06.ギルド2
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主人公視点
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朝日がカーテン越しに部屋の中へ射し始めた頃。
ベッドの中、横向きに寝ていたが私は薄っすらと目を覚ました。大きく伸びをして首を左右に振ると、徐々にぼやけていた意識が覚醒し出す。まだ眠い状態だったが、もぞもぞと着替えて食堂へと降りていった。
食堂は広いスペースに白いテーブルクロスを張った長方形のテーブルが綺麗に並んでいた。ここの宿は、窓口で注文して席まで持ってきてくれる。
この宿は食事が別料金で食べられるようになっていて、モーニングセットのある朝と日替わりがある昼は安い値段で食事が出来るのは前世と同じだなぁと思った。稼ぎがない当分は、安いメニューで何とかしようとモーニングセットCコースを注文する。
セットCコースは3銅貨、Bで5銅貨、Aは1銀貨になっていますが、大体元の世界での数百円単価と思ってください。例えば、私が頼んだセットCコースだと300円と言う事です。
こちらの通貨価値ですけど、一般的な家庭の一月収入で10金貨くらいです。私も金銭を自分で扱うのが初めてなので、自分用にと纏めてみたんですよ。
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金1枚=10000円札
銀1枚=1000円札
銅1枚=100円玉
半銅=10円玉
欠片銅=1円玉
一月一般家庭平均額
10金貨=10万円くらい
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今、私の残金は1ヶ月の宿泊費を支払ったのを引いて、49金貨と9銀貨、後は銅貨が少々しかありません。この宿の学生割引と一定期間以上の宿泊割引で考えても半年も宿泊するのは無理でしょう。う~やっぱり住居費が馬鹿になりません。後々考える必要があります。その他費用は食事代です。
これじゃあ、折角街中に住んでてもお買い物が出来ませんよっ。。゜(*´□`)゜。
目の前に届いたミルクコーヒーとサンドイッチを食し、お代を清算してギルドへと向かった。
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宿で時刻を表す時計を確認して時刻は午前8時過ぎ。
早朝に出勤する大人が多く見られた。街中のお店はまだ時間が早いので開店準備中の札が掛けられている。街中とはいえ朝は空気が気持ち良く、犬を連れてる飼い主さんが道で雑談してる姿を見ると治安が良いのが伺える。
整備された道路や、美観を損ねないデザインの建物が左右対称にひっしと詰めて建てられていて前世での西洋文化に近い。着ている服も、シンプル機能的なデザインだけではなく、もっとドレッシーな要素が強くでている印象が見受けられる。
この辺りは、王都だけあり人が着ている服も流石に垢抜けてるなと思う。流行は疎い方だが、子供心にもセンスが良いのは分かる。
平和だなぁ~とテクテクと道を進めて、噴水通りを右折し目的地へと到着した。
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ギルドの依頼板はレベルごとに分けられている。今私はGランクなので、一番出入り口に近い位置にそれが設けられている。逆に難易度高い依頼だと当然仕事料が高くなるし、貴重依頼だからと奥の方に貼ってあるのだ。冒険などの依頼が多く、モンスター討伐など命がけなのも多いのだ。
全然縁が無い話なので奥には行きません、てか行けません。
”ドラゴン退治”とかやっちゃってる人達ですよ?
それってRPGゲームではド主役級な方々ばかりではないですか?
ピントが違うと思うんですね。私の希望する仕事と、全・然・チガイマス。
はい、やっかいなイベントは起きませんともっ。
さてさて。
Gランク依頼板前までやってきました。
どれも難易度が一番低い入門者用の依頼とギルドが判断した仕事なので、気負わず頑張ろうと思います、うん。
値段はやっぱり安い、銀2-3枚の依頼ばかりだ。
仕事内容は、家庭の手伝いや飲食店での仕事が主で”皿洗い”、”掃除”などが多くみられる。ただ、家庭とは違って、飲食店は継続的な依頼が多いようだ。
・・まあそうだよね。直ぐに止められたんじゃノウハウ教えるだけお店屋さんは損だし。その代わりに給料が高いみたい。でも、合うか合わないか分からないうちから、長期は無理無理~。
色々悩んだ結果、私は依頼板から一枚の紙を取り窓口へ差し出した。
”ご家庭のお手伝い:Gランク 老人の家の清掃を手伝って欲しい:報償 2銀貨”
「こちらで登録お願いします」
紙と一緒にギルド証を提示した。
「かしこまりました、シャロン様。こちらの依頼内容ですが、老人ご夫婦で暮らしていて家の掃除がしにくいそうなので、基本的な拭く・掃く基本的なお掃除と思っていただいて大丈夫です。」
「仕事の指定日とかはありますか?」
「そうですね、早くが望ましいとの事なのですが、特に指定はございません。お仕事の日時が決まり次第、こちらから連絡するようになってます。ギルドからの紹介状をお渡ししますね。こちらを見せれば、確認してもらえますので。」
「じゃあ、今からでも大丈夫ですか?」
「本日ですか、分かりました・・少々、依頼主様に確認の方させてもらいますので、そちらに掛けてお待ちください。」
魔術道具には通信道具…普通の電話みたいな物がありまして、そこそこ値はしますが便利で魔力が無くても使用する事が可能ですので一般家庭にも幅広く伝わっています。
受付横には、仕事を頼む人もする人も待てる様にと、ソファが横何列か並べていて観葉植物も随所あり目に優しい。間のマガジンラックには本も何冊かあります。スポーツ・美術・新聞・服飾などなど。
座り心地も中々良い物使ってますね、体重で体が沈みます・・・これどこかで体験した事が?・・そうだ、前世で枕が低反発ピローだったのですがこの感触に似てるんです。お高そうです、流石公的機関ですね。
「お待たせいたしました、シャロン様。依頼主に尋ねました所、今から大丈夫だそうですから問題はありません。後、町マップはお持ちでしょうか?はい、こちらのお宅が今回のお仕事場になりますので、間違えず伺ってくださいね?こちらから徒歩圏の距離ですので今回は交通費はつきません。」
ぬお、交通費って別途付くのですか。
良い事を聞きましたっ。
「それでは初依頼、頑張ってくださいね。」
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受付を後にした私は、町マップに印が付いている依頼主宅へと歩いていった。