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Demon Meets Girl  作者: 有寄之蟻
本編
10/21

・10・"愛しい"





戦争開始から十二日目。


青の国の国境沿いにある砦に、ジーンカイルとアジュリーンはいた。


今日の一騎打ちのため、待機していたのである。


二人には、既に国王から一騎打ちのお願い(・・・)が伝えられており、あとは戦闘の開始を待つばかりであった。


いつでも飛び立てるようテラスに立つジーンカイルの横で、アジュリーンがぼんやりと空を眺めている。


十日間吹き荒れた嵐が嘘のように晴れ渡っている空。


アジュリーンは眩し気に目を細めた。


彼女の髪を優しく梳いて、ジーンカイルは小さく微笑む。


『アズ、戦いにはお前も連れてく』


アジュリーンは、問いかけるように彼を見上げた。


『相手は誰か分かってる。大丈夫だ。危険な目には合わさない』


「・・・・・・なら、任せます」


はんなりと笑ったアジュリーンに、耳を赤く染める。


一ヶ月弱過ごす中で、ジーンカイルは自分がアジュリーンに(いだ)く感情を理解しかけていた。


笑顔に身体が熱くなる事。


そばを離れたくない事。


彼女を悪く言う者がいれば、理性を失うほど殺意が湧く事。


守りたい事。


その瞳に自分を映してほしい事。


これは、人間が言う"好意"なのだ。


自らの欲望以外に興味を持たない悪魔を動かすモノ。


今までのことを全て破壊して変革する衝動。


"恋"と言えるソレ、否、ジーンカイルのソレはもう"愛"と呼んでもかまわないかもしれない。


自身の利などかまわず、ただ彼女の幸福を願う想い。


とは言っても、彼を惹きつけるのはアジュリーンの持つ極上の魔力も含んでいるため、完全に利がない訳でもないのだが。


ともかく、確かな事は、ジーンカイルはアジュリーンのそばが幸せであり、その死を何よりも恐れている、という事であろう。


そんな彼がアジュリーンを高位悪魔同士の戦闘に連れてくと言うのだ。


彼女の安全は確保されていると考えられるだろう。


アジュリーンがそれを知っているかは不明だが、恐怖や不安はないようであった。


話を告げられる前と変わらず、また空を見上げて微笑んだのだから。




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