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青の桜   作者: 星乃優/優キング
第1章 出会い編
6/39

釣り

この作品は賞に応募するつもりです。

よろしければ感想やレビューください!

ご協力お願いします。

更新少し遅くなりました。すみません。


逃亡生活が始まって3日が過ぎた頃、


「そろそろかな。」


仁が朝食の途中に不意にそうつぶやいた。


仁が部屋から出たのは初日の夜の一度きりだ。


「そろそろって?」


「釣りだよ、釣り。()いたエサにそろそろ獲物がかかる頃だ。」


なんの話だかさっぱりな桜は流すように「ふーん」とだけ返事をした。


しばらくして仁は両手を合わせてごちそうさまとつぶやく。


相変わらず律儀だ。


「お前も早く食い終われ。今日は出かけるぞ。」


「え、は、はあ!? ちょっとそういうことは前もって言ってよ!」


「なんでだよ。出かけるのなんて突然のほうがむしろ面白いじゃねーか。」


「なんでってあんた、18年も生きてて常識ないわねー。女の子は出かける前にある程度の準備がいるものなのっ。」


すると仁はため息をついて、


「なるべく急げよ。」


とだけ言った。


#######################################


「なあ、お前なめてんのか。」


準備完了を告げた桜に対して仁はイラだった声をあげた。


「俺はなるべく急げと言ったよな?」


「これでも急いだんだけど。」


「どこがだよ! あれから1時間も経ったじゃねえか! お前忘れてんじゃないだろうな。お前は〝マムシ″に狙われてんだぞ!?」


「忘れてないよ。」


「じゃあなに、死にたいの? それとも俺が殺してやろうか。」


「やだ。私は戦うと決めたんだから。」


「やだじゃねえよ! この能天気バカ女ぁー!!」


#######################################


帽子を深く被り、大きめのサングラスをかける。


顔を防具したファッションで桜は町を歩く。


隣には見覚えのない顔をした男。


変装マスクを被った仁だ。


殺し屋は仕事の都合上10種の変装マスクを持つのが基本らしい。


仁は町をキョロキョロしては「大漁、大漁」と

つぶやいている。


「いい加減何のことか教えてよ。」


「なにがー?」


「なにがじゃないでしょ! 夜中にいきなり家を出て行ったり、町をキョロキョロしながら大漁とつぶやいたり。いや、そんなことよりも」


桜はそこで1度息を吸って力強く言った。


「なんで私があなたの彼女のフリしなきゃいけないの!?」


「俺がお前の命ためにかけるものに比べたらマシだろ。」


それを言われてしまうと何も言い返せない。


「それにほら、改めて見てみると俺って意外とイケ」


「きもっ。」


仁の言葉を遮ってそう言った。


そして自然と笑みがこぼれた。


瞳に映る仁も笑っていた。


#######################################


「冗談はこの辺にしておいて、真面目な話をする。」


桜はそう言う仁をただ見つめる。


「まず、今確認しただけでも〝マムシ″の連中が30人はこの町にいる。」


「さ、30人!?」


「声がでかい。それに全員ザコだからそこの心配はいらない。」


仁はさらっとすごいことを言ってのける。


「ただ、昼間に戦うのは避けたい。町の連中が騒ぐと警察が来るし、町の連中を警戒してると人数差で殺られる。」


「なるほど、そのために変装。けどなんでこのウェスタンシティ(西の町)に〝マムシ″がこんなに?

〝マムシ″の本部は私がいたセントラルシティ(中心の町)にあるのに。」


「その事なら家で話そう。それより食料仕入れてさっさと帰るぞ。」


「えー。私まだ町を歩きたいー。セントラルシティ以外の町初めてなんだもんー。」


「セントラルシティは東西南北すべての町の集合体なんだから、セントラルシティ知ってるのにわざわざ他の町回る必要ないだろ。」


「はあ。これだから男は。」


桜は呆れた顔でそう言った。


#######################################


日は落ちて町は暗闇に包まれる。


それと同時に町から人の気配が少しずつ減って()く。


日付けが変わる間近。


今日が昨日に、明日が今日になる間もなくの時間に、仁は町に戻る。


人気のない夜の町を1人歩いていると1人の男が話しかけてくる。


「〝マムシ″の者だ。この辺りでガルゴ様が殺られた。そのことについて何か知らないか?〝レッドタイガー″のコードネーム死神。」


すると仁は鼻で笑う。


「コードネームを持ち、俺の本名を知っている隊長クラスの奴ならまだしも、お前ら雑魚に情報をやってなんのメリットがある?」


「では質問を変える。 ガルゴ様を殺したのはお前か……?」


その言葉に仁はニヤリと笑う。


「いいね、その質問は楽しい。じゃあ逆に質問しよう。もし俺が殺したとしたらどうする?」


「〝マムシ″第4隊40人にその他の暴力団員など裏の人間80人を加えた120人の相手をしてもらおう。」


言うと同時に男は胸ポケットから銃を取り出して仁に向ける。


「ひゃはっ。それ最高。」


仁は狂気に満ちた笑顔を向けた。

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