後書き
寧ろ最初に読んでもいいくらいです。
後書き……これが一番書きたかった(笑)。
冗談は置いといて、私の拙作に目を通してくださりまことにありがとうございました。
投稿するまでの構想時間約3時間……設定もほとんど練らず、最初と最後の展開、大凡の骨組みだけを考えて書き始めたという、完全に見切り発進の作品でしたが、こうして無事に完結することが出来ました。これも一重に皆さまの生温かい声援のおかげだと思っております。
筆者はMMOなんてほとんどやったことはなく(MMOが何の略すら知らなかった)、それに関しての知識は本当に齧った程度で、作中の設定にその片鱗が出ていると思います。
つーか実はネトゲ嫌いなんです。無料でやれると唱っておいて、実は課金した物勝ちって言うのが。作業ゲーになりがちだし、時間も無駄に食うし、パソコンのスペックも高くないといけないし…… 据え置きの奴と比べて楽しいか?って言われると、うーんだし。ここら辺は序盤でも言われてますね。人と交流出来るってのが強みなんでしょうけど、リア友でもない限り余計なしがらみが付きそうですからね。
じゃあ何故MMOモノにしたかと言うと、一つは人に興味を持ってもらうためです。
ここの『なろう』ではVRMMOと言うのが非常に流行っているわけです。
ゲームの中の世界に入って、そこから出れなくなって、主人公は変わった職業についていて…… ってのがよくあるパターンでしょうか(失礼)。流行りやブームなんてものはその世の中の世相をよく表している物なので無理に否定する必要はありません。それに敢えて乗っかって自分の個性を出すもよし、気に食わないなら自分の書きたい物を貫くもよし。どちらでもいい気がします。
話を戻しますが、他のみなさんはゲーム中の設定に非常に拘りを持っている気がします。ここでも個性を出そうとしているのかが強く感じられるのです。でも設定を練り込んでしまうと今度は風呂敷を畳むのに苦労するわけです。作った設定は全部出さないと気が済まないって人は特に。それだとエタる可能性が大幅に跳ね上がるわけでして……
この作品『アカシックドミネーター』は、MMOを題材として話を短く完結させることが出来ないだろうか、というものをコンセプトにして考えられました。
とにかく設定は練り込まない。ゲーム中の設定はほとんど明記しない。整合性が取れる範囲で後付け設定をどんどん付けられるようにしていたつもりです。自分でもかなり無茶なことをやっていたと今更ながら思います。
お次はストーリー。MMOモノは何を目的とするかで結構迷う所です。ゲームの中から出れない、じゃあ黒幕を倒せばおっけーという流れならば、冒険の過程が長くなってしまう。そもそも斬新さを出しにくい…… その中に住みついて何かをするというのなら、今度はまた設定を深く練り込まないといけない……
でもよくよく考えてみると上の2つの話って『異世界召喚モノ』でも出来ちゃうんですよね。そっちの方が早いし。個人的にゲームを題材とする必要性が感じられなかった。本作もゲームでする必要があるのかと指摘されたら首を捻りますが。
一応自分の中で原型に出来そうな話があったので、それを元に話を組みたてました。
元ネタとなった話(オリジナルです! そう言い張ります!)では、主人公とGillyの原型がいまして、寝ている時に異世界に行ける、異世界で殺された人間は現実でも死ぬ、という設定は共通しています。そして現実と異世界、両方の意識を持った人間は非常に少ない、という感じでした。更にGillyは外国にいるので時差を利用して、夢の中の自分の行動を互いに誘導し合う、といったことも考えてました。この場合、現実の人間に裁きを下すのは主人公側で、それに対する主人公自身の葛藤などもあったり。また、異世界の人から特定の人物を殺しくれと頼まれて、現実ではどういう人物かを調べるために奔走するエピソードも。異世界では人々を苦しめる魔女だった人が、現実では憧れの先輩だった、とかお約束のラブストーリー(笑)もあったりなど…… でも話の終着点が全く思いつかなかったので、この話はそのままボツになりました。もしも、この設定で書きたい! と言う人はご自由にお使いください(いないと思いますけど)。
とにかく主人公とGillyというキャラが最初にいまして、そこから話を膨らませました。大体の感じが決まったら、まず先に話の終着点を書きました。完結できるかどうかが肝だったので。自分の中ではこの話は2時間の映画くらいのサイズになればいいかな、と思っていました。そこで決まったのが「主人公はこの現象自体は解決できない」「ただ人間同士の争いを沈めることにしか関与できない」、つまりはホラー風の流れの話になったのです。
これだと主人公を無理に強くしたり、成長させる必要もなく、比較的にいい字数で収められるかな、と思いました。
当初の予定は全40話。10万字以内。
結果は……散々でした(笑)。
無駄にキャラ増やし過ぎたなーとか、無駄なエピソード入れちゃったかなーとか改善点はいくらでもあります。その内、話をコンパクトにまとめた「劇場版 アカシックドミネーター」とか出せればいいかなー とか勝手に妄想しています(多分やりません)。
・キャラについて(個人の総評)
主人公:高瀬悠一
……限界まで特徴の無い人間を描いたつもりです。ピンチ時に頭が回るのはお約束としても。モデルとなった大学は横浜国立大学です(行った事ないけど)。女の子の体を利用しての自慰行為とかは、ラノベの主人公の性格テンプレをぶっ壊してみようと試みだったり。
シエルという名前は本当に語感で決めたんです。「月姫」じゃないんですってば! 活動報告でも書きましたが、外見はもろに「ベルセルク」のシールケです。ベルセルク面白いよね。あと現実の見た目は、背の低いテニスの王子様の乾です。
相方:Gilly
……現実ではチートクラスの能力を持つけど、異世界では少し弱い……そんな感じに仕上げました。ある意味黒幕っぽくもありながら、一貫してサポート要員でしたね。彼の正体は後述で。キャラのモデルは特にありません。現実世界ではボブ・サップみたいな感じで(笑)
サイト
……ある意味主人公っぽい?(笑)。ゲームに逃げていて、トリップ当初は仲間が死んだ事もあり、マイナス思考っぷりが表面に出ていた人。でも、自分も死ぬような目に合い、それで吹っきれて本来の調子を取り戻したって流れでした。東京工業大学に在学していた、私の実際の知り合いをモデルにしています。外見は永遠神剣シリーズに出て来る運命のローガスが元ネタです。
Aselia
……構想当初はモンスターに食われて死ぬ予定だったキャラ(笑)。いい感じに皮肉屋ですが、書いて行くうちにサイトの相方と言う立ち位置に落ち着きました。元ネタは言うまでもなく永遠神剣シリーズのアセリアです。
漆黒の君
……ラスボスがアルクというのもどこか盛り上がりに欠けるから、滅茶苦茶強いキャラを前哨戦に置いてこう、って感じで生み出された人。性格や台詞をそのままアルクから引き継がせています。名前の元ネタはこのなろうで昔連載されていた小説(現在は削除済み)のタイトルより。見た目は永遠の戦士シリーズのエルリック皇子。
アルク
……構想当初より予定されていたラスボス。漆黒の君の台詞は元々彼に言わせる物が多かったのです。本編ではえらく飄々としたキャラになってしまいましたが……(汗) ジョジョの第4部みたいな敵キャラをコンセプトに描きました。元ネタは、私がもう一つ考えている、ヒーロー物の話の敵キャラより。見た目はバイオ4の武器商人みたいな感じで。
・話のテーマについて
さてさて、次の話題に。
私が話を考える時は、何かバシっと一つテーマを置こうと決めています。
やおい(ヤマなし、オチなし、イミなし)作品はあまり書きたくないのです。
この話の大きなテーマは『異世界召喚に対する憧れ』です。
なろうで流行っている異世界とかゲームの中へのトリップなどと言った物を題材とする時、自分ならどういう話を書くか、ということに挑んでみました。
いきなり唐突に他の体に転生、チートな能力を持たされてトリップ、そこで巻き起こる騒動……なんてものは、やはり現実逃避の願望が根底にあると思っています。
私個人はこれは人として当然の願望だと思っていますが、「じゃあ、そんな凄い能力を持った所でどうすんの?」という事を読者に……というかそれ系の話の作者に問いかけたかった。これに関しては本作だけでは足りない部分もあったと思います。私のもう一つの作品『チートな俺が異世界へ進出!』で、そのテーマの残りの部分を扱っていければと思っています(宣伝)。
本作ではその力を使って現実の世界をどうこうしようとする人間達を主に描きました。トリップ先で自分の体や力が全然変わって来るので、そこから生じるアイデンティティの狂いとかももっと描きたかったなぁ、と思っています。
夢や理想はいくらでも膨らませることが出来ますが、その最大の足かせは自分自身の体。その足かせから外れた時、果たして人はどれだけ今までの自分という存在を保っていられるのか……ちょっと哲学っぽく言ってみました(笑)。
もう一つ、「パワーバランスなんて簡単にひっくり返せる」という台詞です。これは現実世界の人間に向けての言葉です。アカシックドミネーターのような現象がそうそう起こるとは思いませんが、人間が簡単に殺されるのは現実でも変わりありません。人の恨みはなるべく買わないようにしておきましょう(戒め)。強気な人ほどその傾向が出ますので引き際というものをお忘れなく。
あとは、違う世界の事情を無闇に持ち込むなって事ですね。「異世界をよりよくするためにお前を殺す」なんて台詞を現実世界で言うとすぐに黄色い救急車に連れてかれます。
・元ネタ
本作を書くにあたって様々な作品のパロディやオマージュをさせて頂きました。
私の趣味全開でしたけどね。マインⅤとか(笑)。
元ネタリストを思いつく分だけ書き記しておきますので、興味がある方は目を通してみてください。これは? と思ったらご指摘ください。随時、追加します。
元ネタ一覧(順番は適当)↓
・月姫(本当違うんだけど名前の関係で) ・Death Note ・永遠神剣シリーズ ・永遠の戦士シリーズ ・ベルセルク ・ポケットモンスター ・ボーダーブレイク ・メタルマックス ・ポートピア連続殺人事件 ・アラド戦記(ゲームの雰囲気はこんな感じなの)
・〆
そんなこんなで今一つしまらない後書きでしたが、こんな文章でも最後まで目を通してくれた方に改めて最大限の謝辞を述べたいと思います。本当にありがとうございました!
2012/1/17 (本名の方がよっぽど変わった名前の) 丸尾ナオキ
最後の最後にもう一つ、蛇足という形で今回の事件の詳細(あとGillyの素性)を描いたエピソードを1話だけ投稿します。
しかし、この話は本編のシナリオを色々ぶち壊しにしてしまう物なので興味が無い方は読まなくても結構です。
結局黒幕は誰だったんだよ! と、気になる方も、げんなりすること間違いなし。
物好きな方だけご覧いただければ結構です。