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あれは大学の合格発表日だった。
俺は受験票をにぎりしめて開示を待っていた。
ふと周りを見渡すと、進学校の田丸高校の女生徒が同じく受験票を持って開示を待っていた。
髪が長くて顔ははっきりとは見えなかったが、可愛い感じの人で、どこと無く懐かしさを感じる。
いや、そんな事今はどうでも良い。
進学校だろうが何だろうが俺は絶対に受かる。
2159、2159…
あっ…!
「あった!」
女生徒と同時に声を発した。
あまりの一致にびっくりして女生徒を見ていると、女生徒が髪をかき上げながらゆっくりとこちらに振り返った。
その瞬間、運命を感じた。
中学時代に恋い焦がれた、事柴基恵だった。
「事…柴…さん…?」
「あれ、田邉だ。
久し振りだねー。三年振りくらいになるのかな。
全然連絡ないからすごく気になってたんだよ。
…田邉も受かってたみたいだね…オメデト」
事柴さんはあの時と変わらない笑顔で話しかけて来た。
俺は電撃にうたれたような感覚に陥って、返す言葉も見つからないまま彼女を見つめた。
「でもホント、こんなトコで会えるなんてねぇ。
…運命だったりして。」
そうだ。
これは運命だったんだ。
ラブストーリーは突然に、なんてバカバカしくて嫌いだったけど、ホントに突然だ。
嫌いとか言ったら小田和正に悪い。
彼女は予期しなかった時に突然現れたんだ。
体が自然と動く。
そして事柴さんを強く抱きしめた。
「たな…」
「事柴さん、俺と付き合ってくれないかな。」
三年越しの告白だった。