁は豪に小刀を向けて走り出す。
「佐川豪!!! お前が、死ねぇぇ!!!」
「いいね、感情的になっているやつを無様に殺すのもゾクゾクするよ。」
仁は小刀で豪の首元に斬りかかる。
豪はそれをかわして仁の腕を掴み、投げとばす。
倒れた仁を豪が上から殴ろうとすると、仁は豪の顎を下から蹴り上げる。
仁は跳ね起きをしてすばやく立ち上がると、ふらついた豪の胸元に斬りかかる。
豪はどこからか鎖を取り出してそれを防ぐ。
「出たな。あんたの十八番。」
「俺の仕込み鎖は固く、速く、重い。人間の腕や足、首さえも簡単に斬り落とす。」
「〝当たれば″が抜けてるぜ!!」
仁は裏蹴りを仕掛ける。豪は体を後ろにそらして避ける。
仁はかかと落としでさらに体勢を崩して、小刀で1発お見舞いしてやる、と考えるが、
豪の鎖が仁の右足を縛る。
「なっ!」
豪は鎖を自身の後ろへと振る。
仁はそれによって投げ飛ばされる。
倒れた仁をすぐさま鎖が襲う。
仁はそれを横に跳んでなんとか避ける。
「さっきから投げ飛ばしてばかり。あんたはいつから柔道選手になったんだ?」
豪は鼻で笑う。
「こういうののほうが好きか?」
言葉と同時に豪は銃を構え、3発連射する。
仁は3発全てをかわす。が、
「はい、狙い通り。」
ーーーー鎖ッ!?
鎖が仁の腹に直撃する。瞬間体の中から骨が悲鳴をあげる。
「があっ!?」
仁は腹を抑えながら倒れた。
「仁!!!」
耐えられなくなって桜は叫んだ。
「あれぇ? すまん。手加減したつもりなんだがな。衝撃で肋骨の1、2本イッちまったか?」
仁は苦悶の表情を浮かべながらむせる。
「おいおい、まさかもう終わりだなんてこと。言わねぇよなああ!!!」
豪は鎖を振り上げる。
「もう、終わりだよ。」
仁がそうつぶやいた瞬間、
ーーーー消えた!?
豪の視界から、いや味方であるはずの桜の視界からさえも仁の姿が消えさった。
今まで見ていたのは幻だったと錯覚させられるほどに、完璧に消えさった。
「闇と同化。お前の〝死神″という異名の由来となった技か。成長しないな、お前。」
豪はそういうと目を閉じる。
「忘れたか? 3年前、お前が俺を殺しに来たとき。 俺がその技を完璧に破ったことを。俺の生まれ持った耳でな!」
すると姿の見せない仁が反応する。
「常人の3倍の聴力が宿る耳。確かに超能力レベルのチートだ。だが、耳はよくても聞き分けが悪いようだな。」
「あ?」
「俺は……もう、終わりだと言ったんだ。」
言葉と同時に姿を現わせた仁は、豪の喉元に向けて小刀を振っていた。
その距離、わずか30センチメートル。