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手にしていたグロスを棚に戻し、バスまでもうダッシュ。
「すいませんっ!遅くなりました!!」
運転手さんに謝ると
「こちらこそ、都合で待ってもらって悪かったね」
と逆に謝られてしまった。
バスの中には、グループで来たらしい男の子が三人。
「あの…お待たせして、すみません」
約束の時間に間に合わなかったのは事実だから、一応謝ってみた。
「全然待って…あれ?」
ん?なんだろう?
私には、心辺りがないんだけど…
「あ!さっき聡がナンパした人!」
「健太!!ナンパ違うしっっ」
「じゃーなんだよ?」
「通りがかり勝手にメイクアドバイス?」
「…それって、ただの不審者?」
「違うつーのっっ!」
思わず笑みがこぼれてしまった。
思ったより移動に緊張してたらしい。
「自分奥野健太っす。よかったら、ケー番教えてください」
「健太!?」
「オレもー」
今まで傍観していたもう一人の男の子も言う。
「樹まで!!」
「聡はいらんないんだ?」
「そーは言ってないし、そーじゃないし、彼女困ってるじゃん」
「そうだね。彼女困ってるねーそして、私も困っている。目的地に着いたから、降りてほしんだがな」
全然困ってなさそうな運転手さんが、にやりと笑う。
「そして、できたらナンパは車外でよろしく」
「「「違う!!!」」」
彼らと一緒なら、楽しいかもしれない。