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「コード・マジック、発動準備開始……!」
頬を伝う冷や汗を無視して、ブラッドはコールガにコマンドを入力する。
瞬間、モニタ上に半透明のウィンドウが連続してポップアップ。インジケーターバーとパーセンテージが表示され、準備終了までのカウントダウンが開始された。
コマンドを確認_
これよりコード・マジックの発動シークエンスを開始します_
遅れて、AIが返答。
インジケーターバーが青く染まりはじめ、パーセンテージは徐々にその数を増やしていく。
ブラッドは視界の端でそれらを確認し、すでに形が分かるほどに接近していた先行部隊の一機をロック・オン。
操縦桿のトリガーを引く。
コールガの本体、額部分に埋め込まれた主砲が火を噴いた。
モニタの中で、三角形に近い漆黒の亜音速機が熱線に貫かれる。
鋼鉄すら即座に融解させる高温に、被弾した敵機は大破。それを皮切りに、先行部隊の残り五機が分散して攻撃態勢に入った。
多方向から目に飛びこんでくるマズル・フラッシュに、ブラッドはたまらず操縦桿を倒す。
熱線が左右を通り過ぎていく。ヒレと本体が完全に分離しているコールガは、本体にさえ熱線が当たらなければ戦闘不能に陥ることはない。反重力機構はコックピットのある本体にも搭載されているし、もともとヒレは飛行するための役割を担っていないからだ。
が、しかし。
形勢逆転に必要不可欠なコード・マジックを正常に発動させるためには、たとえヒレの一部分であろうと、たとえそれが飛行に必要ない部位であろうと、一撃の被弾も許されない。
「あと……一分かよ……っ!」
モニタの表示に、青年が呻く。
先行部隊の五機。加えて、後続する本隊が次々と熱線を撃ちだし、視界が赤く染まるほどの弾幕がコールガに襲いかかる。




