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 変化球を打つというのはやはり難しい事だ。特にプロ野球の投手は緩い変化球と鋭いストレートを織り交ぜた緩急をつけたピッチングをしてくる。そんなプロの技に高卒一年目から完全に対応できる筈もない。どうしても粗が出て、そこをつけこまれてしまう。


 だから、どうやって変化球打ちを上手くなる事が高卒一年目に課せられる宿題のようなものだ。その宿題を今から監督自ら答え合わせしてくれるというのだからこんなに嬉しいものはない。そう思った鉄栄は素直に聞く事にした。


「監督、僕はどうすればいいのでしょうか」


 真面目な顔で、鉄栄は尋ねた。


「そうじゃな。試合を見ていると君は積極的に打ちにいくタイプのようじゃな」


「はい。選球眼がないので早打ちで誤魔化しています」


 そうだと明言した。この期に及んでプライドを立てて言い訳する事もないと踏んだのだ。


「四球を選ぶことに選球眼など必要ない。それなりの威圧感があれば立っているだけ勝手にバッターが四球を出してくれるのだからな」


「そうなのですか」


「うむ。それで、君はどちらのプレイスタイルをするつもりかの」


 四球に価値を見出すタイプか、それともヒットに価値を見出すタイプか。当たり前だが呉鉄栄は即答するのだった。


「ヒットを打ちたいです」


「ホホホ。そうじゃな誰でもヒットは打ちたいに決まっておる」


「そのためには変化球を打てるようにならなければいけません」


「変化球を打つためにはどんな球種かあらかじめ知っておいた方が得じゃ。問題は、どうやって相手の投げる変化球を知るか」


 モゴモゴと口を動かして、監督は呟いてた。監督は結構歳を重ねているので、口調もおじいちゃんそのものだ。耳を澄ませて良く聞かないとならない。


「そうですね。僕もそれが重要だと思います」


「ワシは現役時代、捕手のリード傾向をデータにとった」


「リード傾向ですか」


「そうじゃ。無論、その日の投手によってリードは違うから必ずしも参考になるとは言えんが、恐らく知っておいた方が特をすると思う」


 監督は、そう明言するのだった。



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