お前は俺の獲物だ!
ズン!
踏みしめた右足に巻き込まれ逃げ遅れた雑魚が潰れる。
特殊金属で出来た外装にはいまだ傷一つ無く右の剣と一体化した腕を振るえば見える範囲の敵が千切れ飛び散る。
さすがは神の騎兵と呼ばれる異世界の超兵器。
これとは別の世界からの侵略者を事も無く叩き潰す。
戦争により荒廃した世界なら過激な兵器も気兼ねなく使える。
足軽連中を無双しているとレーダーに光点が、3時方向から3機。敵対国の兵かフリーの傭兵か。
周りに敵が居ないのを確認しつつ狙撃モードへ。
敵認定の一番近い機体にピンポイント射撃。ただし武器は中近距離用ヘッジホックレーザー。有効射程ギリギリだが収束させることで文字通り蜂の巣になって墜落する。
その間に最遠の敵に多弾頭ミサイルとステルスビットのロックを掛ける。ミサイルにレーザー機銃のビットを混ぜて近接距離で攪乱して足止めする。その間に真ん中の奴を挌闘戦に持ち込む。
と、狙撃型ビームバズーカが飛んできた。
やはりあいつは遠距離用の狙撃兵か、パワーシールドを張る前に全弾発射。弾速は遅いが実弾兵器は当たるか壊れるまで追尾し続けるので確実に時間が稼げる。
さっき落としたのはやはり近接戦闘機だろう。が、万能機と呼ばれる愛機ならどの距離でも対応できる。だから中距離戦用と思われる残る一機に挌闘戦で挑む。
シールドを切ると敵は目の前まで迫ってきていた。
敵はクレージークイーンと呼ばれるこちらと同じ万能機!
道理で向こうから近接戦闘を掛けてくるはずだ。
いいだろうガチで食ってやる!
ソードモードの右腕で切りつつ左のシールドグレネードで相手の足下を攻撃。
・・・シールドは敵の左足で押さえられ向きを変えられ遙か彼方で爆発が起きる。
ソードの右手は根元部分を肩で受け止められ振り抜けなくなったところを肘の隠しブレードで肩口から切り落とされ、蹴りで距離を取ろうとしたときには腰の基礎部分を左のシールド内蔵パイルバンカーで粉砕された。
遠くで撃破のマークが出たが、もうこの機体は身動きできなくなった。
おもむろに肘のブレードとパイルバンカーの2撃目が動力炉とコクピットを同時に貫いた。
筐体から出た俺が目にしたのは、2週間前に分かれた元カノとその友人達。
「アラ、久しぶり。」
「お前さんざんこのゲームをこけにしてたのにやってたんじゃねえか!」
「ああ、あれはやらず嫌いって奴だったのよ。確かにあなたが夢中になるはずねえ。始めて1週間だけど強そうにしてる奴を蹂躙するのって楽しいわ~」
「ちょっと待てあの動きは素人じゃねえぞ!」俺は大会優勝経験もある一桁ランカーだぞ。
「あなたって大したことなかったのね。今日初めてやった初心者にマジで仕掛けて隙だらけになった上に簡単に懐に入られて身動き取れなくなるような無様な人って見たこと無いわよ。」
く、言い返せねえ・・・
だがあのコンビネーション、俺だから一騎打ちに持って行けたけど普通は対応できないぞ。
こいつらレベルたけえ。
「なあ物は相談なんだが、俺もお前の・・・」
「おことわり~♪あなた弱いもん。」
な、
「それにもうあなたとはおわってるの。付きまとわれるのも嫌だからこれからも話しかけてこないでね。じゃあさようなら~」
以後俺は打倒クレージークイーンを掲げ全力で挑んだが、あっさり一位ランカーになった彼女にはかなうわけも無く・・・
俺は勝てばヨリを戻すことが出来ると思ってそれだけを考えていた。
しかし、あっさり一般人と結婚しゲーマーを引退した彼女を思いつつ万年二位で終わることになった。
今にして思えば、彼女の取り巻きたちにもてていたうちに(腐ってもコアゲーマー、STGはうまい)諦めていれば、大魔法使いにならずに済んでいたのかも・・・
これはフィクションです。けっして特定の人物を攻撃しているわけでは・・・・