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マシナリー×マジック  作者: 射月アキラ
Code3:LEVIATHAN
26/46

08

「──は」

 吐息にまぎれるような笑みが、ブラッドの喉の奥からこぼれた。

 コールガに集中して放たれたミサイルの第三波も軽々と避け、視界の端でコード・マジック起動準備の完了を確認する。

 直後、動きは回避から反撃へ。護衛艦の内の一隻に接近し、その横腹に鼻面を向ける。

 まずは一隻、と、操縦桿から片手を離そうとしたところで、

『おイ──マズいやつが来ていル』

 上空に待機しているチャンから通信が入った。ブラッドの手がぴたりと止まる。

 言葉ののち、舌打ちと共にノイズが入ったのは、ブローズグハッダが雲の中にもぐりこんだからだろうか。

 一瞬の逡巡の間に、護衛艦はコールガの前から離れていった。ブラッドは追撃を諦め、一旦上昇。状況を確認しようと口を開いたところで、アビゲイルの声が通信越しに飛びこんできた。

『敵機接近! 超音速機ディアーブルです!』

 同時、レーダーにアラート。縮小されたマップで、新たな反応が目に見える速度で接近し──ブラッドが視線を上に向けた瞬間、雲を突き破って一機の戦闘機が現れた。

 コールガの真上を通りすぎる機体に、ブラッドの目は釘づけになる。灰色に塗装された機体は細身。翼の先端が前を向いた特徴的な前進翼を有する戦闘機は、通常飛行時の安定性がない代わりにアクロバット飛行に特化する性質を持つ。

 帝国軍が、公国のシリーズ・エーギルに対抗するために作ったハイスペックすぎる戦闘機。ディアーブルを使いこなせる人間は、いまだ一人しか名が知れ渡っていない。

 この瞬間、ブラッドがその姿を視界にとどめることができたのは一秒にも満たない。しかし、目に焼きついたペイントを見つけるにはそれだけで充分だった。

 公国を代表する兵器群、シリーズ・エーギルへの挑発が含まれた、パイロットによる自己主張。

 「銛に突かれた魚」の図が、ディアーブルの横腹には描かれていた。

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