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最初が肝心だから

作者: 井上さん
掲載日:2026/06/05

短いです

「私が婿入りしないと跡を継げないんだから、私の方が立場が上だと分からせないと」


 と、婚約者が友人達と話しているのを聞いた。


「分からせようぜ」


「『お前を愛するつもりはない!』って初夜に言うんだよ」


「面白そう!」


「何も言えないんだから、浮気し放題だぜ!」


「最高だな!」


「最初が肝心だからな」


 それから、婚約者は更に浮気しまくった。







「こっちも愛するつもりは無いわよ」


 私は侯爵家の長女。

婿入りのくせに。

選ぶのはこちらだ。


分からせよう。倍返しだ。


「最初が肝心だからね」



 奴には何もさせなかった。

後継者教育や引き継ぎもさせなかった。


 交流のお茶会をしようとしても来ないから、気付かれないようにお茶会の期間を伸ばして、会わないようにした。

 夜会に2人で招待されても、私をエスコートしないで、他の令嬢をエスコートしていた。


 浮気の証拠を集める。

そして、両家の両親を連れて浮気現場へ突入。


「なんてことをしたんだバカ息子!」


「最低!」


「婚約は破棄させてもらう!」


「援助も無しね」


 互いの両親達が言う。


「私が婿入りしないと、お前は跡を継げないんだぞ!」


 と、婚約者は宣った。


「婿入りしたい人は、貴方だけじゃないのよ」


 私は嘲笑った。


「は!?」


「貴方、後継者教育を何も受けていない事に気付かなかったの?」


「え?」


「婚約者というだけで偉そうにして、領地経営なんて何の勉強もしてないのに、婿入りできると思っているの?」


「え?ちょ…」


 やっと、自分の立場を分かったらしい。

婿入りできない。

 自分は選ぶ立場ではなく、選ばれなければ婿入りできないのだと。


「浮気男とは婚約破棄します。貴方有責ね。慰謝料よろしく」


「は!?」


「貴方みたいな頭空っぽ浮気男ではなく、優秀な男に婿入りしてもらうに決まっているじゃない」


「え?」


「『お前を愛するつもりはない』?私だって貴方を愛するつもりはないわよ!」


「な…」


 自分の言った事を思い出した?


「さようなら。2度と私の前に現れないでね」


「ま…待ってくれ!」


「お前は最低だ!領地に閉じ込めてやる!」


 元婚約者は、両親から領地の邸に閉じ込められて、世間から忘れ去られた。




 私は宣言通り、優秀な婿を迎えた。



読んでいただきありがとうございます

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