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戦艦と思しき大きな反応は五つ。その内、一際大きいものが今回の標的であるレヴィアタンだろう。何かを警戒するように、隊列を組んだ状態で可能な限りの速さを保ち、一定の海域を動き回っているのが確認できる。
時折現れる六つめの反応が、『波の乙女計画』の隠密特化機体、ドゥーヴァのものと思われた。閃光のように現れては消える反応に、数秒遅れて対空ミサイルが放たれる。それから一〇秒もしない内に、見当違いの場所に六つめの反応が現れる。遅れて、ミサイル発射。一〇秒後、虚空から放たれた一撃が、レヴィアタンに命中。ミサイル発射。一〇秒後、何事もなかったかのように反応が現れ、消える──
百戦錬磨のはずのレヴィアタンとその護衛艦は、完全に翻弄されていた。翻弄されるしかないほどに、ドゥーヴァのステルスは完璧だった。
レーダー上に映らないことはもちろん、戦闘機対戦艦の割にはかなり近い距離で戦闘が展開されていることから、目視でも見つかりにくいものと思われる。
陽動を続けるドゥーヴァが被弾する様子はない。その大胆不敵な行動力は、パイロットが元・民間人であることをブラッドに忘れさせるほどだった。
モニタのレーダーマップに目を奪われながら、ブラッドは後続するブローズグハッダに無線を繋いだ。
「……こちらブラッド。これより戦闘空域に入る。チャン、ステルス機能を使っている友軍がいる。気をつけてくれ」
『あァ、俺は離れたところでコード・マジックの起動準備を行ウ。レヴィアタンと、うまくいけば護衛艦も巻き添えにハできるだろうガ……一回の戦闘で一発しかブち込めなイ。ブち込むときには後方への退避を頼みたイ』
「オーケー。友軍機との接触を試みる」
無線は開いた状態のまま、ブラッドは続けてコールガにコマンド。




