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異世界でセカンドライフ  作者: 佳苗
終わりと始まり
4/8

03.授業 その後

昨日UPしたばかりなのにもうお気に入り登録が、有難うございました。励みになります(*´▽`*)


視点が今回も変わります。


教師⇒父

***

教師視点

***


今自分が居る所は、首都にあるブルーア子爵別邸だ。


以前の生徒であった子爵の頼みでいるのだが、その用件とは王都に留まっている間、自分の末娘の家庭教師をしてほしいのだという。




領地のある本邸からわざわざ子爵が首都に来ている理由は、夫妻の社交界出席と兼ねて寄宿学校へ行かせている上の子供達に会うためだ。夫妻が首都に居る間は、子供達も別邸通いになっている。今の季節は春先。夏に入るまでが、ブリュンヒル国では社交が多く開かれる季節で、そういった学生も多く見られる。


長兄のエドウィン、長姉のカロリーナ共に非常に優秀な魔術師で将来が有望視されている。その事からもこれから自分が受け持つ生徒、末妹のシャルロッテに期待や楽しみといった感情を抱かない方が無理という物だった。



私は魔術の家庭教師を本業にしている訳ではない。私の名は、レヴュア・テトラ・ルイデ。もう60を超えている紳士である。



初めてシャルロッテに会った時、とても可愛らしい娘だと思った。真っ直ぐな腰まで流れるプラチナブロンドの髪に大きな碧の瞳の華奢な少女だった。性格は何にでも興味を持ち見ていて危なっかしい。だが、一度面白いと思えば熱心に調べる真面目な子だった。



シャロンは8歳になったばかりで、魔術は初めてと言う事もあり、何ヶ月か分を区切ってペースを決めていたのだが・・あっと言う間に術を使う上での理論を習得してしまうから驚きだ。父や兄姉も優秀だがこの子は理解がとても速い。基本理論は習得しているので、実践に移してみても良いと判断したのだ。



***


目の前に居るシャロンのエネルギーが変化していった。

そのエネルギーにプレッシャーを感じた。


私はこの時思った。


この子は”原石”だと―

王都からまた領地へと行ってしまうのが惜しい子だ・・




「せ、先生エネルギーを感じるってこれで合っていますか?」

目の前の生徒が禅をしつつ心配そうにこちらを尋ねる。



「うむ大丈夫、上手に出来とるよ。」


「うわぁ、やったっ。」

ガッツポーズの無邪気なシャロンを見て苦笑する。



(これで授業はまた大幅の前倒しじゃのう・・予定しておったカリキュラムずれまくっとるわ・・・)



この後、力を抑制方法と幾つかの初歩魔術を教えたが、相変わらずあっさりと覚えていった。



***

アロイス(父)視点

***



・・・。


静寂が流れる。


ブルーア家当主の執務室。

家具や調度品などからしても豪奢なその部屋に主であるアロイス・テトラ・ブルーア、私とその隣に妻であるクラウディアもソファにかけている。対する向かいに腰を下ろしているのはわが師のレヴュア・テトラ・ルイデその人だ。


私は、家族団欒と社交界が楽しめると何月か前から別邸住まいをしている。ここに居ると特に子供達が優秀だとか、可愛いとかとても心地の良い噂が聞こえてきていい。うちの自慢の子達なんだ、当然じゃないかっ。



今日も今日とて、我が師から末娘のシャロンの優秀さを聞き親として嬉しい思いをしていた。だがその後、師は思っても見なかった事を言って来た。


「師よ、今何と申されましたか?」

「私も・・もう一度お願いいたしますわ?」


「しょうがない子等じゃな、おぬし達の娘のシャロンをアカデミーに入学させる気はないかと聞いたんじゃ?」


髭を弄りながら意地悪そうに笑う師にあっけにとられた。



アカデミー・・・?



「ちょ、ちょ、ちょっと待ってください!シャロンは8歳ですよっ、それに習い始めたばかりでっ。とても周りの子らについてなどいけません。」


「そ、そうですっ。最高学府に行ってもあの子は辛い思いをするだけです。それに・・学校だ何て(ぶつぶつ・・・)」


私と妻は困惑した。

何だろう、通常なら手放しに喜ぶべき出世なのだが・・幾らなんでも無理だろう?


「うむ、通常のクラスじゃと間違いなく無理じゃなぁ」


「そりゃ、そうでしょう?」


「そう、それじゃ。」


「は?」


「あの子は筋がいいどころじゃないんじゃ、・・ワシの口からこういう言葉はあまり好まんのじゃが天賦の才を感じさせる。習い始めて間もないのにの、既に初級とはいえ幾つも術を覚えおった。通常の期間と比べてみても著しいスピードじゃ。」


「あの子が、ですか・・」


「そう。最近ではアカデミーが人材育成する目的で通常のクラスとは別に、個別クラスをもうけとるんじゃ。学校には直接通わない、担当教師が家に訪問する形じゃ。各担当官が才に見込みがある子らを育てる為にの。何より大切なのは卒業するまでにお金をある程度稼げるようになれるかが目的じゃ。一人で暮らしていく様になっても大丈夫なようにの。それ故自立目的の為に、期間中は街中で宿を取る事から始めてもらうが。」


「・・・そのノウハウや技術、を個別で、ですか?それなら悪い話じゃないわ、学校と違って集団生活じゃないみたいだし。それにあのアカデミーの学生になれるんですもの。」


シャロンが良ければ良い話なんじゃないの?と妻はすっかり気をよくしている。




引っかかる…


「まさか師が私に昔やった修行方法じゃないでしょうね?」笑顔で聞いてみた。




「そうじゃが」

サラリと言ってのけた師に、唖然とした。



かつてアロイスも体験した修行はこうだった。


まず、アカデミーから指定されたお金を親から資本金としてもらい指定の銀行の生徒の口座に入れる、それは随時アカデミーがチェックしている。これが所持金が0以下になった場合失格で、家に戻る事になり中途退学扱いだ。まず、衣食住・生活必需品などそれら全てはその中でやりくりするのだ。



当然数ヶ月も経たない内にそこ尽きる額に計算されている。




ちょっと待てって思っただろう?

そう、これは授業と生活を合わせてるのだ。



じゃあどうやって稼ぐんだよって?


師は、人を助けて・貢献して・感謝される事こそがお金になるのだと言い、私をギルドに連れて行った。そこには多くの依頼書が板に貼り付けられていてスペースにぎっしりとあった。自分の出来る範囲の依頼していくとカードにポイントと報奨金がもらえるようになっている。


そのポイントや報奨金が一定額溜まってくると、次々と高価な魔術書をもって指導してくれるといった寸法だ。



貴族としてヌクヌクと育った子供達は金銭感覚が麻痺するのでそれの改善もあるんじゃないかと卒業した私は思っている。自分で稼げる様になると、上の立場に着いた時にも役に立つだろうし良い経験だろう。



それと一般の市民からただでさえ畏怖されている魔術師のイメージUPを兼ねてるのだろう。別問題、頭から市民を下と決め付ける貴族が多いので接する機会を増やしたいのではないだろうか。



ちなみにアカデミーの授業料は王立なので基本無料、残金が0以下にならない限り、高レベルな授業が受けられるのも確かだ。


***


妻にそう話すと、私も同じだが複雑そうだ。

だが、確かに一つの機会であるのは確かだ。




話し合った結果、私達では決められないので、シャロンに判断を任せることになった。

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