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マシナリー×マジック  作者: 射月アキラ
Code3:LEVIATHAN
22/46

04

『兵装は無音レールガンのみ。パイロットも元・民間人なので、それだけは意識しておいてください』

「……死にかけたことのある空軍兵ってのは、そんなに少ないもんなのかね……」

『死にかけたことがあるからといって、誰でも魔力を持てるわけではありませんからね。死の淵を長くさまよっていれば魔力の量も多くなりますし、逆に少ない人だってたくさんいるんです。仕方ありません』

 坦々と述べるアビゲイルの口調はいつも通りだったが、わずかな違和感がブラッドの意識にひっかかった。

 言ってはなんだが──アビゲイルにしては感情的すぎるという印象を、ブラッドは抱く。触れてはいけない部分に触れたのだろうか。もしそうだったとしても後の祭りではあるのだが。

 ブラッドの視線に、索敵時とは比べ物にならないほどの緊張感が混じる。

「もしかして、アビゲイルもそういう境遇だったり……」

『私は軍学校の通信科卒です。死にかけたことはありません』

「……あ、そう」

 しかし、的外れ。肩すかしを食らったかたちになったブラッドは、頬をかいて視線をさまよわせる。

 つい最近もこんな状況になったような気がしたが、努めて無視。

 追い打ちをかけるように──本人のその気はないだろうが──アビゲイルは容赦なく告げる。

『現場の状況を確認するのはいいんですが……予定通りにいけば、その現場にあと一〇分で到着します。無駄話は終わりにしますよ』

「りょーかい、周囲警戒を続けますよっと」

 雲の上を飛んでいるコールガから見える景色は、一〇分程度で変わるはずもない。

 存在感を増すばかりのフラストレーションに、ブラッドはひそかにため息をついた。



   *



 戦場は、すでに混沌としていた。

 ブラッドはいまだその現場を直接見ていないが、戦場の異様さを知るにはレーダーからの情報だけで充分だった。

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