表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/12

001

 ドラフト会議にて、とある選手が一位指名された。その選手は呉鉄栄うーてつえい。名前から分かる通り、彼は台湾出身の野球少年だ。高校通算35本塁打の強打力と守備力をかわれて、東信ボンバーズに入団した。


 実はこの少年、兄の呉順教うーじゅんきょうに憧れて野球を始めた。順教は今年二千本安打を放った伝説の遊撃手であり、弟の鉄栄は兄に憧れて遊撃手の道を選んだ。


 しかしながら呉鉄栄はオープン戦で思うような結果を残せず、二軍スタートを余儀なくされた。開幕一軍は逃したが、これからの成績次第では一軍に上がることも夢ではないので、呉鉄栄は二軍で自分の型を完璧に作って、一軍に備えようと思っていた。


 ところが、呉鉄栄うーてつえいは二軍戦でも結果を残せず、十三試合で打率は僅か九分六厘。一割にも届いていないのだ。この信じられない不振は、恐らく木製バットへの対応が遅れているからだろう。金属バットの感触に慣れてしまい、プロが使う木製のバットが馴染まないのだ。


 大半の野手はこの理由で苦汁を飲まされる。金属バットを使った記録は参考でしかないのだが、それで「自分はパワーヒッターだ」と勘違いして、そのまま戦力外になる選手は大勢いる。そうじゃなくて、木製バットで、本当の自分のスタイルを見つけていかないと、プロの世界では生き残れない。


 それは呉鉄栄も同じである。彼も最初は本塁打狙いのバッテイングスタイルだったが、自分にはまだ早いと感じたのか、単打狙いに変更。すると、打率が面白いように上昇していき、六月に入ると打率は三割を超えた。守備も良く、走塁のセンスもある。いつ、一軍に呼ばれてもおかしくは無かった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ